恋愛
どうもみなさんスマイルさんです。
今回も『日常が好き。』を書かせていただきました!
よろしければ読んでいってくださいませ!
※この小説は続編です。シリーズを最初から読まないと話がわかりません。
日常が好き。5
*友達*
突然だが、僕は自分が少なからずひねくれていると自覚している。
そんな僕だが、友達も少なからずいる。……数える程だが。
その一人が、今僕の机の前に立って話しかけてきた柊友梨ちゃんだ。
彼女は僕の数少ない、……いや、唯一の女子の友達だ。休み時間はよく僕に話しかけてくれる。LINEのもちゃっかり交換済みだ。僕は休み時間、とっても暇だ。それはそれは想像を絶するぐらい暇だ。やることもない。『特にない』ではなく、『ない』だ。僕は成績が悪いわけでもないし、勉強を気にすることはあまりない。読書をする週間もなければ、ゲームをすることもない。彼女が友達になるまでは、バイトだけが僕の暇つぶしだった。だが、今では友梨ちゃんが話しかけてくれるから退屈がない。
「それでねぇ、私のお父さん、こう言ってた。『バルスっていうのはだな、全国民が立ち上がってバルスッ! と叫ぶことなんだ』って」
彼女のお父さんはしょうもない嘘が大好きらしい。
僕は苦笑いしながら、次の授業の準備をする。次は確か数学だっけかな?
「あれ、友梨ちゃんは準備しないの?」
ふと、疑問に思って尋ねた。彼女はいつも、休み時間に次の授業の準備をしていないが、いつ準備しているんだろう?
「ん? 私はいつも準備は直前に机に出してるよ?」
そう言って、彼女は自分の机を指差す。
「あれ、いつの間に?」
「だから休み時間始まってすぐにだよ」
「あぁ、そういうこと」
僕は休み時間やることがないので、ただただぼーっとしていた。当然、彼女の机に目を向けることなんてない。だから気付かなかったのか。我ながらマヌケだなぁ。
「ねえ、私のことちゃんと見てる?」
初めは意図がわからなかった。解釈するに、『私に少しも興味ないの?』と言っているのだろう。
「いや、全くの逆だよ。僕はいつだって暇なんだ。興味がないどころか、興味しかないよ。最近は友梨ちゃんのおかげで退屈がないよ」
僕は本心を言った。興味があるといっても恋愛的にではないが。友梨ちゃんが恋愛的な感情を求めていたのであれば、申し訳ないが断ざるを得ない。
「そ、そう? えへへ……」
照れているようだが、残念ながら僕は友梨ちゃんに恋愛感情を抱くことはない。だって僕は、恋愛とかできそうにないからね。
「ねえ悠くん、今日暇?」
いきなり聞かれたので、少し戸惑ったが、僕はいつだって暇だ。でも、放課後はバイトなので一応暇ではない。
「バイトがあるけど、店に来てくれるのならいいよ。僕はサボってるからね」
言うと、友梨ちゃんはぱぁっと表情を明るくさせ、
「じゃあ、放課後行くね!」
「いいよ。あ、店には帰ってから一時間後に来てね。そうじゃないといないから」
「わかった!」
なんだろう、嫌な予感がする。
*恋愛*
嫌な予感は的中した。
「好きです!」
告白された。
うーん、気持ちは嬉しいけど、僕は恋愛をしない人だしなぁ。
「あ、先輩こんにちは」
運の悪いことに、いいタイミングで寧ちゃんがやってきた。
「っ!!!!!」
友梨ちゃんは赤面しながら寧ちゃんは見る。
「大丈夫です、何も見てません聞いてませ」
「寧ちゃん、全部見たね聞いたね」
「はい」
即答された。
どうしたものか。僕は断らざるを得ないのだけど、しかし同時に、僕はあっさり断ってしまって良いのだろうか、とも思う。
どうしよう。本当にどうしよう。あっさり断ってしまうのは、友梨ちゃんがあまりにもかわいそうだし……。
……悩む。これまでの人生、ここまで悩んだことはない。
……うわぁ、マジでどうしよう。僕は恋愛経験とかないし、恋愛小説を読む習慣もない。さらには恋話とかしたことないし、親の恋愛とか聞いたことないし、そもそも僕はこれまでおおよそ恋愛という存在をほとんど意識したことがない。
悩みに悩んだ末、僕はこう答えを出した。悩んだ時間、30秒。
「僕は恋愛経験とかないし、未だに人を好きになるということがよくわかっていないし、仮に人を好きになったとしても、その人とうまくやっていける自信もない。つまり、友梨ちゃんとも恋人関係になってもそのあとが心配でならないんだ」
僕はここまで言った。そしてこう続ける。
「僕は今のところ君のことを恋愛感情として好きなわけではないんだ。だから、友梨ちゃん、君が僕をその気にさせてくれれば僕は君と恋人関係になっていいよ。というかリア充したいです」
「先輩、最後の方欲望が出てましたよ」
「しっ! こういう場面では黙ってなさい!」
寧ちゃんのツッコミに叱りを入れる僕は、顔を上げて赤面しながら僕を見つめる友梨ちゃんの目を見て答えを待つ。
果たして、待っていた答えはこうだった。
「わ、わかった! 私、頑張るっ!」
そう言って、持ってきてくれた手作りクッキーを僕に渡してから、スキップしながら店を出ていった。
「あれでよかったのかあの子!?」
後ろから仰天した様子の麗華さんの声が聞こえたが、僕は体が固まって振り返ることもツッこむこともできなかった。
正直に言って、僕はさっき、すごく緊張していた。
僕のあの答えは、結構綱渡りだった。人によっては僕を殴って帰っただろう。あの結果は、きっと友梨ちゃんだから出た結果なのだろう。
友梨ちゃんはすごく優しい。休み時間、ただただぼーっとしている僕に、わざわざ話しかけてくれるぐらいだ。優しいどころではなく、もはや天使、女神などと揶揄されてもおかしくはない。いや、されるべきだ。
まあ、僕は結局のところすべて彼女に任せてしまったわけだが、彼女は傷ついているわけでもないし、僕も、これからも平和な日常を送れるだろう。
僕にとっても、彼女にとっても。
きっとこの結果は、幸せなものなのだろう。
どうもみなさんスマイルさんです。
今回も『日常が好き。』を書かせていただきました!
今回のテーマはズバリ、『恋愛』です!
正直、すごく悩みました。まあこれが、友梨ちゃん側からだったら本当に地獄だったでしょうが、今回は恋愛をしたことがない悠くんからの立場だったのでまだマシだったです(多分)。私自身あまり恋愛には縁がないのですが、よく開けていると思います。またいつか友梨ちゃん視点の恋愛編を書いてみたいものです。そのためにはインタビューとかしなくては……。
それでは、今回はこのあたりで小説を読む目を休ませてあげてください。