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第五話:遅刻したトップアイドル!

義人「え〜今日からとうとう……あの方が消えてしまいました……まぁ、前座をやっていたような感じの人たちだったのですが、僕としては消えてもかまわなか………」時雨「………誰が消えたんだって?」義人「!?」時雨「今度からはこっちでお世話になるよ」義人「………さ、さて、今のところの予定では毎週土曜に更新したいと思っていますが、メッセージなんかをもらえると嬉しいんでそのときにも更新しようかな〜っておもってます」時雨「僕に対してのご意見、ご要望もよろしくお願いしたいとおもいます」義人「……先輩、僕が主人公ですよ」

五、

「やべぇ!遅刻だ!!」

 僕、坂凪義人は確実に遅刻へのロンドを刻んでいたりする。まるでそれは螺旋階段を駆け下りる……否、転げ落ちるようなスピードで僕は自転車をこぎまくっている。

 勿論、自動車波のスピードを出しているわけではないが誰かにぶつかってしまえば大怪我を負わせてしまうのは間違いないだろう。

「!?」

「きゃ、きゃぁぁぁぁあ!?」

 そして、事故ってしまった。

―――――

 ぶっ壊れた自転車がゴミ捨て場の壁にめり込んで後輪が宙に浮いて力なくからからと回っている。

「………あ、危なかった………怪我ない?」

「大丈夫っす………あたたた………」

 しりもちをついてパンツを僕に見せている女子生徒をみるが、去年見たことがないような少女だった。どこかで見たことがある………そんな気もしたのだが、今はそれどころではなかったが女子と話す機会はあんまりないので色々とたずねることにした。勿論、時間がないので急いでたって学校へとともに向かいながら出発はしているのだが………。

「あ〜っと、同じ学校の子だよね?」

 制服を確認するが間違いなくこの制服はうちの女子生徒が着ている奴だ。

「えっと、昨日こっちに引っ越してきて転校してきたっす」

「成る程……転校生?」

「そうっすね」

 頷いてそういうが、続けて彼女は言った。

「ちょうど道がわからないところでしたからあなたにあってよかったっす………名前はなんていうっすか?」

「僕?僕は坂凪義人だよ」

「成る程、私が年上だったら義人、タメだったら義人君、年下だったら義人先輩っすね………何年生っすか?」

 二年生だと相手に伝えると『それなら義人君決定っすね』といった。

「君、そういえば名前、なんていうの?」

「え?私の名前知らないっすか?」

 驚いたような顔をする謎の相手。

「ごめん、知らない」

「う〜ん、結構がんばったって自分では思ってたんすけどね〜………島津プリンっす。どっすか?思い出したっすか?」

 名前がおかしいのは今の時代、良くあることだが………プリン……う〜ん、どこかで聞いたことあるんだけどな……。

「わかんない」

「道理で私を見てもサインしてくれ〜とか握手してくれ〜とか言ってこなかったすね………私の正体はっすね〜」

 彼女が言おうとしていると、僕の背中に何かが直撃する。

「がはっ!」

「だ、大丈夫っすか!?義人君!!」

「あははっ!直撃〜。間抜けな義人にクリ〜ンヒット!」

 この声、そして相手を小ばかにしたこの調子………

「何だ、ミルフィじゃないか………まったく、朝から馬鹿やってる時間ないだろ?どうせ今日も遅刻だろうからね」

「何よ!あんたこそ朝っぱらから生意気にも女子生徒と仲良く登校しているなんておかしいじゃない?あんたの武勇伝聞いて近寄ってくる女子生徒がまだいるとは思ってなかったけどね♪」

 相良ミルフィ。

お金持ちのとこのお嬢さんで僕の幼馴染に当たる。

中学三年に入り、転校したのでこれでいじめられずにすむと思っていたのだが高校が同じであることに気がつき、一年のときは極力存在を隠していたのだが発見されておねしょしたこと、初恋が見事に失敗したことなどをことごとく披露。

さらにあることないこと適当なことを言いふらした挙句、僕は女子にもてなくなってしまった。

残念なことに男子は僕とミルフィが付き合っていると勘違いしており、生暖かい目で僕らを応援してくれていた。

バレンタインデーのときもミルフィはなんだかんだで『幼馴染だから』という理由でチョコをくれたりクリスマスのときも『あたし、夢はサンタだから』ということでプレゼントもくれる意外といい奴なのかもしれない。中学生のころは『Sの相良にSなのにMの坂凪』ってよく言われてたからな………勿論、そういった奴らは全部校舎裏でしめてやったさ♪

