燃えるサンセットと、ゴキブリゲストハウス!
これ、ほんとは書きたくない。今思い出してもゾッとする。
ご飯前の方は読まないほうがよろしいかと。
その日、私は海南島という中国の最南端にある島にいた。
三十年前にすでに経済特別区となり、外資が入り潤っていた島である。
風景は素晴らしかった。
中国のハワイといってもいいほどだ。
とくに水平線の彼方に沈む夕日は美しく、三亜というビーチにいると時間が止まったような錯覚を覚えるほど、それはそれは幻想的な光景じゃった。(いきなり日本昔話かよ!)
この光景、今でも胸に強く刻まれている。
波の音もしない。
水面はほんのわずかに揺らめいている。
紫とオレンジ色のコントラストが際立っていた。
時が進むとともに、灰色がかり、陽の色が白みを帯びていく・・・。
横に水着の美女でもいれば最高だったのだが・・・。
このあと、恐怖の館が待ち受けていたとは
その時の私に知る術はなかった・・・。(三文小説かよ!)
大きな声ではいえないが、この三亜という街、売春のメッカなのである。(今は知らない)
客引きが次から次へと寄ってきては「安いよ」「美人がいるよ」とか日本語で話し掛けてくるのだった。
そんな中、安い宿を紹介してくれる者も混じっていて、
私はのこのことついていったのである。
それが間違いだとも知らずに。
実際、中国内の宿は安い。
私が泊まった中で最高に安かった宿は、当時の日本円にして約二十円!
ドミトリーという形式の一部屋に何人もが泊まる形式のものである。
今回もまさにそれで一泊百七十円。即決であった。
部屋に通された。湿った空気の臭いが鼻腔をくすぐる。
暗い部屋に何かの気配を感じた。
なんとなく壁が動いているような気がしたのだ。
使用人が明かりをつけた。
!?
ご、ご、ご、ゴキブリが・・・・。黒くてかてかした光沢の、あの黒いやつが。
一匹。いや、三匹。ちがう、十匹。二十?いや、もっといるか・・・?
ええい。もう正直に言おう。
百匹~二百匹いや、それ以上はいた!
黒い絨毯が一気に揺らめく光景が広がっていた。
明かりがついたので皆そそくさと移動していく。
しかし。
鈍いやつはいるもので、数十匹が取り残されたのか、
私が寝るはずのベッドの上にも這っているアホウがいたのですよ・・・。(なんか、書いてていやになってきた)
シャワー室を開けると、そこにも三十匹!
このころの私は精神的にも肉体的にも無敵状態でしたので、
これも試練かと思い(どんな試練だよ!)
開き直ってシャワーを浴び、堂々と寝ることができました。
すごいな。このころのオレは!
ちなみにこの宿、私以外に客はいませんでした。
当然ですよね。
※ あとで聞くところによると、寝てる間に口の中に侵入されたことがある人もいるのだとかw




