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さよなら世界  作者: 御崎 紗江
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一話目

中二病たっのしー

「ところでよ、なんでお前は夢花のこと知ってんだ?」

 青年が話しかけてきたきた。

「まぁ、有名ですから彼女は。」

 桜音 夢花は僕の学校では有名人だ。雅人を男子のトップとするなら桜音は女子のトップ。定期テストでは不動の二位を獲得し部活こそ入っていないもののその運動センスはどの部活でもレギュラー入り出来るレベルだ。更におしとやかで人当たりも良くまさに高嶺の花と言う位置に居る。

 だけど彼女の一番の魅力はその容姿だ。見るもの全ての目を惹き付ける黒髪をストレートに下ろしていてその細い身体を覆っていてさらにその髪が肌の白さを引き立てている。口は淡いピンクで然り気無く存在をアピールしている。その口と彼女の小物にピンクが多いこと。そしてその名字からこう呼ばれてる。

桜姫さくらひめ」、と。

 それを話そうとしたら。桜音さんの顔が見えた。めっちゃ笑顔だった。ただ恐い。無言で完全に笑顔だ。目を除いて。

「成績が良いだけだよ。秀樹」

 青年の方を見て言った。青年の名前は秀樹らしい。

「……そ、そうか」

 ガクガク震えながら頷いてた。笑顔なのに冷たい声って想像以上の恐さが有る。

 そんなことを話ながら歩いてたらある建物に着いた。

「ようこそ私達のホームヘ杵島祐也君。私達は君を歓迎するよ」

 建物を指差して桜音さんはそう言った。


「さて、杵島君。秀樹がかっこつけることを優先させて君の食材をダメにしてしまったことだし、夕飯を奢りたいのだけど大丈夫?」

 そんなことを聞いてきた。それ自体はありがたい、ありがたいけどその前に聞きたいことが有る。

「それよりその格好は何?」

 彼女のメイド服を指差しながらそう尋ねた。

「うん?あぁ、これ?ただの私の趣味。どう?似合ってる?」

 笑いながらそう言ってくるりとターンした。

「趣味がメイド服って。コスプレ好きだったんだ。桜音さん。」

「意外かな?」

「意外じゃない理由が無いですよ。そもそもピンクの服じゃないのが意外です。」

 そう言うと彼女は苦笑いして指を二本立てた。

「二つ君に言いたいことが有る。一つ目は敬語は辞めても良いってこと。同級生にさん付けされるのは気恥ずかしいし君の敬語は下手すぎる」

 おい、この人出会って数分の人に敬語が下手くそとか言ってきたんですけど。人当たりが良いんじゃないの?

「二つ目。私だってピンク以外の小物を沢山使ってるってこと!大体私の持ってるピンクの小物なんて筆箱と体育の時に使うヘアゴムくらいなんだよ!」

 顔を真っ赤にして息を切らせながら強く言い切った。

「は、はい」

 その様子に僕は気圧されてそれしか言えなかった。

「じゃあ、料理つくってくるね」

「手伝おっか?」

 秀樹さんと二人っきりとか気まずくて死ぬので手伝いに志願した。

「え?料理出来るの?」

 桜音が少し驚いたように聞いてきた。

「一人暮らしだからね」

「そっか。じゃ、お願いする」


 目の前にハンバーグが並んでいる。

 桜音は真っ黒の緩い長袖のTシャツとズボンの服に着替えて居た。

「いつ、着替えたの?気づかなかった」

 僕が聞くと桜音はニヤリと笑って指を鳴らした。すると一瞬であのメイド服の姿になっていた。僕が呆気に取られていると今度は何の呼び動作の無しにさっきのラフな服装になっていた。

「これについては後で説明するよ。それよりご飯が冷めちゃうし早く食べちゃわない?」

 それもそうかと思い手を合わせた。

「いただきます」

 三人の声が重なって部屋に響いた。


 そこからは無言の時間が続いた。秀樹さんは一心不乱にハンバーグにかぶりついていて話す時間が勿体無いと言わんばかりに箸を進めている。それに引き換え桜音は静かに黙々と食べている。関われば関わるほど学校でのイメージが壊れていく。ある種の才能だとすら思う。

 どんな才能だよ。

 え?僕?知り合ったばかりの人が無言で食べてるのに話を振るとか出来るなら友達沢山居るよ?

 

「ごちそうさまでした」


 皆が食事を終え、食器も片付け終わり僕と桜音が席に着く。秀樹さんは寝た。……マジかよ。

 

 さて、ここから解説の時間だ。


「さて、君が知りたいことを話してあげよう。何から知りたい?」

 彼女は唐突に聞いてきた。答えは決まってる。


 僕は答える。全て、と。


「強欲だなぁ」

 彼女はニヤケながらそう言った。それも見たことのない桜音だった。


「それじゃ、私が知っていて開示できることはすべからく説明しよう

「まず、君を襲った黒い化け物、の前に秀樹の放つ雷撃や私のしていた早着替えについて説明しよう」

 そんなことより化け物を先に教えろよと思う。思うだけだけど。

「そっちの方が効率が良いんだよ」

 こっちを見ながら言った。

「秀樹の雷撃や私の早着替えを可能にしているのは『カルマ』と呼ばれる力だ

「人には自分が自分で有るための存在が有る。言ってしまえばアイデンティティだ

「例えば、秀樹は山に居たとき目の前に雷が落ちてきて奇跡的に生き延び、それを切っ掛けに雷に魅いられた

「その存在を自分の力で顕現させる技術がカルマ、と言う訳だ

 ここまでは分かった?」

「つまり、トラウマを思い出すことでそれを操るってこと?」

「うん、まぁそうだね

「それでは本題だ。あの黒い化け物は何なのか

「あれは誰かのカルマだ

「それが誰なのかはまだ分かってない

「ただ、そいつの目的は分かる」


 桜音はそこまで言い切ると本を取り出した。

「この本は?」

「世界の黙示録。いつか来る世界の破滅を予言した書物だよ」

 そう言って彼女は笑った。

「世界の破滅って何だよって思うよね」

 正直、そう思った。中二病を発症したガキが思い付きそうなお話だ、と。

 だけど僕は知っている。あの黒い化け物を。人が持つ神秘の力の存在を。

 彼女は本を開きパラパラ捲りながら話す。

「人類史上、人類が滅ぶことになる可能性はいくらでも有った。その悉くがこの本には書かれている」

 そう言って彼女は本のページを指差した。そこには世界史の教科書に書かれているような出来事が書かれている。そして続ける。

「人類って言うのはかなり微妙なバランスで存在し続けてきたんだよ。確かに自業自得と言う面も有る。けれどそこに少しずつ干渉する存在が居たとしたら?」

 そしてこちらを見る。

「それは人類の敵だろう」

 そう続けた。

「そしてこの本の最後にはこう書かれてる」

 彼女は貯めに貯めて告げる。


「やがてそれはやってくる」


「第三次世界大戦」


「人類は終焉を迎える」

 彼女はとても楽しそうに笑っていた。

感想くれると泣いて喜びます。

罵倒でも良いですよ。

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