3話 第3の選択と登録
ザワザワ。ザワザワ。ガヤガヤ。ガヤガヤ。
「目立ちすぎ」
「だってぇ」
「ん?すまないな。もう少し、手前で降りるべきだったか」
現在地、アレスター公国中心地にある広場。
竜王アルバ・ムートの背に乗ったまま、兵に囲まれていた。
竜王と契約し、アレスター公国へ運んでもらうことになったのだが、如何せん降りる位置が悪かった。
少し離れた場所に降りれば良かったのだが、あろうことか、国の中心部に降りたのだ。
そりゃ兵士が出張ってくるさ。
「三條さん、竜王のことどうにかできない?」
「そう言われても…」
「我がこの姿なのが問題なのだな?」
「まぁそうだな。この大きさだとね」
「わかった。全員降りてくれ」
竜王の言われるがままに、全員が背から降りる。
「ソウカよ、猫と犬どちらが好きだ」
「え?猫と犬?えっと私はモモンガが好きです」
「モモンガ?あぁフクロモモンガか?」
「あ、はい」
「わかった」
あれ?こっちの世界モモンガいるの?しかも種の名前も同じなの?
竜王の身体から魔力が抜けて、その存在を小さくしていく。そして、魔力の放出が止まると、フクロモモンガが現れ、三條さんの服の胸ポケットに入っていく。
「これならば問題あるまい」
「す、すごい」
「まぁ、戦闘力は激減するからアレだがな」
「いえ!そんなことは大丈夫です!可愛い」
確かに可愛い。ポケットからひょっこり出てるのがまた良い!
「それで、ハゲ頭」
「ハゲって言わないで貰えますかね!?気にしてんですよ!?」
「アタ・ハマゲの時点で逃れられない呪縛だろうがよ」
「この名前付けた両親ぶん殴りたい!」
案内役で連れてるこのハゲ頭。名前をアタ・ハマゲと言うらしく、皆からハゲって言われてる。なんでも、まだ26歳なんだとか。んー若ハゲか…。
「冒険者組合と銀行に案内しろ。そしたら報酬払ってやるから」
「ついてきてください」
周りの兵士とかその他諸々無視して進もうとする。
「君達!待ちなさい」
やっぱり声を掛けられる。
「アレスター公国ギルド支部ギルドマスターのプレドラだ。先程の竜王と君たちについて話が聞きたい。いいだろうか?」
ギルドマスター登場。しかも女性だな。
それにしても、騎士団とかがある訳じゃなく、冒険者、傭兵団がこの国の警備を担当してるのか。
「構いません」
「ありがとう。助かるよ。こっちだ」
プレドラさんが踵を返し、組合がある方向へ歩き出す。
「案内役の意味…」
「ここまで案内してくれたろ?報酬は払うさ」
ハゲ頭が泣いている。
とりあえず、プレドラさんについていこう。
裏口から組合へ。そのまま会議室へ通される。
「さて、君達は噂で聞いた勇者一行かな?」
「はい」
「とすると、ミステス王国は?」
「滅ぼしました。国民は死人でしたし、王も魔族と繋がっているようでしたから」
「なるほど。それの証明は?」
「それは私が」
「貴方様は」
「ユーテリア・ハイ・ミステス。ミステス王国の第一王女でした。私が真実だと証明します」
「わかりました。一応、調査隊を向かわせます」
「ありがとうございます」
「報酬の方は、確認後ということで」
これで、王国に関してと自分達の話終了。
「そこにいるのは、ハゲか?」
「プレドラの姐さん!?」
「俺達が困っているところを助けてくれたんだ」
「そうか。そういうことにしておく」
これはなんかバレてる?
「君達は冒険者登録と傭兵団登録かな?」
「はい」
「よし。ここで済ませようか」
「お願いします」
プレドラさんが鈴を鳴らすと、数人の職員が、何かをもって入室してきた。
「この水晶に手を翳してもらう。そうすると、こっちの水晶石から、冒険者証が発行される。その隣で、傭兵団登録をしてもらうから、代表者は最初にやろうか」
はい、俺ですね。
手を翳します。水晶が光って、連動するように水晶石が反応。石の隙間からカードが。
ユウキ
HP1700
MP500
STR900
VIT800
AGI230
RES「γ」
DEX400
INT1200
LUCK50()
スキル、浸透共有、
(技能・宮廷護身格闘術)
次に瞳が
ヒトミ
HP800
MP760
STR600
VIT440
AGI300
RES「γ」
DEX600
INT1200
LUCKアンノウン
スキル、浸透共有、宮廷護身剣術、天属使者(全属性魔法使用)、体術、千里眼、感知、消音、消臭、気薄、召喚術、使役、対話、格闘術、炊事洗濯(各家庭に1人欲しい)、話術
2人揃って不思議なステータスである。
「?既にステータスの値が定まっている?」
「ステータスの1つがγ?一人はLUCKアンノウンって」
「何か問題が?」
「少し長くなるから、傭兵団登録を進めながら説明するよ」
異世界より召喚された者達は総じて勇者と呼ばれる。称号は関係なく、異世界より召喚された者というのが大事。
そして、勇者はステータスが決まっておらず、ある時を境にして、ステータスが固定される。条件は不明だけど、過去の勇者曰く、目覚めの時が何とか。だから、勇者である2人のステータスが定まっているのは不思議なことなの。短期間で何かあったの?
