第59話
「そろそろ、頃合いだ……」
シシリーは懐から出した自慢の吹き矢を音もなく口元に付けた。
絶対に外さない。
息を吹きかけた途端、百発百中の吹き矢がスフィーリアの首元に刺さる。
「えっ?」
首元に僅かな痛みを感じながらスフィーリアが呻く。
しかしすぐに凄まじい眠気が彼女に襲い掛かった。
スフィーリアが祭壇の前で崩れ、そのまま動かなくなった。
倒れた彼女の口元から小さな寝息が聞こえて来る。
「やった!」
二人は思わず叫んだ。
矢はリデルに放った時の物より更に小さく細い針状の特別製だった。
毒も即効性の眠り薬で命までは取らない。
死んだ女を犯しても詰まらないとシシリーが考えたからだ。
「上手くいったな、シシリー」
吹き矢を咥えたままの相棒の横でベニズがほくそ笑む。
「そんな事より両手を押さえてろ! 毒はそんなに強くないんだ。目を覚まされたらやっかいだ」
「お、おう!」
シシリーは首筋に刺さったままになっていた毒針をに抜きながらベニズに命じた。
ベニズは倒れたままのスフィーリアの前に回ると彼女の腕を万歳の形で押さえ込んだ。
スフィーリアは今だ眠ったままでいる。
「吞気なもんだな……」
「全くだ。これからオラ達のおもちゃにされるってのによ~」
二人は動かなくなった尼僧を見下しながらニヤニヤと邪悪な笑みを浮かべていた。
笑いが止まらない。姦淫への強い昂ぶりが腹の底から込み上げて来る。
別種族の目から見てもこの尼僧は飛び切りの美人だ。
それが判るのはガギーマと呼ばれる種族の特徴でもあった。
美的感覚は種族毎に違いがある。人間の美人と人描族の美人、巨人族の美人に人馬族の美人、美人は色々あれど、結局はそれぞれの種族のみが持つ基準で成立する。
だが不思議な事にガギーマの美的感覚はどんな他種族相手でも成立させる事が出来た。
外見が著しく異なる他種族でも同じ美人として受け入れられる感性が生まれながらにして備わっていたのだ。
同時にそれはガギーマによる他種族に対する強姦事件が耐えない原因でもあった。
「オラからやらせてもらうぜ。これはオラがやり出した仕事だからな!」
ベニズを差しおいてシシリーが前に出る。
「だったら早く済ませてくれ! オラだって待ち切れ無いよ」
「ああ、判ってるって。そう焦んなよ」
そう相棒を諫めてシシリーは眠ったままのスフィーリアに手を伸ばした。
この尼、まだ眠ってやがる。
吹き矢の眠り薬がまだ効いているか?
本当は泣き叫ぶ顔を見ながら犯したかった所だが、まぁ良い。
どうせぶち込んだら破瓜の痛みで跳び起きるはずだ。
破瓜?
「そう言えばこの尼は処女かな?」
シシリーが不意につぶやく。
「う~ん、どうだろう。聞いた話じゃあ、人間の尼僧は処女が多いって言うぜ」
聞きかじりの知識でベニズが答える。
「ふーん……。処女か……」
「処女ならいいなぁ。きっといい声で泣くぜ……」
そう言いながらベニズがニタニタと厭らしく微笑む。
まあ、この際、どっちだっていい。ブチ込んじまえば処女も非処女になるのだ。
シシリーはスフィーリアの両足首を掴むとゆっくりと左右に開いた。
長い法衣のスカートに包まれた内股が拡げられ、シシリーはその間に己の両脚を挟んだ。
「これで目を覚ましても、もう股は閉じられねえぜ……」
そして胸を高鳴らせながらスカートの裾を上に向かって持ち上げていった。
その直後、長くしなやか二本の足が目の前に現れた。
白磁の様にまっ白で文字通りの美脚だ。
更にその美脚の付け根を見上げると、スフィーリアの下腹部が露わになる。
彼女の股間は太ももに挟み込まれる様に白く小さな下着に包まれていた。
「凄ぇ……」
シシリーが思わず声を上げる。
綺麗だ。何が綺麗かと言われても困るが綺麗だ。
そしてそれがオラの物になる為に今か今かと待っている。
先ほどから胸の鼓動が激しく打つ。
そして思わず自分の鼻先をスフィーリアの股間の間に近付けた。
思い切り鼻で息を吸った。
布越しに浅く膨らんだ恥丘を嗅ぐと生暖かな空気と混じった微かにツンとした匂いが鼻孔を突く。
それはスフィーリアが股座から醸し出す、僅かな小便と混ざり合った牝の匂いだった。
それを嗅いだ瞬間、シシリーの欲情が極限まで昂った。
「もう我慢できねぇ!」
興奮のあまりシシリーが履いていたズボンに指を掛けた。
シシリーの精神は制御を失った暴れ馬の様に奮い立っていた。
もうこの衝動を止めることなど出来ない。
そしてスフィーリアの下着に指を掛けると、一気に摺り下げようと力を込める。




