母の前だけ
つくづく嫌になる。
こんなにもワケのわからない人間なんてこの世にいたんだって本当に思う。
どんなに説明しても、私なんてものを理解する人はいない。
そして、諦めた私に「思っていることを話せ」と言う。
私のことを何も理解してないんだから勝手な事言わないでと腹を立てる時もあった。
そんなこと誰にでもあるのに、こんなに重く受け止めている私は愚かで醜くて弱々しかった。
そして私は逃げたんだ。
本心を話すことから逃げたんだ。
どんなに辛くても
どんなに苦しくても
友達の前だけでは普通の明るい、なにも悩みなんてない子になろうって。
例え、人が悩みを相談してきても私の答えではなく相槌だけと決めて。
泣かない
悪口を言わない
自分の言葉を言わない
自分の恋愛相談をしない
けして迷惑を掛けない・・・と
私の規則は増えた。
家で私は言う。
同じような事を毎日。
「誰も理解なんてしようとしない。勝手に分かった気でいる人もいる。」
目は赤く、既に腫れている。
母は言う。
「まだまだ、理解してくれるような人に出会うのは先なんだよ。」
いつもと同じように返す。
母は私の方を向かない。
日を重ねるごとに母へも言う事をやめようと思っていた。
充分わかってる。
もう、なにも言う事がないんでしょ?
私がしつこいから、もう相手にしたくないんでしょ?
心の中で言う事の出来ない言葉がぐちゃぐちゃにでてくる。
わかっているけど、やめることが出来ない。
相手への不信感がどんどん増えるし、吐き出せる場所が私にはもうここしかない。
私は言う。
「どうして、私はここにいるんだろう。」
母の背中を見て言う。
母はパソコンをいじっている。
いつものようにパソコンのゲームをしている。
私が黙るとパソコンのジーって音しか聞こえない。
そして母は黙る。
「・・・。」
私は泣く。
私は泣いている。
心の中の汚い自分を追い出すように。
私は言う。
「きっと、私がおかしい・・・んだよ。」
息は切れ始めて呼吸が苦しい。
もう、私には話すことが無意味だった。
誰にも意味をなさないのだから。
いつの間にか母は私の目の前に座っている。
「・・・。」
でも黙っている。
私は母の目が見れない。
怖かった。人と接触した瞬間に私のことをどう感じるかが。
まだ、私は泣きやまない。
私自身をを憎んで。
わかってる。
私がいけないんだって。
私が悪いんだって。
私が・・・
母は私の背中をさする。
ゆっくりと、そして優しく。
私は泣く。
泣き続ける。
やさしい母の前だけで。
読んでくださった方に感謝します。この文章は私の過去の出来事をもとに書いています。なので、共感できないところがあると思いますが、少しでも分かっていただけたら幸いです。