14話 消刃VS妖刀
遅くなりました…!
今回は説明回なので少しつまんないかもしれませんが重要な設定なのでぜひ見て頂けたら嬉しいです・・・
「光栄だなあ、あの最強さんと手合わせ願えるなんて」
シャリン!と勢い良くキザンは自身の腰に据えていた刀を抜く。
その刀身はそこら中にバラバラにされて転がっている盗賊を斬った時に付いたと思われる血がベットリと付いていた。
「お前・・・本当に剣士か?血ちゃんと拭き取らないと刀が悪くなるだろ」
先程まで怒っていたロックスはキザンの刀を見て、呆れた表情に変わる。
「あらら、聞いたことないかあ?
あらゆる人や魔獣、動物を斬りまくって特殊な力を持つようになった刀、『妖刀』をよお」
「妖刀・・・そんな忌み物をよく扱ってられるな、お前・・・」
「なんとでも言えばいいさあ、こいつは妖刀『禍奏弄』こいつはいいぜえ?
血を浴びれば浴びるほど切れ味と付与魔法の効果が格段に上がるんだぜえ?
そこに転がってる奴らの血を浴びて今この刀はそこらへんの刀とは格が違う、甘く見てると死ぬぜえ?」
気分が高揚し、得意気に自身の妖刀を説明しながらケラケラと笑うキザン。
人を斬ることに快感を覚えているタイプだとロックスは考える。そう考えると尚更野放しにはできないとロックスは刀を抜く。
「おおっ・・・それが噂の・・・」
その刀身は、漆黒。
全てが漆黒で包まれたその刀身には、僅かな光さえも反射しない。
ひたすらに黒く在り続ける刀だった。
「お前もご丁寧に紹介してくれたから、こっちも紹介してやる。僕の、そしてこの国の宝、消刃『冥静』だ」
「いやいやあ・・・紹介されずとも知ってるよお・・・。
魔力を流し込むと様々な反応が起きる超絶珍しい魔石を加工して作られた刃、その中でもさらに珍しい『消刃』。その刃が触れたところは消滅するだっけえ?まじでエグいよなあ」
「よくご存知のようで、その様子だとこれ以上の説明は不要かな。」
「ああ!もう待てねえ!!やろうぜえ!!」
キザンは意気揚々と刀をふりあげ、グッと力を込めて握り締めると、その妖刀に自身の魔力を流し込む。
「暴風付与魔法!!」
そしてその妖刀の周りに渦のような形で激しい風が巻き起こる。
その影響で周囲にも強い風が吹き荒れ、ロックス達の髪が激しく靡く。
「触れただけで消滅させられる消刃!!それはすなわち、刃が触れた所から消滅することから、いかなるものも一刀両断出来るんだってなあ!!」
「刀を交えようにも交えた瞬間、俺の刀は消刃の効果によって真っ二つに斬られる!
ならば遠距離から攻撃すればいいだけのこと!!」
「ベラベラとよく喋るな。得意げに言ってるけど、僕を相手にする人達は皆そうするからね。」
「うるさいなあ!じゃあ受けてみろよお!!」
キザンはそう言い、魔力を込めた妖刀をロックスに向かって振り下ろす。
キザンの暴風付与魔法は血を大量に浴びた禍奏弄々(かそうろうろう)には通常以上の効果が宿る。
上昇した切れ味と、強力な暴風付与魔法で強化された禍奏弄による斬撃は、暴風に斬撃が乗った。
飛ぶ斬撃となったそれは床やそこら中に転がる死体を裂きながら突き進み、離れた距離にいるロックスの目の前まで一瞬にして迫った。
その飛ぶ斬撃に向かって退くのこともなく、逆に走って前進する。
「よっ、と」
斬撃は足元に迫っていた為、華麗な身のこなしでジャンプして斬撃を避けるロックス。
「かかったなばぁかあ!!空中なら避けることも出来ないだろ!!」
ジャンプして空中にいる瞬間を狙い、キザンはロックに向かって刀を怒涛の如く振り回し、連続して飛ぶ斬撃を繰り出す。
「『凛撃翔裂』、バラバラになってしまええっ!!」
「はあ」
先程見せた呆れた表情から、さらに呆れた表情。
空中にいるロックスに対して、『凛撃翔裂』、そう呼ばれた技によって無数の飛ぶ斬撃が一斉に襲いかかる。
普通ならば、避けることが出来ずバラバラになってしまうのだろう。
しかしロックスは『普通』ではない。
「ナメられたもんだな、僕も。」
瞬間、ロックスの刀、冥静から異質な魔力が溢れ出る。
ロックスが冥静に魔力を込めたのだ。
消刃、そう呼ばれる所以の効果を発揮する。
ぐっ!と柄を握り締め、刀身から溢れ出る異質な魔力を一旦止め、刃先に集中して魔力が溢れるように操作する。
そして、目にも止まらない速度でロックスは刀を振るう。
「虚空狩。」
ズバンッ!!!!!!
その音と共に、ロックスに向かっていた無数の飛ぶ斬撃は、ロックスが刀を振るうことで、空気ごと消し去られた。
「なっ!あれだけの斬撃を一振でえっ・・・!?」
「魔力を一点に集中させてそこから魔力を漏れださせることで消刃の効果を拡張させたのさ。」
そう言いながらロックスはキザンの目の前に着地する。
驚きを隠せないキザンはその声を震わせる。
「効果拡張・・・!?そんな緻密すぎる魔力操作できるやつなんて有り得ないだろお・・・!」
「本当にアホなのか?そんなこともできるから僕は『最強』って呼ばれてるんだよ?」
「くっ・・・!」
苦し紛れに目の前に降りたったロックスに刀を振り下ろすキザン。
スパンッ!!!
しかし、それよりも遥かに早いロックスの斬撃がキザンの禍奏弄々(かそうろうろう)を真っ二つにして斬った。
「なっ・・・!?」
キンッ・・・!!
折れた禍奏弄の刀身が斬られて宙を待った後、床に突き刺さる。
「終わりだな、大人しく投降しろ。」
ロックスは冷たく言い放った。
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