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じゃがいも坊や

校門での事件(肛門事件)以来、周りの人々が俺を見る目が変わった。


直ぐに知れ渡ることは仕方ないとして、こうもしれっと態度が激変するのはおかしいものだ。


確かに、ものすごい恥ずかしいことをしてしまった。


だが、それだけで俺に群がっていた女子は誰も近づかなくなったってのは、つまり、俺そのものを見てくれていたわけではないってことだ。


容姿や成績といった、内面とは違ったレッテルばかりを見ていたわけだ。


それには失望させられた。


ちゃんと見てくれる人っていうのは案外、プライドを捨てたときに、見放さずにいてくれる人のことで、それを見極めるには、見せたくない部分を見せて初めて知ることができるのかもしれない。


だったら、もうプライドを守らずにやりたいことを好きにすればいい。


弁当の時間えある今、俺ができる好きなことといえば...



大好きなじゃがいもを少しわけてもらおう!!


すぐ隣の席で3人で食べている男子グループの市原くんの弁当にじゃがいもを発見した。


市原くんは、普段の授業でも隣の席であり、会話をしたことは1回くらいしかない。


これを機に仲良くなろうじゃないか!


普段は、自分から人に話しかけることはなく、向こうから絡んでくる場合のみ絡むように徹していたが、もうそんなプライドも捨てる!


「ちょっといいかな、市原くん」


「なんだい?」


3人とも食事の手をとめ、こっちを向いた。


「会話中、失礼だったね。ところで、その弁当にあるじゃがいもなんだが、わけてもらえないだろうか」


この台詞にはここにいる3人だけでなく、聞こえていたであろう人が全員こっちを向いた。


「じゃがいもでよければあげるよ」


弁当を差し出してくれた。


「ありがとう」


パクリ


「うん、うまい!! 最高の味だ! じゃがいもって美味しいよね! 市原くん!!」


「あぁ、そう。それならよかったよ」


そしてまた3人で会話を始めた。



うまいことこの先は会話に入ることもできずに、ただ周りの人の注目になってしまった。


確かに今までは一度も自分から話しかけたことはなかったけど、そこまで驚かないでもいいとは思う。


あんまり気にすることなく、その日は過ぎたが、後日“じゃがいも坊や”と影で呼ばれるようになったらしい。


う○こ野郎よりはマシだけどひどいな。

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