マドンナとの遭遇
帰り道、本屋に寄ろうと思い久々に寄り道をすると、マドンナに遭遇した。
自分から声をかけることを積極的にしようと思っていたところだし、ちょうどいい、俺から声をかけてみよう。
マドンナはまだ俺に気がついてはいない。
マドンナと呼びかけるわけにもいかないよな、ちゃんと苗字の櫻田と声をかけよう。
「櫻田、この前は恥ずかしいところを見せてすまなかった」
「おもらしドグマくんが何の用事ですか? 私、忙しいんです」
明らかに避けられているな...。
ここで引くわけにはいかないッツ!
「何か本を買いにきているみたいだけど、何の本を買うの?」
「普通に小説です。 ほんと、どこかに行ってください」
随分とこの前と態度が違うな。 ま、当たり前か。
だったら!!
「尾崎敏史さんの新作の本じゃないかな?」
「な、なんで分かったんですか?」
「君が本を読むときは、確かに色々な人の書いた本を読んでいる。でも、尾崎さんの本を読んでいるときだけは、発売した次の日には持ってきている。それだけで、ファンだということもわかるし、さっき、新刊コーナーを見たときに、今日発売の本は何種類かあったけど、そこには尾崎先生の本もあった。櫻田さんが本屋にいる時点で推測はできたよ。そして、今本を手にしていないということは、他にも気になっている本があるんじゃないかな?例えば、ファッション雑誌とか」
「どうして私がファッション雑誌なんて興味があると思うんですか? ファッションなんかに興味はありません!」
「ファッションには興味ないか...。 桜田さんがそういうなら、そうしときますね。 俺も買ってみるよ。 尾崎さんの新刊」
「それは、勝手ですが」
「じゃあ、また学校で」
俺は櫻田さんの迷惑にならないよう、さっさと本を買って、店を出た。
マドンナも、ちやほやされてファッションに興味をもってきたんだな。 フフ。
マドンナも真面目というか天然というか、雑誌名のメモが、鞄のポケットから見えてたよ。
俺も何か新しいことに挑戦でもしてみようかな?
プライドも捨てたことだし。