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第6章 第1話 メイド会議

〇斬波




「それじゃ~メイド会議はじめま~す」



 侑さんの司会によって始まるメイド会議。ちなみにメイド会議とは、六姉妹のメイド+ジンのメイドの私を加えた、毎週月金の夜に行われる定例会議のことである。



 今日は月曜日で、議題は様々。主の近況を報告したり、問題があれば解決策を考えたり。とりあえず今回は近況報告から始まるようだ。



「グレースちゃんは~お酒ハマりすぎかな~って気がするな~。煙草にも手を出そうとしてるみたいだし~それとな~く注意してみる~。あと男の人が告白してきたから断ってた~」



 グレースさんの報告はだいたいいつも通りだ。というのも侑さんはグレースさんのことをあまり言おうとしない。この2人の関係性的に仕方ないのかもしれないが、もう少し歩み寄ってもいいと思う。



「続いては私が」



 長女に続き、次女の早苗のメイドの未来が立ち上がる。ここからの中高生ゾーンは先日中間試験があったことから、おそらくそれ関連になるだろう。



「早苗様は赤点がないとおっしゃっていましたが、眠っている内に確認してみたところ、英語が壊滅的。旦那様への報告をしてきました」



 げ……報告されたんだ早苗かわいそう。せっかく私今まで見逃してあげてたのに。



「私も注意しましたが、ジン様関連でとても幸せそうで、まったく話を聞いていません。以上です」

「じゃあ次はルナですねっ」



 未来が座るのと同時に、瑠奈が座りながら手を上げる。



「玲ちゃんはー、赤点こそなかったものの、全体的に低水準。復習をするつもりはないようで、ケーキ作りに勤しんでますっ」



 ほんとあの姉妹は……みんな勉強できないんだから。



「愛菜さんは平均60点代と今までにないほどの学力の向上っぷり! もっとがんばっていきますよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」



 熱海がばっ、と立ち上がり、ばっ、と座る。平均60点は充分悪いだろうに……。まぁ上がってるのならいいのかな。



「杏子ちゃんはいつも通りです。特に問題ありません」



 風花は上がったとは言わなかったが、愛菜さんより下というわけではない。単純に素行や成績が完璧すぎて、これ以上上がり目がないのだ。小学生は中間試験なんてないからわかりづらいだろうが、学年1位間違いなしだろう。



「来海もいつも通り。特に問題ない」



 冬子が言ういつも通りは風花とは真逆。小学3年だから不安定なところはあるが、安定して頭が悪く好奇心旺盛。問題を起こしていないならよかった、という感じか。



 さて、残ったのは私。みんな知っているだろうが、報告しておこう。



「ジンは中間試験2位の結果を収め、婚約破棄を告げた後失踪。図書館で勉強していたところを発見し、連れ帰ったところ、早苗に泣きついて離れなくなりました」



 はぁ……。我が主ながら、言っていて恥ずかしくなる。どんだけ学年2位が悔しかったんだか。



「だいたい未来が1位なんてとんなきゃジンがいじけることなかったのに」

「で、ですが手加減するなと……!」


「言われても手を抜くのが当たり前でしょ。接待で本気出す奴がいる?」

「き、斬波さんだってこの前ゲームで早苗様やジン様を軽く捩じ伏せていたではないですか!」



 そう言われると弱い。ていうか、あれだな……。



「ごめん、ちょっと当たった」

「いえ……気をつけます」



 まさかジンがあんなに脆いとは思っていなかった。そうだよね。全国1位が、何もないジンの唯一の拠り所。誰になんと励まされても、そう簡単に割り切れるほど甘い人生は送れなかった。だからこそ1位じゃなくてもいいって教えなきゃいけないけど……時間がかかりそうだ。



「とりあえず。ジンと早苗の誕生日パーティーまでには何とかします」



 そう言って私は座る。ジンは5月25日金曜日、早苗は26日土曜日が誕生日。ついでに私も25日だけど、そのパーティーがまとめて26日に開かれることになっている。家族だけのささやかな会だけど、そこは園咲家。それなりには豪華だ。



 だが現在主役の一人であるジンがメンタルブレイク中。早苗から離れられないでいる。早苗は早苗でその状況がすごい幸せらしく、今も部屋で抱き合っていることだろう。



 そこで生じる一番の問題として、ジンに誕生日会という概念が存在しないこと。一応誕生日は祝うもの、ということは知っているようだが、自分のは祝われたことがないだろうし、なんならこっちで役所に問い合わせなかったら誕生日を知らないでいた。そんな認識なんだ。ちゃんと教えてあげないといけない。



 そして誕生日プレゼント選び。これも大事だ。早苗が男子にプレゼントをあげるのなんて初めて。ジンだって何かを購入するということに慣れていないだろう。



 誕生日パーティーまであと4日。それまでに2人を幸せにできるようなパーティーを開かなくては。メイドの名折れ。そして2人の親友失格だ。

今回は趣向を変えて斬波視点スタート! その内ジン視点に戻るかと思いますが、新たな試みです。


そして本編の方で番外編アップしました! 寺門さんの末路その1です。その2もその内アップします。どうぞチェックしてみてください。


そしてホラー書きたかったのですが、それだけだと読まれないのでラブコメ成分を乗せた新作アップしました。怖くないのでぜひご覧ください。

呪いにかかって俺のことが嫌いなのに大大大大大好きになってしまった美少女との百物語

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― 新着の感想 ―
[良い点] めちゃくちゃ笑ってしまったw ジンが負けて絶望してるとこ簡単に想像できましたw これからも応援してます。
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