閃光は───あらゆる呵責を消し飛ばす。
閃光晴れた先は……武器が無かった。
どう言う原理か、訳が分からないが……実際そうだった。
相手の血塗られた銀槍も。
自軍の剣も弓も全てが……虚空の果てに消えていた。
気付けば、だ。
更に、魔法も事象操作も使えない。
故に軍の勢いも、怒号も全て。
全てが……水泡の様に消えていた。
武装を完全に解除された兵達は、訳も分からずに困惑を重ねる。
それもそうだ。
自身が生き抜くた為の武器も、戦場も……全て。例外無く取り上げられたのだから。
そこにはもう、恨みも嫉みも……戦意すらも消えていて。
兵達は、自身達に起こった異常事態に体を弄った。
けれど、結論が出ないのは明白。
既に『戦争』と言う思考は、謎の閃光によって忘れ去られていた。
軍の指揮系統も既にマヒし。
一瞬にして、戦場は殺意を忘れた。
──────彼らは知らない……いや。知れなかった。
この『攻撃』が、裁定者によるモノだと。
どちらの派閥にも中立を築くユトが放ったものだとも、彼らは知らない。
『武装解除弾』
それは名の通り、目標の武装を強制解除する天の一撃。
この世から戦いと言う意思のみを取り除く、救済者のみが持ち得る一矢。
祖は全ての攻撃の意思、攻撃を忘れさせ、そのものを灰燼と帰す。
武器、意思、超常の力。
それら全てを、その閃光は奪い行く。
───故に【非戦告げる閃光】
これを受けた者は、直ちに『戦い』と言うワードを脳から消去される。
今回放たれたのは、その効果を一時的にしたものだが……威力は変わらず絶大だ。
だからこそ。
「……撤退だ!悔しいがこれでは戦いにすらならない……ッ!」
叛逆軍の頭目であり、状況判断に長けた青年は悟ってしまう。
武器なしでは、戦争など出来まいと。
目の前の王国軍を見逃すなど、苦悶の極みだが……青年はそうするしか無かった。
───それが、操られた思考とも知らずに。
然して、戦争は終わった。
……一時的に、だが。
けれど、仕事は終わった。
『僕』は、去りゆく二つの派閥の背中を見据え、息を吐く。
「───敵勢力、撤退確認」
救済者であり裁定者……そして中立としての立場を貫いた僕は、仕事人の様に呟いた。
そのまま僕はシヴァを虚空へと仕舞い込み、白林檎の木に消えて行く両陣営を片手間に見届けた。
そこに、愉悦も喜悦も無く。
ただ、やるべき事を淡々とこなした人間の振る舞いがあった。
……だからなのか、ガレーシャ達からの咎めなども無かった。
そもそも、喜んでいい戦争終了の仕方だったからなのか。
真意は分からないが、それでも彼女達はそう言った。
「無事に終わって良かった」と。
元々僕が勝手な行動をした訳でも無いのだが、それでも彼女達はそう笑う。
全員が全員、あの戦争を良く思っていない所為か。
はたまた、僕の実力を称えているのか。
まあ、後者は確実に無いだろう。
だって───。
「やってやったね。ユト」
モイラが、こんなに嬉しそうに笑うんだもの。
本当に彼女は、人の死となると人一倍熱い。
でも……彼女の期待に答えられて、良かったよ。
だから僕は笑った。
───「ああ」と。
展開の都合上、少しばかり文章量が少なくなってしまいました。
まあ、変なところで文章量を喰わないだけマシですが……(実際しちゃってますカラ)
気付けば、三十五万文字。少し心理描写細かくし過ぎしたかね。
だがそれも含め……今後も精進していきますので、ご応援を。
あ、出来れば閃光の如きご評価を。
……以上、作者の戯言でした。




