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渚 ~????~

目を覚ました私は、白を基調にし、パステルカラーでまとめられた部屋に戸惑っている。どこかで見たような気がするのに、思い出せない。

わかっていることは、こんな部屋、ウチにはない。

あの世界での淡い色はこのパステルカラーと発色が異なっている。なんというか、こっちは青みがかっていて。

それにテレビやらパソコン、照明もあるし、


まさか、

だけどまさか、



ここは元の世界?!


どうやって戻ってきたんだろう?


そしてこのなんとなく懐かしい風景は出主通いしゅどおり学園の寮の自室のような気がする。

出主通学園は寄宿舎学校なのだ。建前としては、日本全国から学生が集まってきているというので、平等に寮生活をさせるというもの。本音は卒業して会社に入れるか、大学に入学するまで社交界で学校名を出すと馬鹿にされるから長期休み以外は帰宅させないという、親への配慮の為。


ああ、でもこの世界には彼がいない。

子供たちも、孫たちもいない。

あと、どうでもいい勇者時代の仲間たちも。


そうだ。

せっかく戻ってきても、私はもう、高校生でとおる歳じゃなかった。15歳の孫までいるんだった。

どうしよう?

どうやって説明する?

どうやって本人だと認めてもらう?

私が草薙渚だと認めてもらえなかったら、ここから追い出されて即ホームレスだ(恐怖)。

向こうの世界だったらサバイバル生活も慣れているから大丈夫だけど、こっちだとバイト一つした事ない。

学歴も中卒? 高校中退?

職能も向こうで得たものじゃ役に立たないだろうし・・・。


私は部屋の中をグルグルと歩き回り、ふと扉の前にかけられている姿見に気付いた。そこに写っているのは、どう見ても15歳の孫のいる女性ではなく、黒髪の少女だ。


なんで?

なんで、歳とってないの?

水 (向こうの鏡の精度は低い)に映っていた向こうの世界の姿は、一応、成人していたのに。


夢だったっていうの?

彼を愛したことも。

彼に愛されたことも。

子供たちも、孫たちも、すべてはリアルな夢に過ぎなかったの?



私は・・・。



ホームレスの危機は回避できたけど、私は夢を見ていたの?

あれは夢だったの?

幸福だった夢。

満たされた夢。

夢に過ぎなかった幸せ・・・。


鬼畜戦士のレグルスや腹黒神官のアルゲディ、内気魔術師のトゥバンと魔王討伐したのも?

魔王を倒して、召喚された城に戻ったら、毒殺されかかったのも?

すべては夢?

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