第5話
お読み戴き有難うございます。
ボクがくろの眷属兼夫になってから、半年が過ぎました。切って家の裏に積んでおいた丸太を薪にする為に魔力で持って小さく切断させながら、ここ半年の出来事を振り返ってみました。
魔王領に着いて色々と忙し過ぎて直ぐに気付かなかったんですが、これから住む事になる、くろ家の蔵の掃除をしていた途中、普通に女性が使う様な手鏡を見つけ、何気なしに自分の顔を映して驚きました。魔人に種族変えした事で容姿や肉体に変化がありました。日本人独特の独特な綺麗な黒髪が雪景色の様な銀髪化し、前髪の一部のみ黒髪に。肌の色は変化しなかったのですが、全く鍛えていない状態で既に体全体が筋肉質で、腹筋が5つに割れてました。また、知力というか記憶力も増えたのか、軽く魔導書なり、闘技書なりを読んでみた所、スポンジが水を吸う様にスラスラと覚えられ、くろに教わりながら、魔法の実地勉強に励んでいます。
何か生き物を殺して経験値の糧にせず(魔人とか女神は基本何も食べずでも十日は生きれる)とも、座学的な勉強や、ただの的(そこらに生えてる木)を相手に訓練してみた所、魔人族で最低と呼ばれたステータスに変化がありました。現在のステータスがこちら。
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名前: 柴田強兵
年齢: 0才6ケ月
種族: 魔人 Lv 20
性別: 男
所属: 闇の女神/眷属
基本:
生命力: 5000(+1500) →6500
魔力: 8000(+1500) →9500
物理攻撃力: 3200
物理防御力: 2500
魔法攻撃力: 8900(+1500) →10400
魔法防御力: 7500(+1500) →9000
技量: 4000
素早さ: 5000
固有加護: 異世界人補正、次元神の加護、闇の女神の加護
固有スキル: 【異世界言語完全取得】、【インベントリ】、【スキル強奪拒否】、【能力鑑定完全拒否】、【限界突破】、【???】、【身体強化】
取得称号: 次元を渡りし者、闇の女神の初めての眷属、ロリコンでもある、黒髪ツインテールフェチ、三代目・闇の女神の夫、努力家、掃除好き、新婚さん、自己流剣技使い
耐性 闇属攻撃吸収、打撃ダメージ10%軽減、地水火風耐性・微、毒・魅了耐性・大
スキル: 隠密Lv40、探知Lv30、闇魔法Lv40、地魔法Lv10、水魔法Lv30、火魔法Lv30、風魔法Lv28、光魔法Lv10、体術Lv50、剣術Lv42(疾風連撃Lv99、魔風斬Lv20)、
装備:
防具: ただの男性服
武器: ---
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固有の【アイテムボックス】が進化して【インベントリ】・・・動物を狩るには身体能力が未だ足りず、近くの森で食べられそうなモノをかたっぱしから、アイテムボックスに詰込みまくったら何故か進化した。アイテムボックス自体が既に結構チート収納力を持っていたのに、さらに収納内部の時間停止効果と、収納物検索機能まで追加された。
【身体強化】は、毎日森で拾ったちょっと重い棒を剣道の素振りの様に毎日1000回振ってたらいつの間にか覚えた。効果は打撃ダメージ軽減と疲労軽減、筋力増加・小の三つ。筋力が増えると説明に書かれていたが自覚症状なし。それよりも疲労軽減効果が地味に嬉しい。
数値の部分・・・中級魔人の上ぐらい。ただし魔人族では増えにくい技量や素早さがガンガン増えた。十中八九、森の中で魔物に追い掛け回され必死に逃げたのが素早さ上昇の原因と思われる。技量は素振りと日曜大工と料理と風呂焚きが理由ぽい。
スキル各種・・・隠密は森の中で命を懸けた鬼ごっこから逃げてる途中で木に隠れたり、草の繁みに隠れたりしている内に覚えた。探知も基本同じ理由で覚えた。
疾風連撃というのは素早く攻撃を連続して当てるという剣技の一種。他の剣技については勉強中。
魔風斬は昔はまったゲームの技(魔○剣)を使えないか何度か試してたら覚えた。これは剣に風を纏わせて、斬撃を放つ瞬間に纏った風を刃状に放出するという技。元ネタの魔○剣と全く違うモノになってしまったが、殆ど魔力を使わずに遠くの的に攻撃を当てられる為、大変使い勝手が良い。ただ、ちょっとばかり命中率が・・・。
あと固有スキルとスキルの違いは、固有スキルが常時発動型に対して、スキルが任意で発動させる能動型という違い。パッシブやアクティブに関しては今更説明もいらないでしょうが、一応。パッシブは気にせず共、自動で発動するモノの事で、アクティブは自分の意思で発動させるモノの事。
耐性にある【毒】耐性は、初めて食べた嫁さんの手作りした料理を食べた事で覚えた。食べて直ぐ、体の自由が利かなくなり、意識はあるのに体がケイレンを起こし、継続ダメージを受けました。どうにか、普通の解毒ポーションで解毒出来ましたが、危うくまたあちらへ旅立つ所でした。くろの料理、見た目も良く味も美味しかったんだけどなぁ・・・・。何が原因だろう・・・・?
