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8話 到着の夜

遅くなりました。稚拙な文章ですが読んでいただけると幸いです。

「王都軍1番隊副隊長のフューだ。今調査から戻った。」


ニマ、ジグ、そしてフューの隊は馬車によってアリス王国都市へ無事到着した。



高い塀に囲まれたこの都市には門があり、たった今帰還したフューは、そこで入都の手続きを行っていた。


「お疲れ様です!フュー副隊長!まだもう1つの馬車が戻られてませんがそちらはどうされましたか?」

門番がフューへそう質問を投げかける。



それに対し眉間にシワを寄せるフュー。


「あ・・・?先にここに1つうちの戦闘隊と捕まえた罪人を乗せた馬車が到着してるはずだが・・・?」


「え・・・?すみません、そのらしき方を乗せた馬車は通った記録がないですね・・・」


「あ・・・?そんな訳ないぞ、俺らはそいつらの30分も後に出発したんだ。」



「そう言われましても・・・」


話が噛み合わないことにフューはさらに眉間にシワを寄せる。

「なにしてんだあいつら・・・寄り道か・・・?

わかった、じゃあ一旦俺らを通してくれないか。」


「分かりました。・・・見たところ王都軍ではない方が乗っていらっしゃるようなので簡単な検査をさせてもらいますね。」


「わかった。」


フューは馬車の中で待つニマとジグと治療班に声を掛けに行く。



「待たせたな、簡単な検査があるから降りてくれないか。あ、治療班・・・そこのやつ起こして馬車降りるの手伝ってやれ。」


爆睡して起きる様子がないジグを治療班は無理やり起こす。

そして寝起きで頭が回ってないジグを支えながら検査へと向かわせる。




「あはは・・・ジグさん相当疲れてるね・・・私達も行こっか、ナル。」


「ピュイッ!」



◇◇◇◇




ニマとジグはフューに案内され王都内の軍基地の中にある客室に通された。



ニマとジグは別々の客室に通され、もう日が暮れていたことから今日は客室でゆっくり休み、話は次の日の朝に聞かれることになった。



「こ、これが・・・『しゃわー』・・・??」


ずっと集落で生まれ育ってきたニマにとって当たり前に風呂場に設置されているシャワーを見ることは初めてだった。タオルで身を包み恐る恐るシャワーを使用する。


「つっ、つめた!!?あっ、あったかくなってきた・・・ナルも浴びてみる?」


「うむ、そうさせてもらおうゲ。」


「じゃあこっち来てよー」


トコトコとニマがシャワーを持つ手に寄っていくナル。

ニマがシャワーをかけると気持ちよさそうに自分で体をこすり汚れを落としていく・・・ーー


ーーー



「いや!!え・・・!!!???」


「急になんじゃゲ」


「いや何当たり前みたいに喋ってんの!!!?」


「何でって・・・お主自覚しておらぬのかゲ」


「いやほんとに何言ってんの・・・?これ夢・・・?」


「あー・・・とりあえずこのしゃわーとやらが終わった後に話そうゲ」


「え?あ・・・うん・・・」



困惑するニマと呆れてた様子ナルはシャワーを終えると、準備されているタオルで各々体の水分を拭き取り、ニマは来客用の白い服に身を包む。



「(汚れた服は、カゴに入れて外に置いてれば良かったんだっけ・・・何から何まで手厚すぎて逆に申し訳ないよ・・・)」



一通りの片付けは終わり、あとは横になって休むだけの状況になる。


「それじゃあ話そうかのゲ」


「ホント当たり前のように喋るね、ナル・・・」


「こう見えてわしにとっても初めての事じゃから戸惑っとるんじゃぞゲ、そんな突っ立ってないで隣に座ったらどうじゃゲ」


ナルが自身が座るベッドを指す。


「う、うんわかった・・・」


ナルの横へ腰をかけるニマ。




「・・・それでなんでナルはそんな当たり前に喋ってるの・・・?」


過剰同調(オーバーリンク)


「え・・・?」


「そう呼ばれるらしいゲ、わしも初めてだったが。

本来魔獣魔導師と魔獣との契約を行うとお互いの魔力が増幅するのは知っておるゲ?」



「ええ・・・私達の一族は魔力が弱くて、だから魔獣との契約よってのその増幅がないと満足に役に立てないって・・・」




「まあ“普通“の魔獣魔導師は皆そうじゃろうなゲ、だがお主は違うゲ」



「え、なにが・・・?」



「お主、わしと契約する前から膨大な魔力量を持っていたゲ」



「え・・・??」



「お主がなにゆえ自分が魔力少ないと思っているのか分からないが、尋常じゃない魔力じゃゲ」


「え、じゃあお母さんが嘘ついてたってこと・・・?」


「それは知らんゲ、まあ魔獣魔導師がそこまでの魔力を持つことは稀じゃから隠す気持ちも分かるゲ。



話を戻すゲ。ただでさえ大きい主の魔力がわしとの契約で大幅に大きくなった。その結果、大きすぎる魔力は濃度も濃くなり、魔力の持ち主の記憶や言語の情報までもわしに流れ込んで来たんじゃゲ。


言語の情報はさすがにわしに馴染むまで少し時間がかかったみたいじゃがゲ」



「そんなことが・・・今まで一度も聞いたことないよ・・・」


「魔獣魔導師に主のようなやつが生まれること自体が稀じゃからな、知らなくても仕方ないゲ。


お主の記憶が流れてきたから分かるが、他の魔獣と契約どころか避けられていたのはその大きすぎる魔力故に恐れられてたんじゃな」



「じゃあ私が今まで落ちこぼれだったのって・・・」



「勘違いじゃな、寧ろ逸材過ぎて釣り合う魔獣がおらんかったんじゃゲ」


「あれ?じゃあナルはなんで・・・??」


「・・・わしのことはいつか話そう。それよりもう夜も遅い、早く寝て明日に備えた方がいいゲ」



「う、うん・・・衝撃でか過ぎてまだ目冴えまくりだけど・・・じゃあ寝るね・・・」



バタッ


布団に倒れ込むニマ。先程の言葉とは矛盾してスースーと寝息が室内に響く。


「あれだけの事があったんじゃ、まだ子供にキツかったろうゲ。」


そんなニマをナルは見つめる。


「ーー主はわしが導く。何も心配はいらんゲ。


今度こそ・・・」






寝静まるニマにナルはそう呟いた。










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