第六話:扉を開けるとそこは………
義人「え〜前回、報告ミスというか、お知らせするのを忘れて増したが……更新日予定は土曜日というところまではいっていたとおもいます。それと、時間帯的には夜七時ごろってところですね。では、今回もお楽しみ下さい」
六、
屋上、開いていないはずの扉はあっさりと開いた。
「あれ?」
「………」
しかも、開いたと思って気がついてみたらそこは今の僕の部屋だった。
「やけに私物が散乱している屋上っすね?しかも、屋上なのに屋根があるし………おや?ベッドの下に本が………」
見られるといろいろとやばそうだったので慌ててプリンの背中を叩く。
「な、なんかよくわからないけど僕の部屋に出たみたい」
時刻は六時を指していた。
「あれ?あっちには三十分もいたっすか………とりあえず、義人君の部屋がゴールとなってたみたいっすね?」
「う、うんそうだね…………一体、あれはなんだったんだろう?」
首をかしげてさりげなくベッドの奥のほうに本を押し込む。勿論、ばれないようにさりげなく。
「何隠してるっすか?」
ば、ばれてる………。
「あ!エロ本っすね!?」
何をそんなに嬉しそうにしているのだろうか、このトップアイドルさんは………
「あ、いや、これはね………」
「いやぁ、お昼に義人君は男が好きだって聞いたものっすからほっとしたっすよ」
誰だろう、それを言った奴は?あとでボコボコにしておこう。
「プ、プリンさん?」
「何っすか?」
ニヤニヤしている………トップアイドルはにやにやなんてするのだろうか………プリンを見て僕は頭を下げた。
「このことは内密にお願いします!!」
「う〜ん、そうっすね………考えてあげてもいいっすけど………それなら、今日のことは誰にも言わないって約束してくれるならいいっすよ?」
「今日のこと?あの変な学校のこと?」
「そっす!」
嬉しそうに頷くプリンを見て僕はため息を一つついた。
「勿論だよ………これ以上変な奴だって思われたくないから」
「約束っすよ?」
いつの間にか僕の両手を掴んで顔をぐっと近づけて彼女は言った。
「わ、わかってるよ………」
女子にこんなに顔を近づけられたのは初めてだったのでどぎまぎしてしまったのだが僕は敢えて冷静さを保って頷いたのだった。
―――――
その日、僕は夢を見ていた。
「ねぇ、義人君…………本当に厄介ごとに首をつっこむのがすきなんだね?」
「そうよねぇ、小さい頃から逃げればいいのに……自ら突き進むなんてよっぽども馬鹿よね?」
なぜだろう、僕の知り合いたちが僕を馬鹿にしている。
「私が間違って障子を破いちゃったときも全然関係ない義人君がわざと破ったってそういって怒られたりしたし………」
「あたしが不良に絡まれたときだってのこのこやってきて相手をボコボコにして停学を喰らったりしてさ……」
あれ?よかれと思ってやったのに何故怒っている様子なのだろうか………
「「また、厄介ごとをつれてきたみたいだし」」
美咲ちゃんとミルフィが口をそろえてそういったところで目を覚ました。
「………美咲ちゃんとミルフィが出てくるなんていやな夢見たな………」
「え?私が出たらいやな夢なの?」
「………」
何故か彼女は僕の胸に座っている。うん、これは悪夢を見るね。
「ごめん、重………ぐぁぁぁぁぁっ」
美咲ちゃんに対して重いという単語は禁止だったことを忘れていた。目が恐い。
「あ、ご、ごめん……ごめんって!軽い!まるで美咲ちゃんは羽のよう!!フェザー?フェザー級……あ、そういえば相撲にフェザー級ってあったっけ?…………ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
何故か機嫌の悪い美咲ちゃんは僕を潰そうとがんばっていた。
――――――
一方的なリンチを受け、朝食をとって僕はため息をついていた。
「ふぅ………」
今日はこれから用事があるのである。今日は休みなのだが、昨日、ちょっとプリンが約束事を持ちかけてきたのである。
「あ、義人君、ここら辺の道詳しいっすよね?」
「ん〜、僕もこっちには引っ越してばかりなんだけど………まぁ、一応はわかるよ」
「校舎内も案内してもらったし、義人君の部屋の内部も案内してもらったっすから今度は町の案内をお願いしてもいいっすか?」
「うん、それはかまわないよ」
今頃学校では大騒ぎになっているかもしれないなと地平線に沈み行く太陽を見ながら考えていた。
「じゃ、携帯のアドレスとか交換しておくっす」
「ん〜わかった………」
トップアイドルがこうも簡単に電話番号、メールアドレスなどを教えていいんだろうか?そんなことを考えていると彼女は言った。
「どうせ、義人君には価値がない物だっておもわれるっす」
「え?」
「だって、私のことを知らないぐらいっすからね。それに私の携帯の電話帳、家族のものぐらいしかないっすよ。寂しいっすから義人君のを入れとくっす」
そう言って交換終了し、さらに彼女は言った。
「明日、ちょっと付き合ってもらいたいっす」
付き合って………そういわれた瞬間に心が天国に行ってしまったが、ああ、これはあした荷物もちをしてくれてといわれているんだと自分に言い聞かせた。
「ん、わかった」
「明日、迎えに来るからそれまでに用意をお願いしたいとおもうっす……あ、義人くんって何だが言いづらいんでヨックンでいいっすか?」
「………呼びづらいかな?まぁ、いいけどさ」
「そうっすか、じゃ、絶対に私のことを優先にして欲しいっす」
昨日はそれで別れたのだった。
部屋にいると美咲ちゃんが興奮した様子で入ってきた。
「よ、義人君!し、島津プリンがこの家にやってきたよ!!!しかも!義人君のことを呼んでるみたい!知り合いだったの!?」
