縁と騎竜
朝7時、全員起床
7時半、朝食
8時、片付け
8時半、移動開始
「優騎、アレスター公国までどのくらい?」
「距離で言うなら100キロ、時間で言うなら2日」
「それなりにあるんだな」
「それでも近い方だ。移動手段がない以上、近場の国で何かしら手に入れないと」
「優騎、移動手段が欲しいなら、召喚しようか?」
「は?」
「いや、召喚獣なら言うこと聞くし、飼育小屋とかも要らないし」
「……」
「優騎?」
「もっと早くに言って欲しかった」
そういうわけで、召喚士、生駒瑠美の提案を採用。実行する。
「必要なのは移動手段になる獣…だったら」
思案するように目を閉じて、魔力を練り上げる。
「我求める」
「天を駆け地を奔るモノ」
「我が呼ぶ」
「汝応えるは王の息吹」
「呼び声に応じよ、竜王アルバ・ムート」
生駒さんの前に、巨大な魔法陣、召喚陣が展開され、言葉を紡ぐ度輝きを増していく。
そしてそこから現れたのは、全長50メートルの竜。
龍は四肢を持ち、翼を持つ。
竜は翼を持ち、後ろ脚を持つ。
竜より龍が強い。
序列的には、竜<五大竜<竜王<神竜<龍<五大龍<龍王<神龍<神龍帝
五大竜、竜王、神竜、五大龍、龍王、神龍は襲名制となっている。
とはいえ、竜と龍は別の生き物として扱われている。
現竜王アルバ・ムート。75年という歳月で竜王に至った。もう25年すれば神竜に至れると言われている、最強の竜である。
「ほう?我を呼んだのは貴様等か?勇者の一味よ」
「うちが呼びました。生駒瑠美と言います」
「生駒?お前、イコマと言ったか?」
「え?はい。そう名乗りました」
「そうか!生駒隼人の子孫か!ハハハハハ!縁とはこうも深いものか!」
おっとぉ?なんか1人で納得したのか笑っていらっしゃる。
「さて、イコマよ。我に何用か?」
「実は…」
カクカクシカジカ、ワレワレニンゲン、アナタリュウゾク、ソラトベル、ワレワレハコンデ
「なるほど。承知した。なんなら、そこの竜騎士。そいつと契約してもいいぞ。そうすれば、イコマは他の召喚獣も呼べる」
おっとぉ?魅力的な提案だ。
「して、条件は?」
「簡単なこと。全員纏めてかかってこい。我を認めさせろ」
単純明快!脳筋上等!
「どうする?決まってると思うけど」
「もちろんやりますよ」
竜騎士見習い、三條颯華さんはやる気のようだ。ならば!
「さぁ!強敵との初めての戦闘だ!死ぬかもしれない!認められないかもしれない!だけど!今やれる全力出して、燃え尽きろ!」
「「おう!」」
武器を手にし構える。
「その意気や良し!竜王アルバ・ムートが此処に!誓いを立てる!」
竜王と俺達を光の膜が覆う。
「それは、死を回避する物だ。好きなだけ来るといい」
竜王はニヤリと笑いながら言って羽ばたく。
「はばたいーたーら」
「もどらなーいといって!」
「めざしたーのーはー」
「あおい!あおい!あのそら!」
「戦闘開始!」
有名な曲を歌いながら、俺達は竜王との戦闘を開始する。
「出し惜しみはナシだ!新井!櫻井!嶺!」
今回は軍師、織田龍馬の指揮で全員が行動することに。
「炎艇!」「水陣!」「風鎧!」
炎艇…ドック○○ズという作品の主人公が使う、武器の乗り物モード的なの。櫻井実はアニオタなんです。
水陣…水流による陣地構築。水路を生成し、その中を自由自在に動き回る。
風鎧…風を鎧のように纏う。上級魔法のウィンドアームズとは別物。こちらの方が、繊細なコントロールが可能。飛行も可能で、立体機動も思うがまま。
「頑張ってくださいね!オートヒーリング!ブレイブハート!ソウルハウル!」
萌々香さんのオリジナル魔法。自動回復とバフだね。
「蒼斗さん!」
「カンニバルに合わせる!」
「いきます!」
竜王を囲んだ3人を援護するように、蒼斗と菅=原さんが動く。
「「サンダー・The・ザンバー!!」」
雷の上級魔法、サンダー・The・ザンバー。雷を刃状に形成、放つ一撃。
「スターソード!エミッション!」
乃恵さんによる、長距離攻撃。オリジナル魔法。
光剣を生成、その力を解放、一瞬で撃ち出す。
「ぬっ!?」
いきなりの高火力連携に、竜王は一瞬の不意を突かれる。しかし、すぐさま立て直すと、回避行動に移る。
「させません!大地よ植物よ!標的を拘束して!」
琴吹さんの声に、木々が反応。急成長。竜王の行動を邪魔する。
「エクスプロージョン!」
「水刃竜!」
「ストームプリズン!」
櫻井お気に入りの一撃と新井の現最高火力、嶺さんの継続ダメージ技。
全ての一撃が同じタイミングでぶつかる。
ドォォォォォン!!
