表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/196

惨敗

試みとして行間を詰めてみました。


読みにくかったら戻します。

 

 ……で、僕は世界を救った、唯一の勇者達に宣戦布告した。

 結果?結果は。


 惨敗だよ。

 いや勿論、僕じゃなくて勇者勢がね。

 今や、勇者達はボッコボコにされて、地面に転がっている。


 やったのは僕一人。

 剣聖や神拳士、神導師なんぞと呼ばれる、冒険者ランクダイヤの冒険者を僕は、素手のみで一掃した。

 随分と呆気なかったよ。

 多分モイラがやっても同じ結果になると思う。

 これを『スパルタ』とか『大人気ない』とか言う奴も居るんだろうけど、僕はそんなつもりでやったんじゃない。


 なんかもう、皆気付いたら倒れていた、って感じ。

 いやー……世界を救ったって言うから、ちょっと本気出したらこうだ。


 呆気ない。実に呆気ない。


「つ、強い……」

 地面に転がった勇者達が最初に口にしたのは、そんな苦悶だった。


「いやでも、一世界を救った勇者としては強いんじゃないの?……まあ、一つの世界しか救えない強さに押しとどまっている、と言うのが正直な感想だけど」

 完全なる、先輩からのフォローと助言。


 そう。これ一応助言だ。

 煽りとかじゃなく『このままじゃ僕に届かないよ』という、先輩からの有難み溢れる慈愛が込められている。


「幾ら何でも強すぎじゃないか……?俺の聖剣を以ってしても及ばないとは……」

 悔しいのか、アーサー君がそんな言葉を口走る。

 だから僕、第二の忠告。


「いやさ。君の聖剣の能力は確かに凄かった……けど、()()()()()んだよ。君は剣術こそ凄いけど、そのポイントこそがネック。露骨さに剣術が振り回されてる。まあ、精進あるのみだね」

 僕は、続いてフェルナを見る。


「フェルナも、相手の行動を見過ぎ。そのあまり空回りしてる。君は殴れる魔導師でもあるんだし、思い切りも大事だ。君は魔法と近接を組み合わせ、時々その『()()』をスパイスさせた戦術を取れば、案外行けるかもよ」


「確かに……言われてみれば」

 フェルナが目を見開く。

 兎に角次、サクラ。


「サクラも筋力や魔力、頭の回転が良いんだ。そこに君の体型を生かした立ち回りと、事象操作とかを加えれば、拳闘士としてグレードアップできると思う」


「そう、だな……盲点だった」

 さて、色々と助言やら済ませたので。僕は一息つき。


「グエッ!?」

 僕はアーサー君の首筋を掴んだ。


「ほれ、陰気なアーサー君はリアンへ行こうねー」

 さながら人さらいの様に……。


 と、その前にお別れを。


「ああ。そおの前にガレーシャ」

「……はい、何ですか?」

「お留守番と修行、頑張ってね」


「ーーはいっ!」

 返って来たのは、不安などない笑顔だった。

 これなら大丈夫そうだ。


「うん。良い返事だ。じゃあ行ってくるから。モイラもカモン」

 と、僕は剣聖と創造神を引き連れ、雪山のコテージを後にした……。


(の、前に……)

 僕は、コテージを出た瞬間にやるべき事を思い出した。

 いや何。直ぐに終わる事だよ。


 ……深深(しんしん)と、静かに降りしきる雪。


 上を見上げれば濁り空。


 尖塔の様な雪山も視野に入れ、僕は空を見たまま。

 いや、結界を見たまま。


 満目蕭条ノ眼(ボーダムアイ)を使った。


(これで……終わりっと)

 そして、その未来を知る者は僕しか居ない……。



 ♦︎



 勇者邸から去る際は、毎度恒例転移魔法(ワープ)を使用した。

 いや……便利だよね、転移魔法。


 と、それはともかく。


「着いたね。リアン王国異種闘技場」

「着いちゃったねー。実感全くないけど」

「トンボ帰りに近いしな……ああ、未だ首痛し」

 僕、モイラ、アーサー君の順で感想を述べる。


 まあ一人、別のことの感想を言ってる者が居るけど。


「まあ、行ってみようか」


 ここで、リアン王国異種闘技場の説明をしよう。


 ……コホン。まず、闘技場は地上五十階、地下五十階で構成された、百階層構成の建物。


 見た目は高層建築物……いやほぼビルだ。

 要所要所の石造りが目立つが、それ以外はガラス張りという、やけに近代感。


 多分、転生者とかがこの建物を見ると、反応は十中八九「ーービルじゃん!」となるだろう。

 それくらいの建築力だ。


 まあ、先述のビルと違う点を言うと……地下が五十階まである事か。


 ーーで、ここからは闘技場の受付嬢に聞いた話だけれども。


「地上五十階と地下五十階は、実質的に区分されています」だとか。

 更に聞くと。


 地上には地上の管理者が。

 地下には地下の管理者が居るそうなのだ。


 うーん、この非効率な管理体制はどうすれば……。

 と、それはともあれ。


「……僕達、この招待状を貰ったんだけど」

 僕は、取り敢えず招待状を見せた。


 ……と、瞬間受付嬢は顔色をどんどんと悪くしていき。


 悪役を見るような……所謂ゴミを見るような目で、カウンター奥の扉へと吸い込まれていった。

「……ん?僕、何かした?」

 と、僕も困惑を隠しきれない様に呟いた、その瞬間。


 ギギギ、と。


 その受付嬢が先ほど入っていった扉から、何やら別の人物が。


 ……と言うか、人じゃなく。


 サキュバスだった。


「魔族……?何でこんな所に」

「アーサー君、少し黙って」

 と、不用意な呟きをしたアーサー君を僕は抑えた。


 瞬間。

 シュバっと。


 僕の手に握られていた招待状は、目を瞬くとサキュバスの手に。


 早っ。手癖すごい。


 僕が軽く引いていると、サキュバスは招待状を確認したのか、右方向へ指をさした。


「……ん」

 いや。「……ん」じゃないが。何か具体的にだね。


 まあサキュバスはそれ以上何も言わないので、仕方なく僕がその指の行き着く先を辿ると。


「隠し扉……?」

「さっきまで、あんなの無かったよね……」

 今まで壁だった部分が一部無くなり、其処には謎の通路が。


 これは何だ、と僕がサキュバスに問おうと視線を戻すと。


「消えたぁぁァ……」

 既に、そんな魔族は姿を眩ましていた。


「じゃあこれ、行くしか……無いよな?」

 苦し紛れにアーサー君、察する。


「はぁ……そうだね。行くしか無いね」


 本当に嫌々だが、行くしかなさそうなので。


 僕達は、その隠し通路に入っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