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切り裂きジャックと呼ばれた男



ジャック・ザ・リッパー


1888年にイギリスで連続発生した猟奇殺人事件の犯人の通称。未解決事件である。

成人女性5人、女児20人の殺害。成人女性の中には子宮、膀胱、左の肝臓、腸を持ち出されたものもいる。

その犯人像は様々だ。男性、女性、男児、女児、老人、老婆…挙げたらきりがない……





「────なんて、世間は言ってるけども…二十歳の男なんだよな~これが」


切り裂きジャック───もといジャックは笑う。

血に染まったナイフ片手にケタケタと。

1888年冬。イギリスの満月がスポットライトのように路地裏の二人を映す。

映すは血濡れた白のドレス姿の女性と帰り血を着けた黒い外套姿の男だ。


「命を失った瞬間、人間はもっとも美しくなる…と僕は思うんだよ……これが、何故他には解らないのかなぁ?メイリーン?」


ジャックは死体相手に呟いた。

彼女の名はメイリーン。

返事はない。当たり前だ。もう既に息絶えているのだから……


「おい貴様!そこで何をしている!」


路地裏に警官が駆けつけた。しかし時既に遅し、既に犯行は遂行された。ジャックにとって此処に居座る意味はない。

ジャックはナイフを”一度“仕舞い、警官に近寄る。


「あ…あぁ…アアアアアアアッ!!警官さん!助けてくださいぃ!今、目の前で!僕の妻が…刺されたんです!あぁ、あああああ…」


ジャックはガタガタと唸る。

まるで別人のように。


「そ、そうですか…それはお気の毒に。お気持ち察しますが、犯人の特徴を…」


「はい、アイツは黒いコートを羽織っていました。黒い山高帽を被っていて……目の色は………」


ジャックは言葉を止める。


「? 目の、色は?」


「目の色は………綺麗な、綺麗な…橙色でした………♪」


ジャックは明らかに声色を変え、まるで子供のような声で警官に告げる。自らの目の色を。


「ギッ───────」


警官の悲鳴にならない声が誰もいない路地に響く。

それと同時に、ジャックの顔に紅い、紅い血が飛び散った。


「いやぁ、男の死に声は実に美しくない…もっと、綺麗な声で啼いてくれよ…警官さん♪」


またも死体に語る切り裂きジャック。

やはり返事はない。

彼の顔は無惨にも切り裂かれ、肉は削がれ、骨は飛び出て、片目は彼によりに刺さって抉り取られていた。


「さぁて…”切り裂きジャック“のサイン会だ。メイリーンには血文字で…警官さんにはナイフで…」




翌日、路地裏に転がっていた二人の死体。

子宮と膀胱を抜き取られた白いドレスの死体。黒い軍警の脱がされた男の背中にはサインが書かれていた。



───Jack The Ripper───

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