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6話 遭遇と暗雲

「…」

「…」

「…」


無言の視線が痛い。


「スタンピードか」

「帝国の騎士が対応してんのな」


帝国まで後2時間程の距離

C〜Bランクの魔物が出現する森と平原の境目。

丁度そこで、防衛ラインを築く帝国騎士を見つけた。しかも、見覚えのある騎士がいる。その横には、見覚えのある幼女と知らんのが数人。


「ありゃ皇族だな」

「なに?」

「長男ナハト・ミリタリス、次男ハネストル・ミリタリス、三男、シュナイト・ミリタリス、四男ヨナン・ミリタリス、次女ナライアト・ミリタリスだな」

「多いな」

「まだ、末っ子と長女もいるしな」


頑張ってんな皇族。



でだ、どうする?


「無視する」

「無視する」

「あの男だけ潰す」

「ナニを潰す」

「テロして行こうぜ」

「お前ら…」


どうしてこうも自由奔放なのか。数人、物騒が過ぎる。


「兄さん、無視する、っていうのは、無理だと思う」


瞳が指差す方向には


「新しい魔物の集団?」

「ブルーパンサーでは?」

「ほんとだ」

「何がいるの?いま」

「ブルーパンサー、ブラックベアー、フォレストアント、アーミースネーク、アーマーアーミービー、ツインテイルスコーピオンかな?」

「全部Bランクじゃん」

「ツインテイルスコーピオンってAでは?」

「Aだな」

「お、ゴブリンとかもいるぞ」


中々の数では?対応しきれるの?



「崩れる」


いち早く察知したのは織田。流石軍師。


「左翼の攻撃が弱いな。魔物が集中するぞ」


その予想は的中する。


火力が足りないことに気付いたのか定かではないが、魔物の数が左翼に集中する。


対処しようと動くが遅い。


「総員戦闘用意」


仕方ない。このままだと、寝覚め悪いからな。


「萌々香さん!」

「オートヒーリング!」


帝国騎士に向けての自動回復魔法。


困惑しているようだが、これで多少は大丈夫だろう。


「派手に行くぞ。櫻井!」

「おう!」

「三條さんと生駒さんはそれに続いて!」

「「了解!」」

「戦闘開始!」

「エクス!プロージョン!」


魔物の後方に着弾。周囲を吹き飛ばす。


「アルバ!」

「フェンリル!」


竜王とフェンリルが、その体躯を活かした蹂躙劇を開始する。


「指揮系統は部隊長に!好きにやれ!」


スタンピードとはいえ、その数は千に届かないくらい。増援が来た状況なら、帝国騎士も動けるはず。


「FFには気をつけろよ!」


雄叫びが聞こえるから、帝国騎士が立て直したのだろう。突っ込んでくる。



「残りは帝国騎士に任せるぞ!集合!」


数も相当減り、今では二百とちょっと。なら、俺達はいらない。


「指揮系統はどう?」

「いいと思う」

「衛司は基本的に非戦闘職の護衛だから、遊撃隊より独立した部隊として扱っていいんじゃない?」

「それはそうだな」


そして始まる反省会。素材がどうとか、殺し方がこうとか。

幼女とその周囲のが、凄い目でこっち見てるぞ。


それから程なくして戦闘は終わり、偉い人達がこちらへ向かってくる。


「おー凄い形相」

「感謝するつもりないだろあれ」

「ねぇー逃げよう?」

「遅いから。大人しくしてろよ」


こちらも代表として、俺、佐伯、織田、ユーテリアさんが前に出る。



「賊が」


小さく吐き捨てた単語は、バッチリ聞こえている。


「瞳!」


前の時より強く止める。

じゃないと本当に殺りそう。


「面倒は嫌だからやめて」


今回は薄皮一枚いったようだ。血が流れてる。


「兄さん、此奴、いい加減」

「いいから」


渋々といった感じに戻ってくる瞳。


「何か用でしょうか?」

「…ちっ。助けていただき感謝する」


感情の篭っていない、いや、怒りが込められた感謝の言葉。


「気にするな。目撃した以上、見殺しにするのは気が引けただけだ。じゃあな」


それだけ告げ、踵を返す。

こいつのいる国に行くの嫌なんだけど。


「ま、待ってください!」

「あ?」


幼い声に呼び止められる。


「あん時の幼女か」

「あの、二度も助けていただき感謝致します。我が国の騎士に代わり感謝を」


ほー。


「なんだ、下があんなだから上もって思ってたけど、そんなことは無いのな」

「言うてやるな」


佐伯と織田の声は、当然聞こえていたようで、あの騎士、バカにしよう。がまた赤くなる。


「私の名前はナライアト・ミリタリスと申します」

「これは失礼を。ナライアト様。改めましてユウキと申します。家名は無いのでご容赦を」

「佐伯尚登と申します」

「織田龍馬と申します」

「元ミステス王国、元第一王女ユーテリア・ハイ・ミステスと申します」


俺と佐伯、織田は何時ぞやの俺がやった姿勢を。

ユーテリアさんは、一応元王族なのでカーテシー。様になってるよね。


ちなみに、因縁のあるハゲ達は、牡丹さんと一緒に気配を殺して周囲に潜んでいる。

こうしてれば、暗殺者って感じがするよな。


「ユーテリア様、元ということは何かあったのでしょうか?」


おや?情報共有がされていない?


