初仕事終了
暗い夜の道を走る。
大切な情報と共に。
冷たい風が肌を刺すように吹く。
現代は温暖化が進んでいると実感できる。
「土方。」
土方の部屋の前に音もなく立ち、呼んだ。
「ぅおっ。……ごほん。慧美か。入ってこい。」
驚いたことを恥いたのか、咳で誤魔化した。
すー。すっすっす。
戸を開ける音も足音も微かな音である。
「慧美、只今戻りました。」
「情報は掴めたか?」
「はい。長州は薩摩と手を組むそうです。坂本龍馬の手によって。注意した方が良いかと…」
薩長同盟…歴史の教科書に載るくらいだから、かなり強い。
「ほう…。皆を集めろ、作戦会議だ!!」
「───承りました。」
どたどたどたどたどたぁぁぁぁああ
できる限りの大きな音を立てて走る。
「うるせーよ」
「うるさいなぁ。斬っちゃうよ?」
「うるさいよ」
そう言い、一斉に戸を開けた。
…勿論これが狙いである。
「土方が集まるよう、言っていた。場所は土方の部屋だ。」
こくん。と頷き、土方の部屋へ急いだ。
私も皆に続き、追いかけようとした瞬間異変が起こった──────。
ぐらんぐらんぐらんぐらんぐらん…
床が波打っているのだ。
勿論、私にはどうすることも出来ない。ただ突っ立っているだけである。
嗚呼、とうとう床が私を飲み込んで行く───。
そして暗闇の中を落ちてゆく。消えゆく意識の中であることを呑気にも思った。
なんだか、不思議の○のア○スに似ているな。と。
なんとも馬鹿な事が思い浮かぶものだ。そう思うと笑いが込み上げてくる。
「ふ…ふふ…………」
ここで私の意識は途切れた。