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手の甲に何か書いてある。

けれど読めない。英語ではないみたいだ。それと、周りを囲うように描かれた青い薔薇。の様に見える。

青薔薇の花言葉は確か…なんだっけ?

あ。そうた!!“神の祝福”だ。うん。まんまだな。でも目立つなぁ。消せないかな?


『あのね、この痣はね君以外には見えないからね(*^o^*)医者に見せても精神科紹介されるだけだからねヽ(´▽`*)ゝあ~ぃ!』


「…」


あまりのウザさに言葉を失ってしまった。なにが、あ~ぃ!だよ!!キモイから!!


『神に酷い言いようだよね~でも、僕、君のこと気に入っているからさ♡許してあ・げ・る♡気に入っているだって!きゃー告白しちゃったぁぁああヽ(≧▽≦)/』


「あ、有り難う御座います」


全力で引きますよ。



全力で引かせて頂きます。





かさり。かさり。


あれ?ここってあんまり人が通らなそうな道なのに人がいるんだなぁ。





「お!なぁ、そこのお嬢ちゃん、可愛いなぁ。うへへへへ」


またか。過去にもこんなこと、あったな。


今一番言いたい事は口がだらしない。だから口をちゃんと閉じろ。










***********







「お嬢ちゃん、可愛いねぇ。お名前は?」


ニヤニヤと笑いながら近づいて来る。

怖い。

気持ち悪い。






「お、おういん えみ」


震える口元で言うから少し言葉がおぼつかなかった。


「へぇ~。桜院家の一人娘か。こりゃお得だ。」


ニヤニヤと笑いながら近づいて来る。

怖い。

気持ち悪い。








ぞわわわ。

危険信号が鳴っている。

逃げなきゃ。

逃げなきゃと思うのに男に、腕を掴まれていて逃げられない。


白い車が走ってくる。


その車に男は私を連れて乗ろうとしている。

これは…“ゆうかい”だ!!


お母様の姿が窓から見えた。

いつもは意地悪だけどきっと助けてくれると思って叫ぶ。


「お母様ぁぁああ!助けてぇぇえ!!!!」


お母様がこちらを振り向く。

しかし、鬱陶し気に家に戻って行ってしまった。


「お母様…?お母様ぁぁああ!お願い、助けて!!!」


必ず聞こえるはずにのに家から出ることはなかった。


「うるせーな。びーびー騒ぐな。可愛がってやるから我慢しろ」


白い車に乗せられてしまった。もう、駄目だ。

涙が溢れてくる。止めどなく。


「………」


寝ていたようだ。周りは真っ暗。袋に入れられているのかと思ったがそうではないようだ。

息苦しさを感じないし、ある程度の広さがある。

手足を縛られていないので、壁づたいに歩いてみた。窓は無いみたいで、本当に真っ暗。何も見えな…くはない。夜目が利いてきたらしい。


はたり、はたり、はたり、足音が大きくなっている。つまり、人が近づいていることが分かる。

とっさに寝たふりをした。

カチャ…


「なんだ。寝ているのか。寝ている子にやってもつまらない。」


ゾクッ。


この人はロリコンか。ロリコン…私、おもいっきり対象だよね…


さわさわ


生暖かいものが胸を包み込んだ。顔には生暖かい風邪が。はぁはぁはぁという音付きで。

片目を薄く開く。あの男の顔が大きく映る。

逃げ出さずにはいられない。 


「ひっ」


「なんだぁ。起きていたんだぁ。あ。暴れないで。大丈夫だよー。」


男の手は私の服のボタンをいじっている。丁寧に丁寧に花弁を剥がす様に服を一枚一枚脱がせていく。

何が大丈夫だ!


「くふふふふふ」


男の鼻息がどんどん荒くなっていく。

怖い

気持ち悪い

怖い

気持ち悪い

怖い

気持ち悪い

 

男の指がパンツに伸びた瞬間、危険信号が大きく鳴り響いた。


これは危ない


私は男の腕を抜けた。

私はいつも以上の大きな力を持っていた。これが火事場の馬鹿力というものなのだと後から知った。




男の目を指でまず潰した。

すると男は目を押さえ、指と指の間からは血が流れている。


まだだ。まだ、私は安心できていない。

死んでいない。

殺さないと安心できない。


男が手を指から話した瞬間、私はもう一度指を目を刺し、目玉をぬきとった。


「ぎゃゃゃゃぁあああああ

痛い。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいぃぃぃぃぃぃ」


悲鳴をあげている。

 

だんだん声が小さくなってゆく。


それと同時に身体は動かなくなっていった。

部屋から飛び出して外に出た。そこはよく知っていた場所だったので歩いて家に帰った。


「何?貴女、帰ってきてしまったの?犯されて、売られてしまえば良かったのに。もうアンタの顔を見なくて良いと思って喜んでいたのに。」


「………」

 

やっぱり私のことはどうでも良かったんだね。

おかされるって何かは分からないけれど、きっと酷い事なのだろう。泣かまいと目に力をこめる。


儚い期待は粉々に砕けた。




***********


そういえば、あれは初めての殺しだ。

あれから、じゃあもう殺せるからということで、暗殺者にされたんだった。


「五月蠅い」


ぶしゅっ


目玉を抜き取る。

あの時と同じように。


あの男が持っていた袋を開けてみた。

すると男の子がいた。なかなかの美形だ。艶のある漆黒の髪に青に近い灰色の目。例えるなら狼のような少年。

やはり売ろうとしていたんだね。


「逃げな。」


「……」


少年は私の腕を握って離さない。

 

「逃げた方が良いよ。ね。逃げな」


もう一度言う。


しかし頭を横に振り、私の腕を握って離さない。


「困ったなぁ。じゃあ…私について行く?」


「うん!!」


満点の笑顔で頷いた。


「よし。じゃあ、とりあえず寝よう。」


万が一の時の為にある程度の距離を保って寝る。もしも殺気や気配を感じたら起きるし、大丈夫。



 

「………………あれ?」


私の隣に寝ている…?

気配があるのなら起きるはずはのに私は起きなかった。

何よりもおかしいのは何故私は狼と添い寝をしている?そしてあの少年は何処へ行った?


頭の中はこんがらがっている。


「ふわぁぁ。あ。おはよう」

 

狼が起きて、欠伸をして…しゃべった!?


「俺だよ俺!」


顔の形が変わって男の子の顔になり、手は小さくなり、人間の手に。体は細くなって人間の体に。


あの美形の少年になった。


「えーっと…狼少年?」


「そうそう!!これから宜しくね。ご主人様?」


「え?ご主人様?私が?」


「そうだよ。だってついて行っても良いって言ってたじゃん。ついでに拒否権はありませーん」

 

どうやら狼少年の“ご主人様”になってしまったようです。

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