新しく始まる生活
[オルディナツィオ本部前、オルディナツィオ本部前に到着致します。]
ムンドゥスの都市全てに訪れることができる空を飛んでいる電車『トレーメン』でキウィタスに訪れた、1人の少女がいた。
この駅で降りる人はオルディナツィオ本部に用がある人のみで、少女が降り立った駅には駅員以外には、1人の女性しかいない。
「香日菜さんですね?オルディナツィオ会長の補佐をしている、『マリア』と言います」
「あっ、香日菜です!よろしくお願いします!」
少女、『香日菜』はマリアに慌てて頭を下げた。その様子に、マリアはついクスクスと笑ってしまう。
「それでは本部に向かいましょう」
「はいっ」
駅と本部は直結しており、階段を上って改札を通るとその先は本部の2階に行く仕組みになっている。
「ここの2階までは自由スペースとなっています。この上の3階からは本部で働く人のオフィスとなります」
(ひ、広い………)
本部内の広さに日菜は驚きの顔を浮かべていた。
本部内で働く人数は約千人。雑務などが主な仕事といっても、ここで働くとなるとちゃんとしたスキルが必要だ。
毎年行われる受験は、実務を主に取り扱いたい者となる。ここでは実務が一番危険な仕事で、もしかしたら命を落とすかもしれない。
だからこそ、並大抵じゃない実力が必要だ。
「それでは、こちらのエレベーターで上まで昇っていきますね」
「あの、どこまで行くんですか?」
「会長室までです」
本部の最上階はオルディナツィオの会長の執務室になっている。もちろん、補佐であるマリアの執務室も同じ階だ。
エレベーターは外に面している部分が全面窓ガラスになっており、外の景色を一望できる。
ムンドゥスは廃坑した土地などもあるが、キウィタスは栄えていて景色もいい。住人の数は八千人以上。
「こちらが会長室です」
マリアがコンコンとノックして、扉を開けた。日菜は緊張して、先ほどから眉唾を飲んでいた。
「会長、今年の受験者である香日菜さんをお連れいたしました」
「ありがとう。香日菜、私がオルディナツィオ会長『アケミ・ライナー』よ」
「はじめまして!香日菜と申します!」
窓際に凛と佇んでいるライナーに、日菜は勢いよく挨拶をした。
「まずは、試験合格おめでとう。こちらに座って」
「し、失礼します………」
見るからに豪華なソファに日菜は堅い動きで座ると、マリアがまだ湯気が立っていて温かそうな紅茶を机に置いた。
日菜はまたもや堅い動きでカップを口まで運んで、紅茶を飲んだ。
(緊張しすぎで味がしない……!)
内心そう思いながらも、何事もないようにカップを机に戻した。
「香日菜、あなたはオルディナツィオの歴史上、最も難関な試験に合格した。なので、あなたには特別な任務に当たって欲しいの」
「特別な任務?」
「えぇ。けれど、まだ検討中の段階なので、数週間後に伝えるわ」
ライナーのデスクの上には、一枚の資料が置いてある。そこに書いてあることが、日菜がこれから受けるであろう、特別な任務だ。
だが、まだそのことはオルディナツィオの上層部しか知り得ないことだった。
「で、まず貴方が最初に入チームは『月光』よ。マリア、資料を」
「はい。これが現時点での月光についての資料です」
日菜は目の前に出された資料を、まじまじと眺める。
人数は4人。モンストゥルムの討伐任務以外の仕事は無し____
など、様々なことが細かく書かれている。
「このチームなら新人の貴方には合うはずよ。といっても、もしかしたら一ヶ月ほどでどこかに異動するかもだけど」
ライナーの言ったことに、日菜はいまいち理解できないが安心感を抱いていた。
「が、頑張ります!」
「いい返事ね。それじゃあ、明日から仕事よ。頑張って」
日菜はライナーにペコリとお辞儀をすると、マリアが開けた扉を出て会長室を出て行った。
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日菜が出ていき、ライナーとマリアの2人だけになった会長室。ライナーは自分の机に戻って、一つの資料を手に取った。
「会長、それはいつ始動するのですか?」
「香がオルディナツィオに慣れてからよ。まぁ、あの様子だったら一ヶ月ほどだけど」
ライナーが持っている資料の一番上には、
『異動部隊
メンバー:香日菜』
と書かれていた。




