謝罪
「今日の部活内容、何だっけ?」
林檎にいちよう聞いてみる。
返事がなければ、まだ怒っていると僕は、判断するからだ。
だが、
「確か…体育祭に向けて、ポスターを描くんじゃなかったっけ。」
あれ。
返事が返ってきた。
普通に驚いた。
ワンテンポ遅れる。
「あ、そうだったね。」
「うん。…一人、2枚以上描くってのが決まりだから…」
林檎は、何かを探している。
「はい」
「え?」
林檎に渡されたのは、白い画用紙。
「ポスター、描か、ないの?」
「え、いや…描くけど。
・・・うん、描く。」
何だか意外だった。
怒っているのかと思っていた。
だけど、もぅ普通に話しかけて来て、びっくりした。
林檎はもう下書きを描き始めていた。
たまに吹奏楽の音楽室を見ながら。
「そんなに、気になる?」
「え…?」
あ。
なんか、声に出してしまっていた。
しまった…。
怒るだろうな。
「ごめん…。」
謝ってみる。
「いや、いいよ。だって本当の事だし。」
「え」
「あの、さ。」
「朝、怒鳴ったりして、ごめん、ね」
え?
林檎が、
謝った。
また、ワンテンポ遅れる。
「あ、あぁいや。別に、気にしてないし…。」
林檎が
謝った。
それは、珍しくないはずだけれど、
何だか、
珍しく感じた。