渚 ~出主通学園の寮の自室4~
私がようやく泣き止んだ時、咲子さんはとんでもないことを口にした。
「そう言えば、どうしてお部屋にいらっしゃったんですか? 本日は園芸部の活動で夕食後に戻られるとおっしゃっていましたが?」
「へ?!」
今日は部活動していたの?!
サボり?
もしかしなくてもサボり?
異世界行っていたのは部活動の先? 後?
どう考えても部活動の前っぽいけど、後だったらいいな・・・なんて、ご都合主義?
ああ、園芸王に絞られる。
部活動のことを思い出したら、園芸王の恐ろしさも思い出した。
NO~~~!!!!
机の上で私は頭を抱える。
「お部屋の照明が点いていたのでお戻りになったと思ったのですが、ところで照明と空調はどうなさったんです?」
「照明? 空調?」
そうだ。
出主通学園では在室していない場合、照明や空調は切っておく方針を徹底している。この学校、省エネにうるさい。寮の部屋割りは1フロアに学生を4名しか入れないという、贅沢三昧を徹底しているのに・・・。
そして、省エネなんてもん、学生が心がけられないからと照明や空調は使用人が管理している。
優秀な使用人は主人が帰宅するのを事前に察知して、照明や空調を入れられるから、私は今まで気にしたことはなかった。
ん?
照明を見上げて、私は固まる。
照明は点いていない。点いていないのに明るい。
んん?
咲子さん、照明点いていないのに部屋が明るいのはどうしてだろう・・・。
もしかして、空調も・・・?
私は咲子さんと目を合わせられなかった。
ただ、遠くを見るしかなかった。
咲子さん、魔術って知ってる?
マジシャンがやる奇術じゃなくって、魔法っていわれる類のもの。
「・・・」
どうやらこの世界でもあっちの世界の魔術は使えるみたい・・・。
照明の件、咲子さんにどう説明したらいいのかな・・・?