爆風で、周囲の木々と案内役でいたハゲ頭を吹き飛ばす。
「なんでだァァァァァ!」
「生駒!瀬戸!三條!」
織田が次を指示する。
「レイスフェンリル!」
「剣聖流剣術、壱ノ剣、飛閃!」
「三條家相伝槍術!雀蜂!」
レイスとフェンリルの合成召喚、レイスフェンリルの突撃。瀬戸の剣術、三條の槍術。
煙の晴れた中央に滞空する竜王に直撃。
次の攻撃に移る前に、竜王が煙の向こうから突撃してくる。
「守護騎士!」
「任せろ!」
咄嗟に守護騎士、前院衛司が盾を構えながら飛び出す。
「シールドタートル!」
盾を光が覆い、亀の甲羅のような模様を浮かび上がらせる。
「まだまだ!シールドバッシュ!」
ぶつかる寸前に、衛司の方から攻撃に移る。盾の最も効果的で、シンプルな技。タイミングを合わせないといけないので、若干難易度は高い。
「ふんっぬぅ!」
突撃の勢いそのまま、カウンターで吹き飛ばす。
吹き飛ばされた先には
「技名はないけど」
「そんなのは別にいらない」
牡丹さんと瞳のペア。相変わらず気配が薄い。スキルって便利!
自ら攻撃にいくのではなく、飛来する進路に刃を置き、勢いを活かして傷をつける。
「ガァッ!」
流石の竜王と言えど、この連撃は堪えるようだ。
牡丹さんと瞳が傷つけたのは翼。その結果、竜王は高度を落とす。
「宮廷護身格闘術、護法一天、帝釈天!」
身体が雷を纏い、右手に収束。竜王の腹に命中すると同時に、収束された雷が解放され、竜王を焼き焦がす。
「グオォォォォォォ!」
身体のあちこちから、煙をあげる竜王。
「加減している状態では、勝ち目はないか」
やはり手加減はしているらしい。まぁ、本気でやったら相手にならないからな。なんせ竜王は危険度SSランク以上の魔物だ。
「この一撃を防いでみよ。それで貴様等の勝ちだ」
口を開き、魔力が収束する。
「息吹か」
衛司を先頭に、全員が防御態勢に。
「シールドウォール!」
「ギロチン、セット!」
「水流障壁!」
「ラフレシア、セット!」
「「アクアシールド!」」
「「ファイアシールド」」
「「ウィンドシールド」」
「「ライトシールド」」
使用出来る全ての防御技。それを重ねる。
そして、俺は拳を構える。
「宮廷護身格闘術」
「さぁ!防いで見せろ!」
息吹が放たれる。
本気の一撃は、シールド系を突き破り、水流障壁にぶつかり、少しだけ勢いを落とす。
チカッ!ザン!ゴォウ!
遅延設置型闇魔法ギロチンと遅延設置型火魔法ラフレシア。息吹が設置位置を通る瞬間、息吹に直撃。これでも勢いは少ししか落ちない。
残るシールドウォールに直撃。押し留まるも、徐々にヒビが入り、砕ける。
次の瞬間、俺は拳を振るう。
「護法二天、火天!」
護法一天帝釈天と違い、纏うのは火。
息吹に生身で立ち向かい、拳をぶつける。燃え盛る拳は、息吹を徐々に逸らしていく。
「オォォォォォォォォォォォ!!!」
ボォーン!
爆発。その爆風で、息吹の軌道がズレる。
「瞳!」
あと一押し!
一番信頼できる妹の名を呼ぶ!
「宮廷護身剣術、射反の構え、勾玉」
一刀で受け、回転するようにして、流す。
本来はそれを返すのが射反の構えだが、今回は逸らすことに使う。
それによって、何とか逸らすことに成功。防いでない?そんなん無理。今の実力じゃこれが限界。寧ろ、逸らせただけ褒めてよ。
「ハッハッハッハ!見事だな!」
竜王が笑いながらやってくる。今のでよかったみたい。
「合格でいいの?」
「勿論!合格だ」
「「よっしゃーー!!」」
三條さんと生駒さんが一番喜んでいるな。まぁ一番影響あるの三條さんだし、生駒さんは呼んだ本人だからね。
「三條と言ったか?こちらに寄れ」
喜ぶ三條さんを眺めながら、声を掛ける。
「槍を地面に刺せ。そして、血を一滴槍に垂らせ」
言われるがままに、槍を突き刺し、血を垂らす。
「我に続け」
竜王も同じように血を垂らし、言葉を紡ぐ。
「「契約神に誓う」」
「我願うは至高の騎士」
「我願うは至高の騎龍」
「「我等二人で一人なれば」」
「「命結びて一蓮托生」」
「騎士の名を三條颯華」
「騎龍の名をアルバ・ムート」
二人を魔力の糸が結ぶ。それが互いの右手に刻まれる。
「これで契約完了だ。何処にいてもお互いのことが分かり、片方が死ねばもう片方も死ぬ」
「わかりやすい」
「それで?我の初仕事は何かな?」
「それじゃあアレスター公国まで、私達を運んで」




