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変身

なんだか歴史というよりファンタジーになってしまった気が……

それでも良い方はご覧下さい(*⌒▽⌒*)


ふと思った。闇を、体にまとわせたらどうなるのか?と。


目を閉じ、手の甲に描かれているものに意識を集中させる。そして手の甲から闇を出すイメージをする。


目を開けるとイメージ通り手の甲から闇があふれだしている。


出てきた闇を自分の体に這わせ薄い薄い膜をはる。あまりにも薄すぎて目には見えないが、確かにそこには闇が存在していることがわかる。


闇は…

夜の揺りかご。

私達の眠りを優しく誘う。

人々、動物、虫に魚…地球上にいる生物の母のよう。慈愛に満ちている。


けれど闇が牙を向けば誰も適わない。 


闇は優しくもあり、恐ろしい。


そんな物が私の力……。


水面に目を向ける。

水面に写ったのは…木、木、木。私の姿はない。 

私の姿がない。


闇のせいか。


「慧美ーどこー?あれれれ?匂いしない」


匂いも隠したのか。




全く気付かないのか?

  

凛のほっぺたをぷにっと押してみる。


「ふにゃっ」


まさかの猫の鳴き声


驚いた拍子に耳と尻尾が出てきた。


尻尾を掴んでみる。


あっ。ふわふわぁ 


「きゃんっ」


子犬のように高い声。よく出るなー。私には無理だよ。


「誰だ。出てこないと殺す」 


牙をむき、何かをまとっている。たぶん魔力のようなものなのだろう。


ふぅん。まぁ、合格。だって普段のような凛では戦ってもすぐに負けるただの駄犬だろう。しかし、普段とは全く異なる声色と表情。冷静さや殺気が感じられる。


まぁまぁ強いのだろう。


«うぇぇん あのね、あのね おかあさんが いなくなっちゃったの。 だれも わたしを みてくれないの きづいてくれないの。 かなしいよぉ»


小さな子供の声をだす。


「どこにいるの?お嬢ちゃん?お母さんを探してあげるよ」


警戒を解いたのか、まとっていた“何か”をとった。

 




«いまね おにいさんの うしろにいるの わたし しんじゃったのかなぁ? ゆうれいなのかな»


「そんなことないよ。お母さん、きっと君のことを捜しているから。俺とお母さん探そう?ほら、手をつなごうね」


にっこりを笑いながら手を差し出す。そこには小さな女の子がいると疑わずに。


「まったく…優しいを通り過ぎて甘いわ。いずれ死ぬわよ」


「え!?慧美?あれ?女の子は?」


まとった膜を手の甲に戻す。


ペリペリともなんとも音はしない。


「ねぇ女の子は?」


「あのね おんなのこはね わたしだよぉ あはははは」


目をぱちぱちさせている。


私は声真似が得意だ。子供の声がまさか私なんて夢にも思っていなかったのだろう。


「なんか慧美、人間らしくなったね」


「ずっと人間だよ?」


何を言っているのだろうか


「表情が初めて会ったときと違うの。なの時はどこか冷たくて固かったから。俺は……嬉しいなっ!!」


「そう…」


人間らしさ…か。

よく分からないが…

嬉しいような気がする。



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