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静かに過ごしたい冬馬君が学校のマドンナに好かれてしまった件について  作者: おとら@9シリーズ商業化
冬馬君は平和な日々を取り戻し……

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冬馬君は青春する

数日後、いよいよ文化祭の準備が本格化する。


朝の電車にて、早速その話題となり……。


「……まあ、良いか。さて、今日はどうするんだっけ?」


「放課後の教室に残って……採寸合わせするんじゃなかった?」


「あっ、そういやそうだったな。確か部活生も今日だけは全員休みで、クラスの出し物の採寸や相談をするんだったな。てことは俺も居残りか……」


「ふふ、執事服絶対似合うもん。写真撮ろうね?」


「畏まりました、お嬢様」


「ププッ!?もう〜!」


 ……フゥ、なんとか普通の空気に戻れたかな。





 そして授業を終え、放課後を迎える。


「あの〜、綾さん?」


「動かないで!私がやるの!」


「はいはい……」


 衣装係が俺の採寸を測ろうとしたら、綾が自分がやると言い出したのだ。

 どうやら、女子が俺の身体に触れるのがイヤというか……。

 まあ、嫉妬をしたということらしい……可愛いから良いけどな。


「ふふ、相変わらずラブラブね」


「だね〜、でも……まあ、いいか」


「どうやら、ことには及んでないけど……気まずくはならなかったようね」


「ふえっ!?ふ、2人とも!?」


「綾、手元見ないと。ブレるぞ?」


「あら?彼氏は動揺しないのね?」


「さすが〜。ヨッ!レッドウルフ!」


「やめんか!ここ学校だっつーの!」


「むぅ……冬馬君が動揺しないのも複雑です……」


 ……いや、ギリギリ保ってるだけですけどね?

 俺だって、動揺してますからね?

 言われるたびに、貴方の綺麗な裸が浮かびますからね?

 ……とは言えんな。

 俺の男としての意地にかけて……!


 その後採寸を終え、暇な時間となる。

 理由は簡単である。

 女子の採寸があるので、男子は追い出されたということだ。

 ちなみに、見張りを申し出たら断られた。

 よく考えたら当たり前の話である。


「あれ?吉野君、もしかして暇かな?」


「おっ、中野君。まあ、有り体に言えばそうだな」


「もし良かったら、バスケしない?今日は部活もないし、体育館空いてるから」


「ん?良いけど、勝手に使っていいのか?」


 俺も昨日のことがあり、身体を動かしたかったところだ。


「それは大丈夫。元々、自主練したかったから許可は取っておいたから」


「おっ、なら問題ないな。いいぜ、行こうか」


 2人で体育館へ向けて歩き出す。


「よし、決まりだね。ようやく遊べるね」


「あぁ……そういや、そんなこと言ってたな」


「吉野君は清水さんとばっかりいるからね」


「……すまない。そうだよな……自重する」


「いや、いいんじゃないかな。皆、触発されて恋人作ろうと思ってるみたいだし」


「え?そうなのか?」


「あれ?気づいてない?何人かカップルできたんだけど。やっぱり、清水さんにしか興味ないみたいだね」


「それは否定できないな。綾は可愛いからな」


「おおっ!照れもせずにどストレート……うん、見習いたいくらいだね」


「うん?中野君はモテそうたけど、彼女いないのか?」


「うん、いないね。確かに、告白とかはされることもあるけど。好きな子以外とは付き合う気ないしね」


 ……へぇ、自分が言うのもなんだが今時珍しいな。


「気に入った!」


「うん?あ、ありがとう?」


「ところで、申し訳ないのだが……名前なんて言うんだ?」


「えっ?ああ、確かに知らないか。博って言うよ」


「博か……今日からそう呼んでいいか?」


「うん、もちろん……ええと」


「もちろん、俺のことも冬馬でいい」


「オッケー。じゃあ、冬馬。これからよろしくね」


「おう、博」


 ……今更、新しい友達が出来るとは思って無かったな。

 これも綾のおかげだな。


 その後バスケットコートにて、1on1をひたすら繰り返す。


「にゃろう!!」


「うわっ!?ウソ!?ボール取られた!?」


「舐めんなよ!!」


 シュートを決める。


「まいったな……楽しいな。よし!もう一回!」


「こいや!」




 そして、2人して床に寝そべる……。


「ゼェ、ゼェ……さすがに敵わんか」


「ハァ、ハァ……何言ってんの?帰宅部なのに、俺について来れるとか……勿体ないね。でも、良いかな。こうやって遊べてるし」


「まあ、これでも毎日走ってるからな。ん?なんだ?」


「おーい!ずるいぞ!!」


 あれは陸上部の加藤に、サッカー部の佐々木や奥村まで……。

 他にもクラスの男子が何人かいる。

 あれ?田中君まで……。


「俺らもいれろや!」


「そうだ!そうだ!」


「いいけど……お前らは俺のこと嫌いじゃないのか?」


「はぁ!?嫌いだよ!だが、それとこれとは話は別だ!」


「羨ましいけどな!」


 ……そっか。

 こいつらも、根っからの悪い奴らじゃないってことか。


「そうか……田中君はどうして?」


「う、うん……僕も変わろうかなって。どうせ、違うタイプだって思って諦めてたけど。吉……冬馬君みたいな人もいるってわかったから」


「田中……あれ?」


「ハハ……だよね。啓介って言うんだ」


「そうか、啓介か。よろしくな」


「うん!まあ、足手まといだけどね……」


「遊びだから気にすんな。なっ?博」


「そうそう、皆で楽しくやろう」


「ほら!早くやろうぜ!」


「わかったよ……えーと」


「加藤真斗だよ!冬馬!」


「おっ、そうか。マサかな。よろしくな」


 その後は、皆で楽しくバスケに興じる。


 いつのまにか時間もたち、クラスの女子達が観客として見ていた。


「冬馬君〜!!頑張って〜!!」


「と、言うわけだ。博……抜かせてもらうぜ?」


「いやいや、こっちこそ好きな子の前ではカッコつけたいし」


「はい?」


「隙あり!」


「はっ!そんなもんはねぇ!」


 博の手を半歩下がり躱す。

 そして姿勢を後ろに傾けながら、ジャンプシュートをする。


「なっーー!!フェイドアウェイ!?」


 俺の放ったシュートは、綺麗な放物線を描いてリングに入る。

 スパッ!と気持ちの良い音が体育館に鳴り響く。


「よし!決まった!」


「冬馬君〜!ナイスシュート!かっこよかったよー!」


 ……まさか、クラスの連中とこんな風に過ごせるなんてな。


 綾、ありがとう。

 お前と出逢えて良かった。

 きっと、綾と会わなければ……。

 俺はこんなに良い奴もいることに気付かずに、学校生活を送っていただろう。

 綾も大事だが、これからはこういう付き合いも大事にしていこう。

 俺は、そんなことを思うのだった……。








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