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気になるあのひとは~清水綾視点~

 私の名前は清水綾。


 名前自体は、なんてことないありふれたものだと思う。


 ただ、私の容姿は特別だった。


 これは自慢でもなんでもなく、ただ客観的に見ての話です。


 幼い頃から、可愛い可愛いと言われて育ってきた。


 なので、自分は可愛いんだと認識していた。


 頭も良く、運動神経も良かった私は、みんなの人気者だった。


 男女問わず仲が良く、こんな時間が続くと思っていた。


 でも、中学に入ってから色々と変化が起きた。


 男と女に分かれていったんです。


 その結果、私は変化を余儀なくされました。

 

 私は、今まで通りに男子と接していました。


 すると、男子からは毎日のように告白され、毎回断る日々。


 私は見た目に反して、内面が子供だったんだと思う。


 まだ、恋愛とかわからなかったから……。


 でも、女子はそうは思わなかったみたい……。


 調子に乗ってる、性格悪そう、遊んでそう、そういう風に言われることも増えていった。


 私は困惑しました。


 だって私の容姿は変わったかもしれないけど、中身は変わってなかったから……。


 それなのに、身体だけはどんどん成長してしまう。


 胸も膨らんできて、お尻も肉づきが良くなり、手足が伸び、身長も伸びた。


 それに比例して、男子からの告白も増える。


 酷い時は、ストーカーまでされる。


 それでも、悪く言われるのは私。


 どんだけ理想高いの?とか、八方美人だから勘違いさせるんだよとか。


 酷い時は、誘ったんじゃないの?とまで言われた。


 そんな中で友達なんかできるわけもなく、私は孤立していった。


 私は必死に考えた。


 どうすれば、この状況から抜け出せるかを。


 結論は、私が自分を偽り、変わるしかなかった。


 それから私は、全てを完璧にこなせるように、必死に努力をした。


 勉強、お洒落、会話術、その他もろもろを、必死に覚えた。


 嬉しい誤算だったのは、お洒落は本当に好きになれたことかな。


 そして、隙のない女子を目指した。


 所謂、あの子ならしょうがないよねと言われるような女子に。


 それこそ、嫉妬すら起こらないくらいに……。


 結果的に成功はしました。


 男女問わず人気になり、友達も増えていきました。


 でも、私の心は虚しいまま……。


 そんな生活を変えるために、知っている人が少ない高校に入ったけど駄目でした……。


 もう既に、県内で知られてしまっていたのです。


 友達が勝手に写真を送ったり、プリクラなどを見せてまわっていたみたい……。


 すぐに学年問わずに、告白される日々。


 上級生には生意気だとか、調子こくんじゃねえ!と、恫喝されることもありました。


 それらをなんとか穏便に済ませて、上手く立ち回りました。


 勉強も学年トップをとり、生活態度を良くして先生を味方につけたり、友達の悩みなどを聞いてあげていました。


 すると、徐々に嫌がらせや、嫉妬の目がなくなってきました。


 それでも、毎日のように告白され、街ではスカウトされ、私はうんざりしていました。


 私だって中学生の頃とは違い、恋をしてみたいと思う。


 でも、告白してくる男子は私のことなんか見ていない。


 私の身体や顔、私と付き合うというステータスのために、告白してくる。


 もちろん、中には真剣な人もいた。


 でも、申し訳ないけど、私の方がピンとこなかった。


 そんな生活に嫌気がさした私は、漫画やアニメ、ゲームなどにハマりました。


 最初は、この中では現実逃避できるからという理由だった。


 でも次第に、単純に好きになっていきました。


 特にゲームのオンラインなどは容姿など関係ないので、とても楽しかったな……。


 でも、それはみんなが思う私には、似合わないこと。


 だから、黙っていたんだけど……あれは、高校1年の秋頃だったかな。


 クラスの男子がこっそりとしていたゲームが、私が大好きなゲームだったので、思わず声をかけてしまった。


 その男子はびっくりしてたけど、普通に話してくれた。


 けど、その後に言われた。


 女子からは、オタクまで惚れさせてどうすんの?とか、あーあ!かわいそう!とか。


 男子からは、綾ちゃんには似合わないよとか、そんな地味な奴と話すと地味が移るとか。


 幸い、その男子は虐められたりはせず、何事もなく終わった。


 でも、悪い事をしたなと思う……。


 そして私は、自分を偽りながら、学校生活を続けた。


 そんな時だった……ある男子の噂を聞いたのは。


 その男子の名前は、吉野冬馬君というらしい。


 その男子はハブられているわけでもなく、虐められているわけでもないのに、ずっと1人でいるようだ。


 話しかければ普通に返事はするし、それなりに会話もするが、基本的には小説を読んだり、スマホをいじったりしているらしい。


 一度、誰かか聞いてみたらしい。


 なんで、学校に来て小説やスマホゲームばかりしてるの?と。


 そしたら、こう言ったらしい……だって、好きだから。これが楽しくてこうしているんだ。


 人見知りなわけでもなく、勉強や運動もでき、見た目も野暮ったいが悪くはない。


 でも、どのカーストにも属さず、自分を貫いている。


 そんな彼は、みんなの中では孤高の存在扱いされ、実は一目置かれていた。


 私は凄い!と思った。


 私は周りの反応が怖かったり、バブられたりしたくないから、自分を偽っている。


 それなのに、彼はそんなことなど気にせずに、自分を貫いている。


 私は、彼のことが気になり始めた……といっても、好きとかではなかった。


 話した事もないし、実際に側で見てたわけでもないしね。


 でも、その機会が訪れた。


 二年生になり、同じクラスになったから。


 そして、実際に目の当たりにして驚いた……ホントに1人でいると。


 隣の席の人や、後ろの席の人が話しかければ、普通に会話はしている。


 でも、失礼にならないギリギリのラインで、自分の世界に戻る。


 私は感心していた。


 凄い!絶妙なさじ加減!と。


 彼は私とは違う意味で、上手く立ち回っていた。


 そして気がつけば、彼はあっという間に、このクラスでも孤高の存在と化した。


 私は、彼のことが気になり始めていた……まだ、好きとかではないと思う……。


 でも、話してみたかった……でも、そのタイミングと勇気がなかった。


 彼は、学校が終われば急いで帰るし、休み時間は邪魔しちゃ悪いし……。


 後、私が話しかけることで、彼の生活を壊してしまうと思った。


 だから、頑張って我慢した。


 でも、何かキッカケがあれば話してみたいと思う。


 まあ、そんな都合の良いこと起きるわけないよね……。


 私は、そう思っていた……あの日までは……。















少しでも興味を持った方、続きが気になった方。


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