「って………あんた、いつの間にアイドルと仲良しになったのよ?」

「ああ、成る程だからどっかで見たことがあるって思ったんだ………」

 納得がいった。基本的に僕はニュースとかしか見てないからなぁ。ドラマとかそういうの見てないし………知らなかった。

「へぇ、ま、いいわ。どうせあんたみたいな男をトップアイドルが気にするわけないし………義人はありがた〜く、プリンを拝んでおくのね。じゃあね」

 あっという間にミルフィは去っていった。一体、何がしたかったのだろうか?

「…………相変わらず変わった人っすね」

「うん、そうだね………って、ミルフィのこと知ってるの?島津さん?」

「プリンでいいっすよ………そりゃまぁ、アイドル同士っすから」

「嘘!?プリンは可愛いからわかるけどあのサディストミルフィがアイドルだって?そんなに皆彼女にぶたれたいのかな?」

 彼女がふってきた男の数はそれはもう、両手を使っても足りないし、両足使っても足りない。しかし、振られた連中は何かうれしそうな顔をしていたらしい………というのは『あんたなんかと付き合う気なんてないわ!』というミルフィのビンタが最高だ!という事情がある。

「あれ?義人君は知らなかったっすか?アイドルってこと」

「ぜ〜んぜん。そんな前からアイドルだったのか………」

「いや、二年ぐらい前からっすね。中学三年生のころっす」

「ふ〜ん、まぁ、別にミルフィのことはどうでもいいんだけどね………」

 その瞬間、悪寒がした。そして、ついでにどこかでチャイムが鳴り響いたのだった。

――――――

 今日の遅刻者は二人!トップアイドルの島津プリンと学校内じゃ知らない奴は一人もいないロリコン足フェチ盗撮マニアと噂の坂凪義人、この僕のことである。肩書きは勿論あのS相良ミルフィのせいであるが……………。

「はぁ、何でこんなことになったんだろう………自転車、壊れちゃったし………」

「まぁまぁ、もう終わるっすから泣き言いったってしょうがないっすよ」

 遅刻者は特別教室の掃除をしなくてはいけない!というのがこの学校の校則だったりする。けどまぁ、今回の遅刻者が二人で、珍しく普段から遅刻するような奴が早めに登校していたりした。その理由がどこから情報が漏れたのかトップアイドルの島津プリンが転校してくるというものだったりするのだが………彼はこういった。

「畜生!せっかく島津プリンと二人っきりで特別教室を掃除するなんて………坂凪、今度決闘だ!!」

 勿論、僕は軽く受け流したが周りの男子の静かな殺意が恐かった。

「先生!坂凪が島津さんに襲い掛かると思われます!僕に監視をさせてください!!」

 一人がそういうと近くの男子が手をあげる。

「駄目だ!貴様のほうがしそうだ!先生!俺をぜひとも島津プリン防衛隊隊長に任命してください!」

 がやがやと騒ぎまくって一時間目は授業どころではなかった。

「あ〜あ、本当に昼間はついてなかったなぁ………」

「そうっすね〜確かに色々といわれているようには見えてたっすけど、ミルフィに助けられたっすね?」

 言われたことに僕は頷いた。いや、別に彼女がいつものように僕をコケにしに来ただけなのだが………

『ねぇ!皆知ってる?義人ってば島津プリンのことを知らなかったのよ!!!アイドルによりも二次元の美少女ゲットに萌えてる………そんな奴だったのよ!!』

 結果、オタクという称号がついてしまった………前世じゃこんな小うるさい幼馴染なんていなかったんだけどな。どこでミスったんだろ?夕焼けを見ながら考えてみるが答えはでてこない。

「さ、終わったっすよ」

「ん?じゃ、帰ろうか?」

「そうっすね」

 プリンとともに掃除道具を片付けて職員室に行くために扉を開ける。時刻はPM5:30だ。

「…………あれ?」

「どうしたの?」

 先に飛び出たプリンが首をかしげる。

次に出てきた僕も動きを止めた。

特別教室に入ってまだ一時間もたっていない。

春先だからまだ日が沈むには早い時間帯のはずだったのだが、空は真っ暗、先ほどまで大きかった夕焼けは消えていたし、空には雲が出ていないが月も出ていない。きらめくお星様だって窓から僕らを見下ろしてくれてはいなかった。だが、不思議と学校内部、プリンの顔などはしっかりと確認できたりする。

