ゴレンジャーハリケーンかよ!?
唐突だが、私は中国で二度もスリの被害にあったことがある。
ファーストコンタクトは、繁華街での人だかりでのできごと。
当時、ウェストバッグが流行っていて(手ぶらで歩けるのがよかったのだと思う)多分に漏れず私もウェストバッグに小銭などを入れて歩いていた。
「スリが多いから気をつけろ」とは廻りの物から耳にタコができるほど聞いていたが、この頃の私は(俺にふれたら怪我するぜ~。俺の身体はナイフだぜ、ベイベー)てな感じで闊歩していたため、スリなんかくるならきやがれってんだ! 西園寺桜は江戸っ子なんでえ。神田の生まれよ! ぐらいに思っていたのである。
ところが!
そこはそれ。
スリってのもただものじゃなかったんだ。
やつらは単独ではなく、集団でくるのだ。
しかも、標的に気付かれないように、そっと・・・そっと、ね。
そして、そのときはきた。
背後からグイグイと押してくる輩がいる。(このときは単におしくら饅頭状態とおもっていた)
が、不自然だ。
と、腰に違和感を感じた。
なんと、ナイフでウェストバッグを切り裂いていたのだ!
「!」
私は瞬間的に動いていた。
その男の襟首を掴んだ。
同時に、男は財布をすぐそばにいた仲間にパスしたのだ!
気をとられた私を振り切り、男は別方向に逃げていく。
私は財布を持った男を追いかけようとしたが、またしてもそいつは仲間らしき女にパス。
(ゴレンジャーハリケーンか!)
と、私は思った。(これはウソ)
「いいわね。いくわよ。キー!!」といったかどうか定かではないが、次々とパスされていく私の財布。
あまりの鮮やかさに、私は一歩も動けなくなってしまったのだった。
皆さんも一度体験してみるがよろし。
ほんとに動けなくなるよ。
何していいか、わからなくなっちゃうんだな。
しかも、そのあとで警察に届け出た私に警察官はこういったんだ。
「あきらめろ」
この一言。
こういう国と日本は真の友好を築けるつもりでいるのか? はなはだ疑問である。
まあ、20年も前の話だからなあ。でも、根本はそう変わるものでもないと思うのだが。
あ、でも私はこういった体験も含めて、中国はとてもエキセントリックで素敵な国だと心底思っているのだ。
ちなみにスラれた金額は三千円ぐらい。
自転車も三回盗られたなあ(しみじみ)




