誰の挑戦でも受ける!
さて、馬老師と会えたはいいが、これでスムーズに教えてもらえると思ったら大間違い。
馬老師がいるから――と、西安体育学院を選んだわけですが、ちょうど移動で陝西師範大学へ移られたため、ダメなのだという。
西安体育学院の面子をつぶすことになるかららしい。
この辺が中国の独特の考えで、面子至上主義みたいなものがバックボーンにある。
なんともややこしいのだ。
だから、体育学院にいる私の弟子にまずは習うといい、との教示を受け、まずはそれに励んだ。
最初に劈掛掌というものを学べ! ということで、私の本格的な伝統武術修行がようやく始まった。
「大開大合」という要訣を会得するのに適しているという。
(全身の力を抜きさり腰を支点にして上体を上下左右に振り両腕を風車のように振り回す。
曲線的な歩法によって相手の側面や後ろに回りこみ、
相手に反撃の隙を与えぬよう連続的に攻撃する。
遠心力を利用したその打撃は鞭の様に鋭く重い。
『放長撃遠』の言葉が示す通り技法上、
遠い間合いでの戦闘を得意としている(接近戦用の技法もある)。
↑ Wikipediaより。
と同時に、その当時のカリスマ中国武術選手(表演)の趙長軍と出会いがあり、表演もいいななどと、心も揺れ動いたものだった。
それはなぜか?
↓ これを見ればわかる。彼の身体能力は異常だ。
https://www.youtube.com/watch?v=gS2HCVRJOGA
……で、
なんだかんだで2ヶ月ぐらいが経った頃、急に忙しくなってきた中国生活。
午前中は劈掛掌と棍術の訓練。
午後は体育学院生とともに長拳や基本功など。
夕方(といっても6時ごろ)から、形意拳。←なぜか、いい老師にめぐり合えた。
夜は西安賓館というホテルにあるジムでウェイトトレとサウナ。
自室に戻り、中国語の勉強やら立禅など。
この辺になると、日本から武術を学びに来たものがいる・・・という噂が広まってきたらしくさまざまな挑戦を受ける羽目になる。
私は何も闘いに中国へ行ったわけではないのだが、ふりかかる火の粉は払わなければならない。
なんか知らないけどね、とにかく挑戦してくるわけですよ。
まずは甘粛省の柔道大学チャンピオン。
日本人なら、まして体育学院に来たものなら柔道が強いはずだ!
「オレと勝負しろ」
という、なんとも言いがかり的に言い寄ってくるヤツもいた。
というわけで、戦いましたよ。戦わざるをえなかった。
でも、私は優しいですからね(^^ゞ
わざと花を持たせてあげようと3本勝負を提案し、彼の挑戦?を受けました。
断っておきますが、私は柔道を正式に修行したことはありません。
でも、「1,2の三四郎」じゃないですが、俺は5歳の頃からプロレスをやってる!てな、強い思いというか支えがありましたので、自信があったのです。
いや、妄想じゃないですよ。
実際に高校の時、柔道部の誰一人として(2段だろうと)私に勝てませんでしたから。
自慢じゃなく、事実です。
で、いざ勝負。
一本目はこれは耐えられるが、そうとう引きの強い背負いだったので、とりあえず投げられました。
そして、2本目。
実は内心(こりゃ、やばい)と。
さすがに省のチャンピオンだけありまして、スピードが速い。腕力が強い。
こりゃ、勝てん!とは思いましたが、当時の私はとにかく負けたら終わり!みたいな考えをしてましたので
咄嗟に出した技がフロントスープレックスでして、見事に一本取りました。
てか、向こうが知らない技でしたし・・・。
「これは日本に伝わる裏の柔道だ。打架柔道という」
などと、今思うとメチャ恥ずかしいはったりをかましてしまいました(笑)
さらに、彼らの挑戦は続くのであった・・・。