「これは………一体………何っすか?」

 首をかしげるプリンに対して僕も当然首をかしげる。

「さぁ?さっきまで夕焼けあったよね?」

 頷き、あたりをきょろきょろとしたりする。

「廊下にもたくさん人だかりが出来ていたっす。人の気配もすべて消えているし………一体全体、何がおこったん………!?」

 プリンがぎょっとして廊下の奥を見る。僕も同じようにしてそちらのほうを見るが、別に何もなかった。

「どうしたの?」

「いや……人影が見えたような気がしたっすけどね………とりあえず、校舎を出たほうがいいような気がするっす。それになんか、とても肌寒いっす」

 自分の肩を抱いて彼女はそんなことを言った。確かに、先ほどまでは冬物の学ランが暑いと思っていたのだが今はこのぐらいがちょうどいいと思われていた。

―――――

 職員室にいくことなく僕らは急いで靴を履き替えて外に出ようとしたが………

「あれ?開かないっすね」

「ホントだ………」

 鍵はかかっていないのだが扉がびくともしない。けりを前面ガラス張りの扉に食らわせても割れないし、近くの窓に向かってかさたてをぶつけてみたのだがこちらも割れなかった。いつの間にうちの学校は超硬度ガラスを使用する気になったのだろうか?こんなことする前に壊れたトイレを修理したほうがいいと思うのだが………

「閉じ込められた………っすね」

「やけに冷静だね………」

「ま、ここで騒いでも義人君の足手まといになるし、死ぬときはきっと義人君と一緒っす」

 なんか普段聞いたら嬉しい言葉だがこの状況で言われてもあんまり嬉しくない。そして僕自身が冗談を考えている場合ではないということに気がついた。

「………ちょっとどいてて」

 右腕に力をこめる。なんとなく、“血扇”、“血槍”を使えばこの窓を壊せると思えたのだが………その僕の腕をプリンが止めた。

「………何をするかよくわからないっすけど、やめたほうがいいと思うっす」

「………なんで?」

 とりあえず右腕を下ろしてプリンの顔を見る。青ざめたような感じのプリンだったが、声はしっかりと誰もいない廊下に響き渡るほどの声で言った。

「………ここは文字通り、“扉”っす。それで、義人君が何をするかわからなかったっすけどもしかしたら何かこの“扉”を開けるための“鍵”を出そうとしているっておもったっすよ………確かに扉を開ければ私たち二人はこの建物から出られるっす。けど、“扉”の向こうにいる連中もこっちに入ってくるってことっす」

「え?“扉”の向こうって………」

 前面ガラス張りの扉を見るのだがあちらのほうに誰かがいるようには見えない。

「あくまで例えの話っす…………開ける、開けないは義人君の好きなようにしていいっすよ?けど、その前にもう一度おとなしくこの学校内を探索したほうがいいと思うっすよ……どうっすか?」

 プリンはどうやら僕に従うようだ。選択肢が出るとしたら

 プリンの言葉を無視して窓を壊す

→プリンの言葉を信じて校舎を調べる

こんなものだろうな。僕はプリンの言ったことを試すことにした。窓を壊してしまえばやはりあとで責められてしまうだろう。それに、直感的にだがプリンに従ったほうがいいように思われた。

「じゃ、ついでに学校内にどんなものがあるかも教えておくよ」

「ああ、それいいっすね。よろしくおねがいするっすよ」

 こうして、僕はプリンに校舎内を案内することとなったのだった。

―――――

 音楽室、図書館、生物室に地下室、美術室や書道室などなど、たくさんの特別教室を紹介しておいた。校長室などもあったのだがこっちは必要ないだろうから無視しておいた。

「へぇ、たくさんあるっすねぇ」

「まぁ、どこもそんなもんだろうけどね………最後は屋上かな?」

 ま、開いてないだろうけどね………とは言わなかった。もしかしたら開いているかもしれない、そんな期待が僕の胸に宿ったからだ。


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