プライド炸裂 校門事件
学校の校門を入るなり早々、女子生徒が俺の周りに群がり始める。
「きゃー、かっこいいー!」 「ドクマさまーー、こっち向いてー!」
頼むから群がるのをやめてくれ...。
今の俺は...う○こが漏れそうで限界なんだ。
だが、緊迫した顔でダッシュしてトイレに行くのはどうだ?
正直、誰が見てもダサい光景になってしまうのは言うまでもないはず。
だから俺は、表情を至って冷静に保ちつつトイレまでの道のりを焦らず行く。
今はこの校門を素早く立ち去らなければならないわけだ。
女子生徒の群れをかき分けながら、俺は校舎まで進む。
よし、校舎手前まで来たぞ! あとは、校舎に入ってすぐのトイレに行くだけだ!
校舎に入ろうとしているまさに今、俺は校内一の美人生徒、通称マドンナに声をかけられた。
「ドグマさん、ちょっといいかしら」
「あ、あぁ。また後でもいいかな?」
「すぐ話は終わります。先日の委員会のことなんですが、あの件について私なりに決めました」
「そ、それは聞かせてほしい。だけど、後じゃダメかな?」
「なんでですか!?私の話なんか、ドグマさんにしてみたら戯言なんですか?」
「そうじゃないんだ。その、大事な用事が今はあって、また後で聞きに行くからその時に」
「大事な用事ですか? 私に手伝えることなら、手伝います」
「いや、これは俺の問題で、君には解決できないことなんだ。引き止めないことが最善の嬉しさだよ」
「・・・・」
「じゃあまた後で」
少し早歩きで校舎に向かった。
パシ
!?
俺の手をマドンナが掴んだ。
そして、そのいきなりの行動にビクっとなった俺は...
ブリブリブリ。
「せめて、用事の内容だけでも教えてください!!」
「フッ...。 別の用事ができたみたいだ」
その瞬間、俺の周辺に悪臭が漂った。
それは、マドンナだけでなく、群がっている女子生徒全員にもわかるほどの強烈な臭い。
ズボンの裾からポトリと落ちる、一本の汚物。
尻周りが、グチョグチョに濡れ、同時にポロリと涙が流れ、俺の頬も濡れる。
イケメンでいようとしたプライドが、俺をこのザマにした。
もう、プライドなんて捨てよう...。
俺は今日から、プライドバスターだ。