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暴走
林檎が勢いよく立ったせいで、林檎の座っていた椅子が音をたてて、床に叩き落とされた。
「な、何?どうした?」
慌てて林檎に駆け寄ると椅子をもとに戻してやった。
「どうしたの?林檎ちゃん」
桃山さんも駆け寄る。
「うるさいっ!!」
そういうと握っていたペンを床に叩きつけた。
『ガンっ!!!』
驚いた僕と桃山さんは一瞬、固まった。
先に動いたのは僕だった。
ペンを拾い上げると、林檎に握らせようと林檎の手をとった。
が、
『パシンッ!!!!』
手をはたかれた。
じぃんと痛くなった。
「人が、」
やっと口を開く林檎。
「人が、勉強、してん、のに…」
「隣でうる、さい、のよ…」
そう言うと、林檎は一瞬で教室から出ていった。
なんだったんだよ。
今のは。
ハァ。
思わず、溜め息がでていた。
「林檎ちゃん、なんか変じゃない?」
「え?」
桃山さんはどこか遠くを見ていた。
「なんか今日、変。教室に入ってきていつもなら、宿題なんかやって来てて友達に見せてあげてるのに。」
「え…」
林檎ってそんなのだっけ。
わからない。
いや、興味が
ない。
「林檎ちゃん」
桃山さんは
「もしかして…。」
どこか遠くを見ていた。