それと、γについて。これは、数値が測定不明であることを示すの。アンノウンという表示もそれと同じようなものなんだけど。アンノウンは観測不明。数値が高すぎる、低すぎるとかではなく、何かによって妨害されているの。
なるほどー。
「やっぱり規格外か」
「まぁ想定通り」
「どうせ、ステータス値に関しては、優騎の称号如月関係だろうし。瞳ちゃんは浸透共有の影響だろ?」
何やら考察が始まる。
「傭兵団名どうする?」
考察会はやめさせよう。プレドラさんが少し怖い。
「名前?」
「あいうえお」
「あああああ」
「誰やねん」
「ヤミラミィ」
「ゴーストバスター」
「テンプレ勇者」
「佐伯様と愉快な仲間たち」
「ユーテリアと愉快な仲間たち」
「爆ぜろリア充」
「弾けろリア充」
「真面目に考えようか」
「「はーい」」
ほっとくと良くないなこれは。
10分経過
………
20分経過
………
30分経過
………
1時間経過
………
「高校の名前付ければ?」
「高校の?」
「そ」
「国立ユートピア?」
「ユートピア傭兵団?」
「なんか違う」
2時間経過
………
「暁ノ傭兵団」
「普通」
「候補決定」
3時間経過
………
「暁ノ守人」
「いい」
「賛成」
「決まり!」
傭兵団名、暁ノ守人。
リーダー、ユウキ
副リーダー、サエキ
「登録完了です。勇者の皆様はランクBからのスタートです。依頼もBまでなら受けることが可能です。全員で受ける場合は、変則的にAランクも受けることができます。冒険者証は、各国で使用可能ですので安心してください。説明は以上です」
「昼飯どうする?」
「とりあえず、魔物狩りに行かない?」
「食材足りないの?」
「そろそろ、醤油とかの調味料をと思って」
「行くか」
「だな」
錬金術師、柳・L・スミスの提案により、これより狩り。
塩胡椒、カレースパイス(多いから纏めさせて)、お酢、料理酒は交換し、大量に収納バックの中に。
だから今度は醤油、味噌、砂糖、味醂、胡麻、油を交換したいらしい。
「狩りに行くなら、ギルドの依頼とレート確認すっぞ」
「調べてきた」
「さすぼた」
「さすぼた?」
「流石牡丹、略してさすぼた」
「で、何があった?」
「これといったのはない。レートの方も普通。この一帯で狩れる魔物は弱い部類だから、私達がやるまでもない。ってギルマスに言われた」
「なるほど」
「ただ、森の奥に行くなら、ベアーとパンサーに気をつけろって」
「覚えのある名前だ」
「昨日狩った奴?」
「レート高いの?」
「普通に強いからでは?」
「新井正解。Bランク相当の魔物らしい」
「問題なし」
「行先決定」
「兄さん、銀行は?」
「「あ」」
「先そっちだな」
「ところでハゲは?」
狩りの前に銀行に行くことに。
そこで一人いないことに気付く。
「ギルマスに呼び止められてた」
まぁ、聞かないといけないことがあるだろうしな。
「後で報酬渡しに行くか」
銀行で換金を済まし、狩りの為に森へと向かう。
「何があった?」
「依頼中、勇者一行が割り込んできてな。呆気なくやられた。他のやつは先に逃がされた」
「Sランク傭兵団のお前達が?」
「手も足も出なかった」
「それほどなのか」
「個人の実力だけ見れば、まだ勝てる。けど、集団戦闘となれば、軍でも勝てないかもしれん」
「…」
「戦闘指揮を担当してる奴、軍師だったか?の指示をリーダーのユウキとサエキが全体に伝達させるんだ。そして、全員が臨機応変に対応する」
「能力の把握が済んでいるのか」
「ユウキとヒトミはまだ未知数らしいがな」
「あの二人はイレギュラーが過ぎる」
「とりあえず、自分は戻ります」
「あぁ。報酬は私からお前に渡せるように話しておく」
「お願いします」
ハゲが退出して、プレドラは溜め息を吐く
「はぁ」
椅子に深く腰掛け、天井を見つめながら思考に耽ける。
ギルド全体に通達するべきか…
敵対を選ぶか、協力するか…
どうせ面倒なことに巻き込まれるんだろうなぁ
「はぁ〜」
もう一度大きな溜め息を吐き、思考を切り替える。
「とりあえず、通達だけしておこう」
「はぁ〜」
組合から出るなり、盛大な溜め息。
「戻ると言っても、うちのボスのこと考えれば、俺らは始末されるんだよなぁ。どうすっかなぁ」
傭兵団とはいえ暗殺集団。表向きの仕事で顔がバレるのは良い。だが、裏の仕事中にバレるのは良くない。芋づる式に他がバレるから。
「とりあえず、逃げるか」
ハゲは路地裏に消えていく。先に逃げたメンバーと合流して逃げるために。




