第5章 第1話 不幸な過去と幸せな現在
本作は「家族に虐待され学校でも虐められている俺がお嬢様を助けたら婚約者になって人生大逆転できました。」という作品の続編になります。読まなくてもわかるように書きますが、できればそちらから読んでいただけたらと思います。下のURLか、目次欄最上部の青いシリーズ欄から飛べます。
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「塵芥、悲鳴上げるなよ。おらぁっ!」
「さっさとバイト行って金稼いでこいよ。あんたが働かないとうちは生活できないのよ? このクズ!」
「ほら、ゴキブリいたぞ。お前の主食だろ? 味わって食えよ!」
痛い。しんどい。不味い。様々な苦痛が頭を支配する。
「来たよ、勉強しかできないクソ陰キャ野郎」
「知ってる? あいつの親、泥棒なんだってさ。近寄らない方がいいよ」
「気持ち悪い。さっさと死ねばいいのに」
苦しい。辛い。うるさい。もう嫌だ……なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだ。
「ジンくん苦しそう……大丈夫ですか……?」
だが今に見ていろ……! 俺は全国模試で1位を取った男だぞ……。いつか……絶対に見返してやるからな……!
「キ、キスしたら幸せになれるでしょうか……。し、しちゃいますよ……。ちゅー……」
「……あれ? 早苗……?」
「わひゃぁっ!?」
なぜか俺のベッドの中に入り込んでいた早苗が白い顔を真っ赤にして飛び起きる。この暗い中でも目立つブロンドの髪が激しく揺れる。
「ち……違うんですよ……? 私はジンくんの婚約者として幸せにする義務があるので……その……!」
「ああ……そうだったな……」
どうやら昔の夢を見ていたようだ。家族に虐待され、学校でも虐められていた須藤塵芥という名は捨てた。今の俺は須藤ジン。園咲早苗の婚約者だ。
それはつい1ヶ月ほど前の話。ミューレンスという超有名玩具メーカー社長令嬢にして名家、園咲の次女として生まれた早苗が誘拐されかけたところを通りがかった俺が救出。それがきっかけになり、虐待していたクソ両親から俺を買い取る形で、俺は早苗の婚約者となった。
「その……すごい苦しそうだったので脚が痛むのかと……」
早苗を助ける時。俺は左脚をナイフで刺され、軽度ではあるが麻痺が残ってしまった。今では車椅子を使わずに歩くこともできるが、杖はほとんど必須。それなりの不自由な生活を余儀なくされていた。
「大丈夫だよ。ちょっと昔のことを思い出しただけだ」
そう言い、俺は早苗を抱きしめる。そうだ。これは昔のこと。今の俺とは関係ない。
「……ジンくん。私も少し怖い夢を見てしまいました。今日は一緒に寝ませんか?」
「ああ、そうしよう」
今の俺は早苗と共に幸せな生活を満喫している。それだけで充分だ。
今話はあらすじみたいなものでした! 次回からは幸せいっぱい生活を満喫します。
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