ああ、そういえば昨日美咲ちゃんは部活にいっていたから家にはいなかったんだったな。ま、家に帰ってきて詳しく説明することとしよう。
「ち〜っす、覚えてくれてて嬉しいっすよ」
「………ま、約束してからね」
土日、基本はミルフィが僕を『あんたをパシリなさいって神様が言ってたわ!だから付き合いなさい』といった感じでこき使うのだがこのまえ携帯を変えていて送っていないので彼女はいらついているだろう。ま、そんなことはどうでもいいんだが………
「ヨックン、とりあえず文房具店とかそういったものがどこにあるのか教えて欲しいっす」
「ん〜……わかった」
文房具店へと向かう角を曲がる………
「ありゃ?」
「ん?」
何か、違和感を感じた。空が暗い、星が出てない、月がない!って………昨日の二の舞なんじゃ………。
「ま、またっすか?」
隣でため息をついているプリンに同情したい。
「けどまぁ、とりあえず一人じゃないんでよかったっす」
確かに、それはそうだろう。こんなところに一人でいたくないし、出来れば一人以上でもこの場にいたくない。
きょろきょろとあたりを見渡していたプリンが慌てて僕の後ろに隠れた。
「どうしたの?」
「あ、あそこに誰かいるっす!」
彼女が震えながら指差す方向に確かに人影があった。よかった、なんだかとても危ない空間に来たのかとおもったんだけど人はいるようだ、一応。
「すみませ〜ん」
僕はなんとも思わずその人影に近づこうとしたが、プリンが後ろから止める。
「待つっす!!」
「え?何で?」
「ヨックン!よく見るっす!」
暗闇に目を凝らしてみると………
「「ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」」
僕とプリンは二人して叫び声を出してその場を後にしたのだった。無論、転がるようにして逃げたのは間違いないが気がつけばプリンを背負って僕は走っていた。あれ?僕だけ重労働しているような気がする。
「な、何あれ?」
「さ、さぁ………まさか頭から伊勢えびが生えてるとはおもわなかったっす」
いいや、プリンはそんなことを言っているがあれはそんな生易しいものじゃなかった。確かに首から上が人間ではなく海老だったのだが右胸のところからはトカゲが顔を出していたりもした。あれ、絶対に人間じゃないだろ?キメラ………そう、そんな感じがした。しかも失敗作だとおもわれる。
「………とりあえず、この変な世界の出口を探さないと」
「そ、そうっすね」
これ以上変なものを見る前にどこかに出ないといけない。今回、建物内部にいるわけではないので確実にプリンが言っていた話じゃ“扉”の向こう側にいるということになる。つまり、ぞろぞろといるのだ、あんな連中が。
「………なんか、巻き込んだみたいで悪いっすね」
「何に?」
「昨日と今日のこと実は初めてじゃないっす」
「………」
走りながらそんなことを彼女は告白した。
「この世界、一体全体何なのかはわからないっすけど、とりあえず危ないってことはわかっているっす。まだこれで十回目っすけどはじめは夢の中でしか見たことがなかったっすよ。けど、三回目はもう頭がおかしくなるかもって、毎日毎日眠れなくなって………気がつけば何もかもがいやになってアイドルを辞めて学校も転校したっす………昨日の朝、ヨックンに衝突されたときに重たい心が若干晴れた気がしたっすよ」
そういえばヘッドバッドをプリンに食らわせたような気がする。そのとき、移ったのだろうか、この世界が………。
「あの世界、二回目のときは友達といたっすけど気がつけば自分ひとりでいたっすよ。けど、ヨックンとは違った………一緒にこれたっす。自分勝手だったけど………一緒にいればこっちの世界に連れ込めるって確信したっすよ………最悪っすね、私」
下を向いてそんなことを言う。
「………ま、まぁ確かに最悪っちゃ最悪だけどね………それより、この世界から何とか抜け出さないと………もう十回目なら抜け出す方法知ってるんじゃない?ほら、しょげてる前にかれる方法を見つけよう?」
僕よりあっちのほうが慣れっこだ。郷に入れば郷に従え………僕は素直に彼女の言うとおりにすることにした。
「………なんとなくだけど、学校内に入れれば大丈夫だっておもうっす」
「学校?」
「そうっす。この世界で一度出口を見つけてしまえばそこから出れるっすよ!外から始まっちゃったことは今日がはじめてっすけど建物内部のときは表の世界……普段生活しているほうの世界のことっす………そっちでは鍵などがあって絶対に入れない場所の扉がゴールってことになってるっす」
成る程、だから普段は開いていない屋上が開いていたのか………僕らはいそいで学校へと向かうことにした。
「うわ!何あれ!?」
学校途中、道に魔法陣のようなものがひとりでに描かれていって虹色に光りだす。
「………多分、さっきみたいな変なものを生成するものだとおもうっす」
「………どういうこと?」
「しかも敵意を感じるっす!あれが生まれる前に学校内に入らないとやばいかもしれないっす!!」
彼女の顔が青白く浮かび上がる。僕は慌てて彼女の手を掴むと校庭を突破!いたるところに魔法陣が形成されている。
「っと……セーフ!!」
「あ、危なかったっすね」
何とか校舎内に滑り込んだ僕たちは息つく暇もないという調子でそのまま階段を駆け上がっていって屋上の扉を開けたのだった。
ども、雨月です。雨月の作品で時雨君の存在を知ってくれているなら……じつは今のところ時雨君シリーズを新たに書いています。そのときはまぁ、よろしくお願いします。




