第四話:VITAL・CHAIN
義人「さて、この話から本格的に始まりました………今思えば壮絶なプロローグ?だったと思います。ま、冗談はさておき、これからどういった話になるのか………骨子案は検討中です」
四:涙の出るような友情
時雨
「………ふぅ、大丈夫か」
剣治
「どうしたんだい?そんなにおびえて………」
時雨
「最近さ、なんだか変な色物連中に追いかけられている気がするんだ」
剣治
「色物連中?メイドさんかい?」
時雨
「違う違う!戦隊物の格好してる三人と海産物の怪人みたいなの」
剣治
「あ〜、それって道の先にいるあの人じゃない?」
時雨
「!?」
赤
「また会ったな!」
青
「前回はぼろ負けだったが」
黄色
「今回は負けない!」
怪人A
「お前を倒して我々が色男面になるのだ!」
決めポーズを決めている四人にすばやく近づいた時雨はその四人をあっさりと倒してしまった。
時雨
「これ以上近づくと警察、呼びますよ!」
剣治
「そうだね、そうしようか」
二人は去っていき、動けるものは一人として四人の中にはいなかった。
(続く!)
――――――
それにあってはいけない。
それを開けてはいけない。
それに触れてはいけない。
それを見捨ててはいけない。
それは異世界の扉、日常との別れ。
「ん?」
下足箱の中に入っていたのは大き目の茶封筒だった。そして、上記の言葉が書かれている。
「これは………なんだろ?」
僕は当然のようにそれを触ったりしたのだが、あけてみることにした。へんなものだったら元に戻しておけばいいだろう。
僕は、それを、開けた。
VITAL・CHAIN 〜天魔ノ飛翔〜
子どものころ、ガキ大将のような存在にいじめられたことはないだろうか?まぁ、いじめっ子だった人にこの話をしてもわからないだろうが、いじめられたことがある人ならわかるだろう。それこそ、彼らは暇つぶしとしてそれを行っているときもある。ただ、都会から引っ越してきただけでからかってきたりする。
「や〜い!紅目!」
僕の場合は目が紅かった、ただそれだけの理由で引っ越し早々相手方がからかってきた。人数は五人くらいでまぁ、周りの連中は弱そうだった。
「…………」
「おい、なんとかいえよ!」
「…………“血扇!”」
僕が右手を振ると彼らに紅い閃光のようなものが飛んでいき、彼らをなぎ倒していった。
「う、うわぁぁぁぁあん」
「けっ、子どもが僕に話しかけるんじゃないよ、まったく………」
この出来事が起こったのは今から十年ぐらい前………小学校一年生ぐらいのころだろう。今となってはいい思い出である。この時点で、見た目は子どもだったわけだが………。
―――――
僕が今現在通っている高校の屋上には鍵があり、いけない。それは何故かというと、危険だからだそうだ。過去一度、この高校の屋上からあやまって飛び降りてしまった人がいるらしい。どういった状況で飛び降りてしまったのかわからないのだが、聞いた噂ではその人は夜な夜な屋上をさまよっているそうだ。
話が逸れてしまった…………。
僕がこの家にやってきたのは一週間ほど前だ。両親が海外に出張してしまい、僕だけ残されたのだが一人ではさすがに生活しきれないと思ったのだろう、両親は隣町に住んでいる親戚のもとへと僕をおいていった。
「ねぇ、義人君何してるの?」
「本読んでるんだよ」
「へぇ、何の本?」
「倫理」
「面白い?」
「まぁまぁ」
「ふ〜ん」
おじさんとおばさんが帰ってくるまでそこの家の娘である美咲ちゃんの相手をしていなくてはいけない。彼女は高校一年生で、僕の一歳年下である。何事にも興味を示すような性格なのか、はたまた静かなところが嫌いなのか知らないがこの一週間の間ずっと僕の近くにいる。そして、五分に一度は話しかけてくるのである。
さて、他人について説明ばっかりしているのはどうかと思うので………まぁ、してないっちゃしてないんだけどね。
僕、坂凪義人について少々説明しておこう。
実際の年齢は………34歳といったほうがいいだろう。
以前、僕は信じてもらえないだろうが17歳まで生きて、とある日、その能力のまま赤ん坊となってしまった。
信じられるだろうか、この話が?よって、そのままの能力(頭脳、運動神経、趣味など)を引き継いだままなのだ。
簡単に言うとゲームで全クリした後にもう一度初めからでステータス引継ぎといった感じなのだがこれがまた、退屈だった。
赤ん坊の頃はとりあえず母さんに手のかからないように夜鳴きを控え、スプーンを右手で綺麗に持つと驚かれたので翌日からは左手で握ることにした。
これにより、実際の赤ん坊のような仕草を見せたのだ。
生まれた当初から始まったので抱き上げてくれた看護士さんに口が滑って『ありがとうございます』なんか言ってしまったらぎょっとしていた。これは失敗したと思っている。しゃべれる言葉は『ばぶ!』この一言だけで我慢して、育児の本(赤ん坊がどういった行動をするか知るため)を適当に読みつつ、他人より若干発育の遅い赤ん坊を演じていたのだった…………。
それ以降、夜鳴きもせずに母が昼飯を準備するまで買ってもらったクマ(これがまたリアルなクマのぬいぐるみだった)の耳を甘噛みするまねをしていたりもした。
「まぁ、義人はいい子ねぇ〜」
ずっと、そういい続けられた子どもはまぁ、そこまでいないに違いない。だが、僕は十七歳の心を持っているのだ。お漏らしゼロ、う○こも自分でやっていたのだ!正直言ってこれはもう赤ん坊のレベルでないということを両親が気がついていないことに驚いたのだが、僕としてはこれでよかったと思える。
まぁ、その結果として…………両親は殆ど家にいなくなってしまった。つまり、手のかからなくなった俺を放っておいても大丈夫だと認識したのかずっと仕事に行ったきりだったのだ。そのおかげで母さんと父さんは大忙しで、休日、僕は一人であることを練習していた。
二周目の特典かどうかは知らないが、波動を出せるようになったのである!
「ていっ!!」
両親がいないとき、ずっとこれの練習をしてたのだ!僕は!そして、気がついたのだが………
「こ、この能力って正直平和な世の中では必要ないのでは?」
四つんばいになって気がついたのだが、本当に必要がないのだ。
ちょっかいを出してくる上級生とかそういうのに対しては勿論使っていっているが、一番威力の少ないもので撃退している。
右手、左手のどちらかを振って衝撃波を放つ“血扇”、若干強そうな相手には左手、左手のどちらかを勢い良く突き出して衝撃波と打撃を撃ち込む“血槍”まぁ、他にも色々と応用技やらなにやらあるのだが………そういった物騒なものを極力使うことなく僕は気がつけば高校二年生になっていたのである。
そして、前にも言ったとおり、美咲ちゃんの相手をしているだけに過ぎない。
「ねぇ、何してるの?」
「読書………」
今日もまた、そういったやり取りが行われる………
事情が変わったのは次の日からだった。




