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母と子の衝突?

 

「ええと……ユトさんの冒険者ランクはーー」


 ガレーシャは、カウンターの裏で作業を始める。


 新しい冒険者タグを用意している様だ。


 ……この時点で鉄ランク卒業確定という事か。


 僕は一種の諦めと緊張を抱き、ただその時を待つ。


 だって、一応……。


「銀、下位ランクです」


 カウンターに置かれたのは銀のタグだった。


 ……ね。言ったでしょ?


 策がない事も無いって。


「ガレーシャちゃん……マジで?」


 余裕げな表情を浮かべる僕の横で、モイラは咄嗟に問うた。


 確かに、彼女にとっては全くの予想外だっただろうからね。


 有能な受付嬢程、虚偽のランク認定を行う事は難しい。


 いやはや。どんな話術を使ったのかな?


「マジです。これは正真正銘、私が勝ち取って来たランクなんですから」


 懐疑的な視線の先で、ガレーシャは勝ち誇る様に笑った。


「勝ち取って来た……ね。一体どうやってこんな低いランクを?」


 カウンターの銀のタグを手繰り寄せながら、僕は聞いてみた。


 ついでにタグに書かれている名前を確認。


『ユト・フトゥールム【銀下位】』


 ……ちゃんと本人か。


 となると、やっぱり過程が知りたいよね。


 なんで銀下位ランクに認定されたか、って言う過程をね。


「それはですねーー」



 ♦︎



 ユト・フトゥールム鉄ランクの認定会議。


 これは、リアン王国立事象操作魔法学校元主席ガレーシャ・ミリアが語った秘話である。


 ギルドマスターを交えての、ほぼ全てのギルド役員を含めた、厳正で確実なる認定会議。


 たった一人の冒険者に、時間と労力を圧倒的に割く認定会議を行なったと言う事だ。


 実に異例の出来事である。



 いや、異例だったこそ……幸運交じりに勝ち取れた、と言う事であろうか。



 まず認定会議にて最初に行われた事は、活動内容の、書類報告だ。


 ガレーシャが、冒険者ランク査定監視員として報告する以上、客観性が必要である。


 つまりは感情に左右されず、厳格なる視点で見定めなくてはならないのだ。


 だが、今回のガレーシャの場合。


 監視対象である僕に、ガレーシャは結構命を助けられているよね。


 だから、話の内容に客観性を持たせる事は至難の技となってしまう。


 普通ならば、その時点で底ランク認定への道は途絶えた様な物だ。


 しかも、報告内容が内容なだけに、嘘を大半に散りばめなければいけなくなる。


 巨大な魔族街を発見し、これ全てを僕が破壊しました、とか……。


 世界を滅ぼす古代兵器の一つを破壊せしめました、とかは言える筈も無し。


 つまりは、少しばかりの情報齟齬が起きてしまう可能性がある、という事。


 だが、これ位は屁でも無いのが、ガレーシャの話術だった様だ。


 ではまず、ガレーシャにその会議内容を一部抜粋してもらおう。


「私が、結構な虚偽を交えて書類報告した際に、ギルドマスターさんが食いつきましてですね……」


「この、メイゼラビアン王国にて露出した古代遺跡探索中に出現したと記載される、この鼠の大群とは何かな?」


 冒険者ギルド関係者専用会議室。


 一辺十二メートル程の、結構広めな会議室。


 中心に長方形型の長机が配置され、その奥にはギルドマスター専用の机がある。


 そこに座り、ガレーシャの報告書類を読み漁りながら、的確な質問を飛ばしてくるその人物こそは。


 ユークリッド・ミリア。


 ガレーシャの母であり、ギルドリリアン支部のギルドマスターである。


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