絶対なる勇者
ちょっと文章が少ないですが……次は改善致しますのでご了承頂きたいです。
舞い踊る聖光。
豪快に空間を抉る槍術は、観客の目を刺激する。
凛然たる態度で繰り出される緻密な攻撃は、アリーナを支配するかの様だった。
……アリーナの魔術弱体化を受けている筈なのに、その聖槍の光は鈍りもしない。
それは星に、世界に語りかけ、空間を抉る世界の合理の如く。
故に誰も破ることは出来ず、最強の槍術を併せ持つ、絶対なる絶技。
──────さもそう言わしめるくらいの力を、アーサーは有している。
彼は強い。
君はただ『力を与えられただけ』の勇者とは違う。
その名に違わずの力を身に付けた、本物の勇者。
性格はアレだが、もう一方のアーサー君と同じく……君は強い。
その絶対なる武術と意思。そして覚悟。
その全てに於いて、君は僕が見てきた全ての勇者の中で高水準を保っている。
流石騎士王の名を冠す者。
だが───それでも君は、我々の足元に及ばぬ、有象無象の一兵に過ぎない。
「……!」
──────聖光は何かに打つかった。
一刻。
空間は停滞し、聖光は逆転して宿主に牙を剥く。
是即ち、簡易的な因果逆転なり。
別世界の魔法によって再現された因果の操作は、能力すらをも操作する。
少し鈍りはするが、嵐の様に飛来する大量なる聖光を跳ね返す等の、簡易的な技は可能だ。
故に───。
「ちょっと不味いッス。なら……」
アーサー君は光を無力化するしか無くなった。
聖槍により空を舞うアーサーは、空中にて固定。
僕の読み通り差し迫る聖光を霧散させた。
瞬間、僕はアーサー君を撃ち落そうと魔法を穿とうとした、のだが。
──────霧散した聖光だ。
それが、目を潰す激しい逆光となってその攻撃の発動を阻害したのだ。
それもただの光じゃ無く、魔法を一時的に無力化する阻害光となっていた。
追撃は不可能。
そう思った時には、アーサー君は反撃の構えに移っていた。
───聖槍を光の楔として複製。
標的を見抜き、確定し、そして……。
一挙に発射する。
力動する聖槍。
空間を破りかねん光は、快音を為して僕へと収束する。
避けねば串刺し。
刹那の合間に、僕はバク転で退き下がった。
舞い上がる土煙。
迅速に処理された聖槍は、全て無残に地面へ突き刺さっていた。
「むぅ……」




