手と手
『ピンポーン』
クリーム色の林檎の家のチャイムを慣れた手つきで鳴らす。
「はーい、あら?」
「おはようございます。」
林檎のお母さんだ。
「どうしたー
『バタバタッ……バンッ!!』
閉まりかけたドアが勢い余って開いた。
「あ、林檎ちゃん」
「お母さん、行ってきますっ!!」
林檎はお母さんの声を遮るように、大きい声で挨拶をして、僕の横についた。
「あ、じゃあ…」
僕も林檎のお母さんに、挨拶をしようとしたが「行くよ」と林檎が手を引くので、小さく頭を下げてその場を、あとにした。
サッサと歩く林檎に手を引かれつつ、学校へ行く。
「あの…」
「……」
「林…檎?」
「何っ!?」
いきなり止まるのでびっくりした。
少し僕はよろける。
「お、怒こってるの…?」
「……別に。」
ぶすっとした顔で目を合わされる。
なんだよ。
「どうしたの?」
「…お母さんが」
「ん?」
「お母さんが先に出たから、お母さん、誤解…したかも」
小さくそう呟いた。
?
「誤解?どういう意味…?」
焦り気味で言うと、林檎はハァ?という顔で睨んできた。
だが数秒後、はぁ。と溜め息が林檎の口から漏れた。
「もぅいい。行くよ。」
『グイッ』
なんだろう?誤解って
「っていうか、林檎。」
「今度は何よ」
「いい加減…手、放してくれない?」
「っ!!!」
『バッ!』
勢いよく手を放される。
林檎の顔がまた、紅い。
「顔、紅いよ?」
「うるさい、見ない、でっ」
そう言うと林檎は、僕を置いて一人学校へ向かって走って行ってしまった。