実は…お…女なんだ…!!
「ひっさしっぶりー!!元気だったぁ!?」
「あっこの声は…慧美だ!!」
わぁい。と喜んで急いで走って来たのは沖田である。目は爛々と輝き頬は上気している。
その姿は沖田の頭にはふわふわした獣耳とお尻にはパタパタと揺れ動く尻尾があるように錯覚してしまう。
ポケットからゴソゴソとある物を探し、取り出して沖田に向かって投げる。
なんだか…これ、
ほれ、取ってこーい!!
みたいだな。
「何これ…?んん?…あっ!!ちょこれぇとだ!!!」
この服のポケットは何でも入る。入れようと思えば家だって入るのではないか?というほど沢山入る。まるでド○え○んのポケットのようだ。
流石魔法で作った洋服。
「それにしても、何故女の格好をしているんだ?それにその着物はなんた!!太ももの所まで破けていて太ももが露わになっているぞ!!なんてはしたない!!」
顔を赤くさせ叫んでいる土方にニヤニヤが止まらない。
「へぇぇ。私をそんないやらしい目で見ているんだぁ。ふふふ」
凛から降りて、土方の腕に胸が当たるように抱きつく。
「ちょっ、やめ…」
必死な顔をして離れようとする土方に笑いが込み上げる。
「ぶふっ。あははははっっ…!!必死…!!あっはっはっは!ひぃひひひ」
あー笑いすぎてお腹が痛い!くくくっ可哀想だからそろそろ離してやるか。
「ふにゅふにゅ…………
おまっ…お、おん、女…!?え…!ええ…!?」
「土方、ちょっと落ち着きなよ。ね?」
「ぶふぉっ。慧美って女なの…!?」
うへぇ。顔にチョコレートがかかった。気持ち悪ーい!
服の袖で素早く拭う。
「女だよー。」
魔法で服だって作れるのだから、きっと家だって作れるだろうと思い、もう隠す必要が無いと判断し、言った。
「軽っ!!」
えっ、そうかなぁ。
「もっと躊躇ってから言うもんでしょ、普通は!!」
「え、そう?じゃあ…………実はね…私…お…女なんだ…!!
「遅いわ!!」
いやー、そう言われても。ねぇ。困るだけだから。
─────何か伝えなければいけないことがあった気が…えーなんだっけ…
「あ、そうだ!思い出した!!」
あーすっきり
早速言わねば。
『お?なんだ。いきなり!!』
お、ハモった。仲良しなんだね、2人とも。
「最近妖怪が凄い数で京に来ている。禍々しい悪意と殺気をごちゃ混ぜにした気配がぷんぷんしやがる注意しておけ。」
「なんだと…?これは
近藤さんに伝えねば…慧美、数は!?」
「えーっと3万…5千」
「3万5千!?そんな馬鹿な…」
普通に戦えば人間に勝ち目は無い。
「そのために私が来た。私と凛が加われば勝てる。でしょう、凛?」
「わん!!」
「いやいや…。凛は妖だけど、慧美は人間だろう?凛だけで戦うには無理があるんじゃないか?1対3万5千じゃなぁ。」
「ああ。沖田の言うとおりだ。人間は…滅ぶしかない」
あの新撰組が弱音を吐き、目には希望どころか絶望しか映っていない。………うん。これは全国の新撰組ファンを幻滅させる姿だな。
「私はもう人間じゃないっていうか…妖?なんなんだろう…?まあ、とりあえず人間じゃないみたい。安心して?勝ち目はある。新撰組の皆を、京の皆を守るよ。そのために私がきたんだから。」
安心させるように勝ち気な笑顔を見せた。




