狼少年
「ご主人様はどうして血の匂いが染み付いているの?」
突然聞かれた質問。
私はやっぱり。と思った。
「私は人を沢山殺めたからかな。もう100人を超えた所で数えるのを止めたから人数は分からない」
「なんでそんなに殺したの?」
「命令。人質をとられていたの。もう殺されていたというのに…」
「そっか…」
これ以上踏み込んではいけないと判断したのだろう。もう何も言わなかった。
「私はこの世界の人間ではないの。未来から来たから。だから私は未来に行くことだってある。それでも私についてこれる?」
「勿論。だって貴女俺のご主人様だから。」
本当の犬のように、頭を撫でてあげる。
すると気持ちよさそうに私の手に頭をすりよせた。
「ふふふ。本当に犬ね」
「犬じゃなくて狼なんだけど…狼の方が犬より格好良いんだから」
ぷいっとそっぽ向き、拗ねるようにぼそっ言った。
「くすくす。そうだね。格好良い狼なんだよね。だから拗ねないで、ね?」
可愛いらしいなと思い、思わず笑ってしまう。
「拗ねてないよ!!本当だからね!!」
「はいはい…わぁっ」
突然
少年に抱きかかえられた。そのまま少年は走る。ついた場所は崖っぷちの所だ。正直危険な場所である。
「ちょっと、少年!!何をするの!」
「俺の名前は少年じゃなくて凛だよ。あと、拗ねてないって言っているのに信じてくれないから罰だよ。怖いでしょ?」
えーっと、私の所持品は…大まかにナイフ、拳銃、毒。
ナイフを使えば登れそうだ。ナイフを土に刺して使えばいける。
早速登り始める。
右足と左足を溝にあてる。そしてナイフを土に刺し、進む。
「ご主人様っ。助けを求めてよ!!人間の体は俺とは違って脆いんだから死んだらってヒヤヒヤだよ」
「こんなことで死んでたまるかっと。」
登り終えた。そこはさっきと同じ所みたいで、元にいた場所に戻ったみたいだ。
「ただの人間ではないことが分かったよ。
そもそもご主人様は女性だよね?どこから怪力が?バケモノ?」
「今のって悪口だよね?怒っても良い?」
「やだぁ。怒らないで!!」
怒られるの良いかな。
という言葉が聞こえて背中がゾクッとした。




