表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/176

冬馬君はバイトをする

 さて、無事に授業を終えて、放課後を迎える。


 相変わらず、清水はクラスの皆に囲まれている。


 俺は今のうちに、静かに教室を出る。


 万が一、一緒に帰ろうなどと言われたら困るからな……色々な意味で。


 それに、今日は急がなくてはな。


 本日は、バイトのシフトが入っているからな。


 学校を出て、電車に乗り、スマホでネット小説を読む。


 良い時代になったよな……どこでも、小説が読めるのだから。


 更には、持ち運びができるゲーム機まで……。


 流石に、学校には持っていかないがな。


 俺のバイト先は、定期の範囲内だ。


 これなら金もかからないし、行き帰りの時間の無駄もなくなる。


 更には、駅前だ。


 多少忙しくはあるが、時給も良いし、帰りもすぐに帰れる。


 たまに聞く話だが、バイトにいくのに一時間かけていく奴もいるらしい。


 所謂、都内のお洒落な店とかだな。


 俺には時間の無駄に思えてならないがな……。


 まあ、それは人それぞれだな。


 否定はしない……だから、そっちも否定しないでくれ。


 あ、今更だが……俺は埼玉県民である、所沢市に住んでいる。


 ……ダサイタマとか言われたり、とん○埼玉とかで有名かもな。


 もちろん、俺は埼玉県民であることに誇りを持っている。


 交通の便も良いし、最低時給も低くない。


 道路の道幅も広く、本屋やゲームショップも充実している。


 何より、静かで良い。


 人が多く、ざわざわしているところは苦手だ。


 学校も飯能方面なので、満員電車になることもない。


 なので、ゆっくりと読書が出来る。


 それも計算して、学校選びもしたからな。


 ふふふ……我ながら、無駄のない計画だったな。


 そして、朝フォローしたネット小説を見ていたら、あっという間に降りる駅に着いた。


 うむ……異世界ファンタジーも、多様化してきたな。


 最近は、ざまぁ系が流行っているようだ。


 俺は、どちらかというと王道ファンタジーが好きだが、これはこれで良いのだろう。


 停滞は、衰退を意味するからな……盛り上がるなら、大歓迎だ。


 駅前の、とある店の裏口から入る。


「店長、おはようございます」


 今挨拶したこの人が、この店の店長だ。


 名前は、野口雅史さん。

 年齢38歳の男性で、既婚者で子持ちである。

 見た目は普通のおじさんである。

 性格は温厚で優しいが……それが、短所でもある。

 あまり、人に強く言えないからな……。

 少しぽっちゃりし、髪が薄くなってきたのが悩みだそうだ。


「おはよう、冬馬君。今日も早いね」


   時間を確認すると、5時20分前だった。


「いえいえ。仕事は、10分前には入らないと」


 タイムカードを押してから着替えるなど、俺の矜持が許さない。


「相変わらず、偉いね。他のバイトの子もそうだと良いんだけど……」


「たまには、ガツンと言った方が良いのでは?」


「そうなんだけどねー……あんまり言うと、辞めちゃうかもだし……」


 これも、最近の問題なんだよなー。

 土日にシフト入らなかったり、叱られるとすぐ辞める奴が多いんだよなー。


 俺はロッカーに荷物を入れて、制服に着替える。

 そして、タイムカードを押す。


「そういえば、この間は土日休みですみませんでした」


 お気に入りの発売日は、大体休みにしているのだ。


「いやいや、とんでもない。ゴールデンウィークに沢山出てもらったからね。むしろ、こっちがお礼を言いたいよ。おかげで、家族サービスも出来たし」


「そうですか。なら、良かったです。では、出て行きますね」


「うん、今日もよろしくね」


 俺は、厨房内に入る。

 そう、俺のバイト先は飲食店であるラーメン屋なのだ。

 多少キツイが、時給も良いし、ラーメンも美味いし、賄いがタダなのでここにした。

 俺はバンダナにしっかりと髪を入れ、つけていた眼鏡を外す。


「友野さん、おはようございます」


「ああ、おはよう」


 この人が、唯一の社員である友野さんだ。

 身長180ほどあり、細い体型の方だ。

 とても働き者で、仕事のできる方だ。

 無口で仕事以外のことは、あまり喋らない。

 俺には、それが心地いい。


 俺は厨房を通り抜け、ホールに出る。

 この店は火曜定休日で、11時から24時まで営業している。

 そして、3時半から5時までは一度店を閉める。

 店の広さは4人席のテーブルが3つ。

 2人席のテーブルが2つ。

 カウンター席が8つある。

 まあ、駅前のラーメン屋は、大体このくらいの大きさだよな。


 まずは、しっかり手洗いをすませる。

 その後に、上げていた椅子を下ろしテーブルを拭く。

 そのまま、カウンターも拭く。

 これで、準備完了だ。


 開店まで、後五分といったところか。

 俺の仕事は基本的にはホールだ。

 1年続けているので、調理もできる。

 営業は基本的に、3人から4人でまわす感じだな。


 そして俺は、休憩中の看板を反転させて営業中にする。

 いよいよ、営業開始である。

 ちなみに高校生なので、平日は5時から9時の間だ。

 10時まで出来るのだか、妹がうるさいからな。

 俺は週3回ほど、シフトに入っている。

 すると、早速お客様がご来店のようだ。


「いらっしゃいませ、こんばんは」


 人数確認せずに、カウンターに案内する。

 俺は明らかに1人の人には、お一人様ですか?とは聞かない。

 もちろん、目できちんと確認はする。

 更に店長には、許可をとってある。

 俺がいつも思うからだ……いや、どう見ても1人だろうがと。

 もちろん、それが接客業の決まり文句なのはわかっている。

 だが、明らかな場合は必要なくない?と思うわけよ。


 そして注文を取り、仕事をこなしていく。

 もう慣れているので、戸惑うこともない。

 注文ミスは、もうほとんどない。

 そして時間が過ぎ、8時半を過ぎた頃、事件は起きる。


「いらっしゃいませ……はい?」


「え!?よ、吉野君!?」


 そこには、小学生くらいの男の子を連れた清水綾がいた。


 ハァ……どうしよう、逃げ場がない……。




少しでも興味を持った方、続きが気になった方。


お手数ですが、ブックマークと下の方にある⭐️を押して頂けたら幸いです^_^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