旗を掲げよう
「旗を掲げよう」
そう、ロドアが言った。
だから俺たちの新しい街に旗を掲げることにした。
街の中心の広場に青い旗が掲げられた。
帝国から逃げのびてたどり着いた地。ここに高々と掲げられた青い旗。
それが俺たちの誇りだった。
だけど今はもう何もかもが無くなってしまった。
***
「……」
廃墟。
それが目の前に広がっている。
家だったものたちが真っ黒になり、崩れ落ちている。
燃え残った物にも砂埃が積もっていて、風に舞うと思わずむせてしまう。
皆で建てた街の面影はどこにもない。
広場にあったはずの青い旗は、真っ黒なただの燃え跡になっていた。
「おーい! 皆! 戻ってきたぞ! ……はあ」
声は空しく散っていった。返事なんてあるわけもない。
俺は一人でやってきていた。
帝国軍の襲撃があって、そこから逃げのびて。
ずっと旅をしていた。
そして旅をした果てにここに戻ってきた。
誰の姿もない。
当然だ。
誰の姿もないのは当然だった。
大勢が死んだ。
ロドアは捕らえられ、処刑された。
隣国の王国で見た新聞。そこには処刑を映した写真が載っていた。
もうここには何もない。
「なんの意味もなかったんだな」
俺は地面に座り込んだ。
土で汚れるが気にすることもない。
今更そんなもの気にしてどうするという感じだ。
結局、どうすればよかったのだろう。
あの日からずっとそんなことを考えている。
青く美しい未来を望んでた。だけどそうはいかなかった。
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