魅了耐性については、未だ、くろに手を出さずに我慢してたら覚えました。手を握ったり、抱きしめたり、面と向かって「好きだ」とか「愛してる」とは言ってたりはするのですが、キス以上となると歯止めが利かずに子供を作ってしまう所まで突っ走りそうな為、とうぶんお預け。せめて、くろの横に並び立っても恥ずかしくない程に強くなってからでないと、魔人99名はどうでもよくても他の女神の眷属からの非難がきそうだし、ボク自身なら何を言われようとも構わないけど、くろに非難が集まるのは何としても避けなければいけない。
魔人99名についてなんですが、正式にくろの母、夜月からくろに闇の女神の資格譲渡から1年(ボクという初めての眷属をくろが得たのが半年前)。夜月から「女神として幼いくろを支えて欲しい」という願いと共に眷属譲渡の知らせが99名の眷属に渡り、主になるくろの元に眷属再編の儀を受けに出向かわないといけないのに、1年経過した現在ですら音信不通という有様。くろの隣はボクがいるし、同じ魔王領に住むとは言え、くろを支える事も夜月に異議を申し立てる事さえしなかったバカ共なんぞどうでもいいけど。
っと。考え事をしていたら、手元にあった丸太を薪に出来た。これはもう少し乾燥させる為、薪小屋に積んで、小屋にあった程よく乾燥した薪を持って家の裏から中へ。
中に入ると、嫁のくろが朝食の準備をしていた。
「おはよう。お、今日は黒パンですか。くろの料理は何を食べても旨くて最高だよ。」
「おはよう////」
半年も一緒に生活していると、流石に慣れたのか、くろもつっかえた感じの喋りから普通の喋りになった。あれはあれで可愛かったんですけどね。
「今日の分の薪はここに置いておくな。」
薪を裏口から入って数歩の所にある薪置き場に卸すと、床の間に座った。
ああ。重大な事を言い忘れていた。くろの家は外から見たら、童話の世界にでも出てきそうな赤レンガ作りのこじんまりとした感じの家なんだけど、家の中はというと純日本家屋って感じだ。どこら辺がというと、床は全て木の床で、台所は竈に、水瓶があり、調理器具は包丁とかまな板とかあるし、食事台はテーブルではなくて掘り炬燵で食事に用いる道具はハシ、寝室は貴族ぽいレースのかかったベッドではなくて、畳の間に布団を敷いて雑魚寝だし。ただ、トイレだけは西洋式の水洗だったけど、風呂に関しては桧の木の枠で作られた四角い風呂で、湯は地下から湧き出た温泉の源泉かけ流し。よくありがちな異世界テンプレと違ったけど、住んでみるとかなり快適。流石に現代日本の様なテレビも新聞も漫画もゲームもない世界だが、日本にいた時よりも充実感を得られている。
朝食の準備が終わったようです。
「「いただきます。」」
仲良く二人で戴きますの挨拶をしてから、食事。くろ曰く、誰かと一緒にご飯を食べるというのを憧れていたらしい。くろの母である夜月さんとは、幼い頃は一緒に生活していたらしいんですが、物心つく頃には闇の女神としての仕事に追われ、それからずっとくろ一人で生活していたとの事。それが原因なんだろうなぁ。普通、授選スキル替わりに嫁請求なんてしたら拒否されたりするモノなんだけど、直ぐにOK貰えたし。それにしゃべりの事も・・・。
ご飯について。日本で食べていた食材と殆ど変わらない。日本よりも果実と野菜に関してはやや種類が多いくらい。見た目ポンカン中身砂糖菓子並の激甘果実とかあるけど。
料理に関しては全てくろが作ってくれるらしく、ボクは基本力仕事とか、掃除とか洗濯をやってます。亭主関白とか考え方はボクには向いてません。昔の食器洗剤のCMのラブラブ夫婦を目指しているんで。
ここから第1章に入ります。