新学期の始まり
新章の始まりです^_^
……さて、いよいよだ。
制服に着替え、学校でのスタイルに戻す。
眼鏡をかけ、髪も無造作の状態だ。
綾の彼氏として、きちんとした状態にしようかと思ったのだが……。
綾に聞いたら、こっちはこっちで好きだからと言われてしまった。
……あと、あの姿は私だけの特別なのと。
そう言われてしまっては、こちらもお手上げ状態である。
というわけで、とりあえずはこの格好で行くことにする。
俺は準備を済ませて、駅へ向かう。
駅に到着し、電車に乗る。
ちなみに、待ち合わせ場所は電車の1番前の車両にした。
俺のが学校から駅が遠いので、後から綾が乗る形だな。
「お、おはよ!冬馬君!」
綾は、ガチガチに緊張しているようだ。
「おはよう、綾。おいおい、大丈夫か?」
「う、うん。なんか、新鮮だね。制服って初めてだもん」
……正直言って、電車じゃなければ抱きしめたいくらいに可愛い。
それくらいに、綾のセーラー服は眩しかった……。
「そうだな……とりあえず、座るか」
「うん!」
こういう時は田舎で良かったな。
満員電車でもないし、席にも座れる。
2人で並んで座れるしな。
……めちゃくちゃ見られているな……。
意識するな……自然体でいろ……!
「エヘヘ、そっちも新鮮だね!」
「うん?ああ、髪と眼鏡か……まあ、俺も違和感を感じたくらいだ」
「……すごい見られてるね……?」
「……まあ、仕方あるまい。とりあえず、自然体でいるよう努力しよう」
「うん、そうだね」
そして駅に到着し、《《手を繋ぎ歩き出す》》。
これなら、わかりやすいだろう。
「え!?何アレ!?」
「う、嘘だろ!?」
「アイツ誰だよ!?」
あちこちで、そんな声が聞こえてくる……。
しかし、何人かのやつらは、俺にウインクをしてきた。
そうか……もう、黙らせる必要もないのか。
「す、すごいね……ごめんなさい……」
「まあ、気にするな。想定内のことだ。友達には言ったのか?」
「うん。加奈と愛子だけには、昨日の夜に言っておいたよ。2人とも、びっくりしてたけど……」
「そりゃ、そうだろうな」
「でも、祝福してくれたよ?まあ……」
「気を遣わなくていい。アレでいいの!?とか言われたんだろ?」
「わ、私は、冬馬君が良いの!」
「わかってるよ。友達も悪気はないだろう。ただ、綾が素敵すぎる女の子だからそう言ったんだろうよ」
「はぅ……」
「おい!?なんだ!?アレ!?」
「え!?綾ちゃんがベタ惚れなの!?」
「アイツは何者だ!?」
そんな外野を無視しつつ、学校へと向かう。
……まあ、こうなるわな。
「エギャーー!!この世の終わりだーー!!」
「俺らのマドンナがーー!!」
「明日から、何を楽しみ学校にくれば……」
男共が絶望して、涙を流している。
「さて、行こうか」
「う、うん」
あえて堂々とし、歩いていく。
そのせいか、誰も話しかけてはこない。
そして……教室のドアを開ける!!
皆から一斉に見られるが、誰も話しかけてはこない。
そのまま席に着き、手を離す。
綾は、早速呼ばれたようで、そちらへ行った。
「お、おはよう!吉野君!」
「おう、田中君。おはよう」
「あれ?あの時と一緒……」
「ああ。これからは、こちらでいくことにした」
でないと、綾と喋れもしない。
もう、綾とはこの口調で話すことに慣れすぎている。
「そうなんだ!あのさ!新刊見たかな?」
「ああ、見たな。今回も素晴らしい内容だった」
「そうだよね!ぼく的には中盤の挿絵あたりの話が……あっ……」
「おい!吉野!」
「おっ!わかってるねー。あそこ良いよな?主人公がヒロインを助けるために、大軍と激突するシーン。挿絵が、これまたカッコいいよな」
「う、うん、あの吉野君……」
「テメー!聞いてんのか!?」
……ハァ、この学校は割と進学校だから、そんなに心配はしていなかったが……。
それに、うちのクラスのトップカーストは女子だ……。
だが、スポーツ推薦組のこいつらがいたな……。
オラオラ系奥村将吾に、腰巾着の佐々木浩二が……。
「うるせえよ。人が楽しく話してんだ。後にしろ」
「な、なんだと!?ふ、雰囲気が違う!?」
「何調子こいてんだよ!?」
「ハァ……人の話を聞いていたか?仕方ない……なんだ?」
「清水さんと付き合ってるのか!?」
「どんな手を使った!?」
「ああ、付き合ってるよ。綾は、俺の大切な女の子だ。どんな手って……普通に告白しただけだ。はい、もういいだろ」
「と、冬馬君……」
すると、真司さんが教室に入ってくる。
やつらも、渋々席に戻る。
綾も戻ってきて、隣に座る。
「おいおい、廊下にはまで聞こえたぞ?冬馬、手は出してないだろうな?」
「はい、先生。僕は、良い子ですから」
「と、冬馬君!無理あるって!」
「そうか?綾、僕は良い子だよ」
「もう!笑わさないでよー!」
「まじか……」
「めちゃくちゃ仲良い……」
「清水さん、あんな顔するんだ……」
「はい!静かに!誰かが付き合ったくらいで騒ぐんじゃない。ちなみに、佐々木と奥村」
「な、なんだよ?」
「お、俺らなんもしてねーし!」
「ならいい。スポーツ推薦組は、一発でアウトだからな」
……フゥ、真司さんのおかげで、助かったな。
まあ、仮に何かしてきても問題ないがな。
ただ、面倒なだけで。
その後、ホームルームを終え、体育館で全校集会を開く。
相変わらずのつまらない話を聞きながら、俺はひとまず安心する。
だが、俺としたことが少しイラついてしまったな……。
ああいう高圧的な態度で、マウント取ろうとする奴みるとイライラする。
自分が優位に立とうしているかわからないが、周りはいい迷惑だ。
教室でもギャーギャーうるさいし、周りの人のことも考えろっつーの。
あそこは、みんなの教室だというのに。
そんなことを考えていると、いつの間にか終わったようだ。
そして、体育館を出て歩いていると……。
「よっ!親友!大変だったな?」
「アキ……ああ、まあな。だが、綾のためならどうってことはない」
「フゥー!言うねー。まあ、本来のお前だな。これからは気にしなくていいんだな?」
「ああ、今まで俺の都合で悪かったな。まあ、なんだ……また、よろしく頼む」
「何言ってんだ!こっちのセリフだっつーの!」
……いい友達を持ったな、俺は……。
こうして、なんとか無事に初日を終えた。
だが、ここからが本番だろう。
気を引き締めていくとしよう。
堂々と、綾と一緒にいたいからな。
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