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第5章 第2話 はじめてのメイド 2

「ジン様。早苗様。おはようございます」



 肩を揺すられ目を覚ます。目の前には天使のような寝顔を浮かべる早苗。そして顔を上げると、黒髪ポニーテールのメイドが立っていた。



「おはよう……斬波」

「おはようございます、ジン様。朝食の時間は終わりました。こちらに用意してありますので顔を洗ってからお召し上がりください」



 このこの名前は武藤斬波(むとうきりは)。元々は早苗の付き人だったが、とある事情により俺専属のメイドとして雇っている。なので、



「今日休日だしもう勤務終了でいいよ」

「ねぇジン。なんで早苗と一緒に寝てんの? 私も混ざりたかったんだけど!」



 俺が指示を出すと、斬波はカチューシャをベッドに投げ捨てて文句を垂れる。



「ぉはょうごじゃます……」

「早苗……眠そうな早苗もかわいいよぉ……」

「ぁりがとごじゃます……」



 ゆっくりと起き上がった早苗に抱きつく斬波。元々早苗に恋していたが、振られて以降愛を隠さなくなってきた。……ここまでくると俺も妬くな……。



「あ、ジンも好きだよ? 早苗ほどじゃないけど」

「そっちじゃないよ……」



 なぜだかはわからないが、斬波は寝ている間にキスをするくらいには俺のことを好きらしい。俺が早苗一筋な以上応えることはできないが。



「ていうかジン、ずいぶん起きるの遅くない? いつも1時寝4時起きなのにもう9時だよ? そんなに早苗の抱き心地よかったんだ」

「ああ。めっちゃくちゃ」


「カチン。おっと思わずお暇をいただくところだった」

「もうそんな時間ですか。急いでお着換えしないと」



 早苗がベッドから出て、とてとてと部屋から出ようとする。俺たちが住んでいるのは園咲家が所有するタワーマンション。身内しかいないわけで、そんなに急ぐ必要はないのだが……。



「あ、言い忘れていました。今日から私の新しいメイドさんが来るんです」

「「はぁっ!?」」



 元々メイドだった斬波が俺のメイドとなり、付き人がいなくなってしまった早苗。そこでゴールデンウィーク中に本家で面談をしていたのだが、色々なゴタゴタのせいで上手くいかなかったはず……。



「それがですね、斬波のお父さんが決めてくれたんです。私もまだ会えていませんが、代々園咲家に仕える武藤家の方でも離れたところの娘さんらしく、選考からも漏れていたのですが、とても優秀な方のようです。どうやらジンくんとお話をして考えが変わったようですね。たとえ本家から血が遠くても優秀な方を派遣しようとしたらしいです」

「え、それって俺が駄目だからってこと?」

「お父さんが言いたいことはそうじゃないと思うけど」



 事情はよくわからないが、とにかくやるべきことは決まっている。



「ご主人様、休日出勤してもよろしいでしょうか」

「俺もそれを考えていた。斬波、スーツ出せ」

「かしこまりました」

「えっ、どうして急にやる気出したんですか?」



 そんなこと決まっている。



「その人が寝ている主にキスするような奴だったらたまらないからな」

「その方が常識の欠片もない方だったら認められませんから」

「「俺と私がそいつをテストしてやる。いぇーい!」」

「ジンくんと斬波ってほんと仲いいですよね……」



 意見が合った俺と斬波がハイタッチするのを見て早苗がため息のような笑い声を吐き出す。とにもかくにも斬波はメイドのカチューシャをつけ直し、俺はスーツに、早苗は白いブラウスと黒いスカートという上品な服に着替え、早苗の部屋で新しいメイドを待つ。そして10分後、扉がノックされメイドさんが入ってきた。



「はじめまして。本日から早苗様の付き人を務めさせていただきます、武藤未来(むとうみく)です。未熟者ではありますが、どうぞよろしくお願いします」



 そう言って頭を下げた少女は親戚だから当然かもしれないが、斬波と雰囲気が似ていた。髪はロングの斬波と違い肩くらいまでだが、日本刀のような鋭い美しさは同等と言っても差し支えない。



「挨拶は百点だな。俺に礼儀のことはよくわからないけど」

「私は反対ですね。おっぱい大きすぎです。えっち罪で退場願わないと私の理性がやばいです」

「まぁまぁ。はじめまして、未来さん。これからお世話になる早苗です。同い年ですし、どうぞ気楽にお仕事に臨んでくださいね」

「そういうわけにはいきません。私の仕事は早苗様を完璧な淑女として育成することと仰せつかっています。妥協は一切許されませんから。ということで男性の方、部屋からどうぞご退出なさってください」



 適当に口を開いた俺や斬波とは対照的に丁寧にあいさつを交わした早苗と未来さんだったが、いたって真面目な顔で俺に出ていくよう命じられてしまった。



「大丈夫ですよ。この方は須藤ジンくん。私の婚約者です。今日は4人で過ごしましょう?」

「なりません。武藤本家当主からの指示は早苗様のサポートです。そして早苗様は将来園咲を背負うであろう御方。婚約者だからといって、婚前に異性と密接な関係を築くことは不適切と考えます」


「未来さん、私の父はそのようなことを頼んだわけではないと思うのですが」

「私は与えられた仕事を全うするのみです。ですので」



 未来さんは俺をジロリと睨み、言う。



「私が早苗様のメイドである限りはイチャイチャしようなどとお考えなさらないように」

前作が軽く100pt以上剥がれて辛いです……。今週中には短編をアップする予定なのでどうぞ残しておいていただけるとうれしいです。


そして続編らしく新キャラ投入です。すぐデレる予定なので安心してお読みください。


おもしろい、続きが気になると思っていただけましたら☆☆☆☆☆を押して評価を、そしてブックマークといいねのご協力よろしくお願いします。

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[気になる点] 百合っぽい描写を残すならキーワードなり注意書きなりしてほしいです。 [一言] 批判めいた感想で申し訳ありませんが最後と思いますので言わせてください。 面白いと思いつつ読ませていただい…
[一言] 100pt剥がれた理由は、ざまぁが中途半端で肩透かしを喰らったからでは…?
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