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魔王討伐を果たした勇者、エンドクレジット後の世界で雪山生活

 

 三大勇者は、その『抑止力』としての力を存分に発揮した。


 天命を全うした、とも言えるか。



 ……勇者は闇夜に沈む常世をその聖光で照らした。


 それはやがて、魔王軍に破滅をもたらす。


 着々に、着実と。


 世界の闇は光によって打ち消され、世界を照らす導きとなりて。


 世界の癌と成った魔王軍は、少しずつ勇者軍に劣勢を取って行った。


 気付けば……軍は完全に形成逆転。


 そのまま、止まる事を知らない三大勇者は魔王軍統領、つまり魔王すらも屠り。


 世界を救う抑止力として、人々に凱旋をもたらした……。



 ……と。これが、過去に起こった惨劇と救済の物語の全容。



「そして、今もその勇者様方はこの雪山にて、世界を幽寂と見守っています」


 締め括る人工知能。


「魔王討伐を果たした勇者……エンドクレジット後の世界で雪山生活って事ね」


 うんうん、と勝手に頷く僕。


 と、その後ろで騒ぐ声が。


「嘘……!雪山に住んでいる人は只者では無いと思いましたが、それが三大勇者ですか……!」


 ピクピクと震え始めるガレーシャ。


 ……確かに、この時代に生きる人間にとっては【神術の三大勇者】なんて人生で一つお目にかかれるかどうか分からない大物……大英雄だからね。


 そう驚くのも無理はないし……。


 その勇者達の土地に難なく入れる僕にも、多分その驚きの矛先は向く。



 だから……プイっと。



 疑念の表情を浮かべたガレーシャの眼差しは、そのままこちらへ。


「……何か?」


「いや。……何か?じゃ無いですよ!なんでユトさんがそんな勇者さん達とお知り合いなんですか!結界に軽く入れたって事はそうなんですよね!」


「まあ……うん、そうだけどそうじゃ無いっていうか……」


「どういう事ですか!」



 ……そんな僕とガレーシャとの、新婚夫婦の様な仲睦まじい会話が飛ぶ中。


 モイラは人ごとの様にそれを笑いながら、


「ねえねえ、さっきのを踏まえて聞いちゃうけど……やっぱり君とこの雪山のちょっとしたサイバー感を作り出したのって、やっぱり三人の勇者の誰かがやったから?」


 青い魔力で形作られた人工知能に向け、モイラは探求心を満たす為に絶賛質問中。


 目の前の、僕とガレーシャの言い争いを背景に。


 仲睦まじい会話?を完全無視で、二人は話し合う。


「そうですね。神導師様がこの雪山の、近代的環境をお創りになりました」


 モイラは微笑し、俯きながら小さく呟く。


「……あの子と組ませたら面白そうだなぁ」


「どうかしましたか?」


 疑問に、モイラは誤魔化し笑いを浮かべ、


「あー。いや、何でも無い。忘れて忘れて」


「あはは」と。


 モイラは疑念を噛み砕き、話題を無かった事に。


 途端、その横で僕がやっとこさの帰還。


「ふはぁ……言葉責めは辛い」


「いや、まだ聞きたい事があるんですが……」


 ガレーシャも一緒に、続いて登場。


 そんな追い討ちも僕は華麗に避け……というか無視し。


「……兎に角先行こっか!」


 僕の童顔に見合った無邪気な笑顔で、そのまま進行を良しとさせた。



 ♦︎



 そして、そこから少し歩いた先。


 ガレーシャの言葉責めも見納めた頃に、それは見えた。



 ……白銀の世界に建つ、木造の建物。


 青い魔道具の道が突き進んだ先に待ち受けた、コテージ風の別荘。


 窓からはみ出る暖色系の灯りが、生活感を見せつけてきて。


 屋根からは黒めの物体が、屋根に積もる雪を押し退けて少しはみ出している。


 他に別荘は無く、その代わりなのか、本当に豪邸と呼べそうな程コテージは大きい。


 さっきの灯りを見る限り、人が住んでいるのは間違いない様だ。


「……コテージ、山荘だね。ここが終点かい?」


 僕が聞くと、人工知能君は頷いて、


「はい。この中で主人様達は待っております」


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