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意見決裂、ある意味の師弟対決

 

「──────おい、なんだあれは」

 飛び散る血液。

 致死量に見えるその出血は、しっかりとユークリッドの目にも届いていた。


 ───血。

 あれは血だ。間違い無く。

 中継の画面の奥で倒れるのは、血塗れになり生気を失った───モイラだ。

 それを目の前にしている筈のユトは、一向に心配する様子も見せない。


 ……まさか、本当に殺したのか?

 顔面から倒れ果てたモイラ。

 その体は全く動かないし、その様子も無い。

 先程までは、あんなに元気に走り回っていた───筈なのに。

 倒れた御身にはその面影はなく、分かるのは……。


 ──────死んだ、と察せられる女性の屍が、そこにある事だ。

 殺した相手は、恐らくユトだろう。

 信じたく無いが、本人が平然としているところから、多分そうなのだろう。

『どう殺した』や『何故モイラが死んだのか』は分からない。

 けれど───。


 ユトが、自分自身で『モイラ』という仲間を殺したのは狂いも無い事実だった。

 瞬間。

 盤上にて躍る観客は、残酷に鳴いた。


『うおぉぉぉぉ!!!』

 異常な声量。

 耳を劈くどころか、空間すらグラグラと震わす程の熱気だった。


 ……人が死んでいるのに。

 この無知で残酷で馬鹿な観客達は、それでも『死』を笑う。

 こんなにも憤る歓喜は初めてだ。

 ユークリッドは拳を強く握ると同時に、響く歓声の中、意思を表明した。


「本当に殺してどうする、ユト・フトゥールム!」

 歓喜に呑まれる様なユークリッドの怒りは、観客の歓喜に消え入りそうな雰囲気さえあった。

 だが、それでもユークリッドは怒りを告げる。

 声の届かぬ画面の奥に向けて、虚しくも。


「……ッち」

 そして、そのままユークリッドは槍を出現させようとしたが───。


「やめろ」

 アーサーの手に、止められた。

 その手は若干震えてはいたが、それは同時に飛んできた言葉によって掻き消えた。


 ぎゅっと。

 長い前髪の所為で前が見えぬ剣聖なるアーサーは、髪の奥で熱い視線を飛ばしていた。

 アーサーはロベリアと、画面の奥のユト達を交互に見据えて。

 震えていても強く握りしめたアーサーの手は、結果的にユークリッドを諌めた。


「──────何故だ」

 ユークリッドは聞く。

 師匠として。

 ユト達と交流を深めた友として。

 自身の解釈では、不粋な真似をしたアーサーへ「何故止めた」と聞いた。


 一触即発の空気感。

 響き渡る歓声の渦の中で、アーサーは答えた。


「多分ユトは、モイラを殺してはいないだろう───恐らく、な」

 その受け答えには、若干の曇りがあった。

 やはり、剣聖ですらこの事態は予測出来なかった様だ。

 だがその口調にはそれと裏腹に、謎の自信が垣間見えた。


「───あれは確実に死んでいるぞ。私はそう断言出来る」

 けれど、それを真っ向から潰すかの如く、ユークリッドは返した。

 少し八つ当たり気味なのも、ひとえに仲間を思う故だろう。


 だが、アーサーは依然その手を離さず。

 一息吐いて首を横に振り、その後に。

 人格を変え、聖槍を扱うアーサーへと変化し。

 髪の巻き上がった、目がしっかりと見える顔付きで、アーサーは告げる。


 ──────決意と、自身の先輩を信じて。

「……いや。多分それは違うッスよ。ユークリッドさんがそう断言するなら、俺は───」


「───『死んでいない』と、断言しますよ」


今回、若干文字数が少なくなってしまいましたが……。

展開の都合上仕方なく、ですねこれは───はい。

と言うか、今思ったのですが……第3章長くないですか?

自分でシナリオを練っておいて、結構長いなー、って言うのも変ですけど。

兎に角、第3章は綺麗に完結致しますので、何卒ご応援を。

出来れば評価を(小声


……以上、作者の戯言でした。


──────作者の戯言コーナーが自分の中で定番になりつつある……どうしようか。

続けようか、やめるべきか。



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