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渚 ~出主通学園の寮の自室2~

いつの間にかブックマークが増えてました。

ありがとうございます。


でも、今回読むと外したくなる内容かもしれません。渚の暗黒面です。黒歴史だと思ってくれれば幸いです。

今は11月だからあと一ヶ月もしたら冬休み。出主通いしゅどおり学園が生徒の帰省を許している三つの長期休みの一つになる。


長期休み以外は帰省を許さない出主通いしゅどおり学園だが、その休みの間だけは寮を締めて学校に残れないようにする。出主通学園に通うお荷物たちは親元に強制的に返却されるわけだ。


親としては高等部を卒業するまで帰ってこないで欲しい存在の帰省を迷惑がっていても、学期中は学校の中に軟禁していてくれて、煩わしい問題が起きても学校側が全部対処してくれているのだ。長期休みだけは仕方なく、家に置いている。


とは言え、出主通いしゅどおり学園のほうも長期休みすべてを親側の負担にしないために自由参加の合宿を企画するので、実質1週間だけ実家で預かれば(・・・・)いいという仕組みになっている。


それでも、実家に戻ると思うと憂鬱だ。


私には妹がいるが・・・悪役令嬢でよくある、アレ(・・)だ。ポンコツ姉が優秀な弟妹をイジメるってやつ。

かつての私はそうだった。

そのせいで妹には嫌われている。


両親は聖痕学園の幼稚舎(ゲーム舞台の学校の幼稚舎には行っていたのよ。お金があれば入れたから)の教師から私を落ちこぼれだと言われて、妹を作った。

私は初等部には進学できたが、中等部は無理だと言われてた。実際、外部受験を勧告・・されたし。


幼稚舎の頃は小さいからと擁護してくれる人がいたかもしれないが、初等部に上がる頃には両親の関心は新しく生まれた妹に向き、落ちこぼれの私に実家の人間は手のひらを返したかのように優しくなくなった。


だから初等部の頃の私は妹をイジメていた。実家の人間はすぐに妹をかばい、両親は私を無視して、妹ばかり可愛がるから。


草薙家の娘、それが私の唯一残されたものだった。

妹が死ねば、草薙家の直系は私だけ。落ちこぼれだから優秀な婿を迎えなければならない及第点に及ばない娘。

草薙家の娘としてのプライドが周りにきつくあたらせていた。まさに悪役令嬢そのもの。


中学受験は聖痕学園と同様の学校を軒並み受けて、ようやく入れたのが出主通学園。公立なんかに行かれたら困ると、両親の秘書・・は海外留学まで考えたらしい。


流石、出主通いしゅどおり学園。願書を出せば入学できる、定員オーバーすれば入試の成績のから順に入学させる、裕福な家の落ちこぼれ救済学校。


出主通学園(この学校)に来て、初めて私は私が好きになった。そして、それまでの私が嫌いになった。言葉遣いがお嬢様っぽくなくても、考えがお嬢様っぽくなくても、今の私が好きだ。


彼もあの頃の私を好きにならなかったと思う。

それほどあの頃の私はひどかった。

だから実家に帰っても、妹は私を馬鹿にしている。実家の人間もそうだ。



違う!



実家の人間は出主通いしゅどおり学園の中等部入学後に働き始めた者以外はイヤな私を知っている。そうでなくても、妹のスペアにすぎない私を馬鹿にしている。実家の料理人助手の貝原以外は、あの家では優しくない。出主通学園(この学校)で私の傍にいて面倒を見てくれるメイドの咲子さんとボディガードの沼津さんも実家では両親や妹の手前、あまり優しくない。



違う!



すべては自分が招いたこと。

出来損ないの私が実家の人間に優しくされるはずもない。


ここは出主通学園。人の上に立つ者の為の学校だ。

他の学校で優秀だと言われている学力は意味を成さない学校。

ここでは自身が優秀である必要はない。優秀な他者を使いこなす、優秀な他者に慕われる、優秀な他者に心酔されることが必要なのだ。


私はここで、私が人の上に立つ器がなかったことを教えられ、現在もその器を作っている最中。

なんであれ1位になれた者が正義だと言われ、他力本願もお金の力の使い方も学んだ。そして、どんなものであれ、1位になれた人物を尊敬することを。


だから私はここで自分の尊厳を取り戻すために戦っていた。

それがまた始まるだけ。


異世界は良かった。

誰も落ちこぼれの私を馬鹿にしなかった。

ん?

馬鹿にはされていたけど、優しかった?のかな?

ハーレム形成能力のおかげで、冷たい目で見られることも、よそよそしくされることもなかった。

彼も勇者時代の仲間たちも、子供(のハーレム要員)も孫も皆、優しかった。


今度はこの世界で、出主通いしゅどおり学園の外の人間に優しくして欲しい。

そのために、私は戻ってきたのかもしれない。

心残りを残さないために・・・って、向こうで寿命終えてからにして欲しかったーー!!

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