槍を持った美少女?
「来てくれたのね?」
ツンデレちゃんの第一声がこれでした。当たり前かな?
それは、当然です。
真面目に彼女の応援に来たわけでしたから。
しかし、私はなぜか落ち着きません。
なぜなら、彼女はこともあろうに槍を所持して歩いてきたのですw
右手に握られている槍が! 槍の穂先が! 私を刺すぞ! とばかりに、キラリと光っているように感じたからですw
中国の槍術の基本、攔拿扎という唸るように回転させて突く技法があるのですが、今まさに私の目の前に槍の穂先がぐるぐると回る……そんな錯覚すら覚えましたw
いや、実際、私になんら疚しいことはないのですよ。
だって、王泙には純粋にファンレターを送っただけなんですから。
槍を持っていたのも不思議でもなんでもなく、武術大会の練習の最中ですからね。
他の選手たちも棍や刀、剣、三節棍、九節鞭などを手にして歩いてたり、振り回したりしてますので。
あ、ちなみに私は棍術、刀術を修行しましたので、これにはかなり自信があります(*^^*)
ところが、そのとき――!
あろうことか、会場から観客席にいた私に声をかけてきた者が、ががが……。
そう。王泙ちゃんですwwww
「グーチャオ!」←私の本名の中国語読みね。
可愛い笑顔で手を振ってくるではありませんか!
これはやはり振り返さなければいけないだろう……と、横を気にしながらぎこちなく手を振り返したのです。
すると――!
ツンデレちゃんが「ちっ」と聞こえよがしに舌打ちしたのですヮ(゜д゜)ォ!
(やばい。ここはなんとかごまかすんだ)
と、王泙は意外なことを叫びました。
「渡したいものがあるから、そこにいて!」と。
ツンデレの視線が怖い。
逃げ出したい気分です。
「王泙を知っているのか?」
ギクリ!
「う、うん。この前の深センの大会で知り合ったんだ」
「仲がよさそうだけど……?」
ツンデレちゃんは根っから女王様キャラみたいなやつでして、顎を上げて人を見下すように私を睨みつけるのです。
(怖っ! この女、マジ怖っ!)
そして、槍の根本をごつんと床に叩きつけ、威嚇してきますw
そんなことしてるうちに王泙が観覧席にやって来ました。
「手紙ありがとう。感激したわ」
とりあえず握手をして、再会を喜び、おしゃべり。
背後に冷たい視線を感じながらww
「徐瑛、彼は西安に住んでるんでしょ? 友だち?」
「是的!」と、はっきり断言するツンデレ女ww
「そっかぁ。あとでおみやげ渡すからね」
と、王泙も忙しいらしく、急いで立ち去ったので、なんとか事なきを得ました。
そして、大会ではツンデレが見事に伝統拳術の部門で冠軍(優勝の意味)を勝ち取り、超ごきげんになってくれたため、私はこっそりと王泙からおみやげをいただくことができたのです。
めでたし、めでたし……だよね?
あ、みやげはたいしたものでなく、大量の唐辛子(さすが四川省w)と、ファンレターの返事でした。私の住所がわからなかったらしいのですw