「失礼ながらナライアト様、ミステス王国での出来事をご存知で無いのでしょうか?」

「え?えぇ」


後ろの皇太子達は、知っているのだろう。

ナライアト様の言葉にびっくりしている。


「ギラル、貴方何か知っている?」

「……」


あー。知ってて黙ってたパターンか。でもなんで?


「ギラル、僕にも聞かせてもらえる?何故ナライアトにその事を伝えてないのか」


皇太子の一人、一番上の子だろう。が詰め寄る。


「申し訳ございません。賊の襲撃があり、伝えるのを失念しておりました」


本当のように見せかけているが…


「そうか。次は気を付けろ」


はぁ〜?マジで?それだけ?まぁいいやめんどくさい。


「それでは、私達はこれで。失礼致します」


今度こそ去ろうとするが


「待ってください」


今度は皇太子に止められる。


「僕の名前はナハト・ミリタリス。僕からの依頼なんだけど、帰国まで護衛してくれないかな?」

「嫌だ」

「…理由を聞いても?」

「なぁ、聞く意味ある?分かりきってるよね?」


騎士達が凄い形相してるよ。知らんけど。


「そこのギラルとか言う騎士が、俺たちのことを気に入ってないだろ?んで、そっちに合わせて進んでたら、野営するだろ?そんなの勘弁だね。後ろから刺されるかもしれないんだから」

「俺はそんなことは!」

「しないとは言いきれないだろ」

「ッ!」

「信用ならねぇんだよ。感謝する立場のはずが、こっちに向けるのは怒りだ。そんな奴のどこを信じろと?俺達は馬鹿じゃない。そういうわけなので諦めてください」

「…皇太子からの依頼だとしても断るか?」

「はい」

「武力行使にでるかもしれないが?」

「そうなれば、逃げて別の国へ行きます。皇帝には残念ですが、招待には応じられないと返事致します」

「え?父からの招待ですか?」

「おや?ご存知でない?マーキュリー商会の会頭が渡しに来ましたが?」


これあれだな。話が上手く通ってない。


「てかこれ、皇帝から息子娘に対する試験?なのでは?」

「あー。客人だとわかった相手への対応の?」

「うん。あとはあれじゃない?護衛や遠征中の騎士の対応も見るためじゃない」


あ、ナハト様やナライアト様、ギラルの顔が少し強ばったな。他の騎士や皇太子達も同じか。


まぁ後は知らん。行くか


「三條さん、生駒さん、またお願いできる?」

「「おまかせ」」


竜王とフェンリルに乗り、その場を去る。


後ろから、何か言ってる声が聞こえるが知らん。


「ねぇ、どうするの?」

「どうするとは?」

「アレ」


後ろを見れば、距離は開いているが、必死に追いかけてくる騎士達の姿。


「無視に決まってる」

「いいの?」

「俺達は何も見なかった。おーけー?」

「「おーけー」」


さぁ、速度を上げて逃げようか!いざ帝国へ!


そして、騎士やナハト様、ナライアト様と再開するのは2日ほど先の話。



「はぁっ、はぁっ、んっ、っ!はぁ」


森の中、大木に寄り添う一つの影。


「なんで、俺がこんな目に」


体中傷だらけ。頭から流れた血のせいで、片目は閉じられている。


「帝国騎士だからって許される暴挙じゃないだろ!」


その怒声は、森のざわめきに掻き消され、誰に届くことも無い。


「何処に逃げた!」

「この森だ、遠くには逃げてないはずだ!」

「おい!こっちに血が残ってるぞ!」

「追え!」


微かだが、そんな声が聞こえてくる。


「クソっ!」


大木に登り、枝を飛び移るようにして、再び逃げる。


「俺が何をしたって言うんだ!俺は、親父を超えたかった!それだけなのに、なんで…親父が…」


怒りと悲しみ。先程の騎士に対するものより、複雑な感情が込められている。


走り続ける。足を止めることは無い。行く宛てもなく、ただ遠くへ。その先で彼は出会う。彼が慕うべき者、仕えるべき者の元へと。

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