ため息
とりあえず職員室に着いた。
途中、靴箱も見てきたが林檎の姿は無かった。
「はぁ…」
ため息を吐いてから、職員室のドアをノックした。
『コンコンッ』
「失礼します。」
『ガラララ…』
職員室を開けるとコーヒーの香りが少しだけした。
担任の先生の所まで歩いて行くと、そこには林檎の姿があった。
「あれ?」
驚いて小さく僕は独り言を呟いた。
何やら担任の先生と林檎が話している。
「じゃ、よろしくな」
先生がそういうと
「はい。」
とはっきりした林檎の返事が聞こえてきた。
林檎から見ると僕はちょうど少し後ろにいたため、林檎が振り返った途端に僕と目が合った。
「あ…」
林檎が一瞬そういった気がした。
「林檎」
そう呼びかけたが僕の横を素通りして早々と職員室から出て行った。
「お?どうしたー?」
と、担任が僕を呼んだが、僕は何もないことを伝えて林檎の後を追った。
「林檎!」
走って林檎の後を追った。
なんとか追いついて、僕は林檎の隣につくが林檎は僕に構わずスタスタと行ってしまった。
「…?」
もう走る体力も気力も無く僕は歩いて教室へ行くことにした。
教室に着くと林檎は桃山さんと楽しそうに話していた。
なんだよ…全然元気じゃん。
心の中でそう呟いて、ホッとしたのか、いや呆れてだろうか、自然とため息が出ていた。
とりあえず僕も席に着いた。
林檎をチラ見したが全くこっちを向く様子もない。
どちらかと言うと桃山さんが「林檎ちゃん、体調大丈夫そうだよ」みたいな顔でこちらを何度も見てきた。
僕は無意識に外の景色を見ていた。
だけど、もうすぐ8月とあって汗が自然とじわりじわりと滲み出た。
僕はカーテンを閉めた。
それと同時にチャイムが鳴った。