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施設管理業異世界転生『予知保全スキルで異世界のインフラを守ります ~ビルメンは世界の破滅フラグを見逃さない~』  作者: もしものべりすと


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第三十七話 TBMからCBMへ

修理作業は、困難を極めた。


 千年前の技術で作られた装置を、現代の知識で修理する。


 それは、想像以上に難しい作業だった。


 だが、桐生には「強み」があった。


 スキル【予知保全】だ。


 このスキルは、単に異常を察知するだけではない。


 装置の構造を「理解」することもできる。


 どの部品がどう接続されているか。


 どこにエネルギーが流れているか。


 すべてが、視覚的に把握できる。


 桐生は、その能力を駆使して、装置を解析した。


 そして、故障した部品を特定し、予備部品と交換した。


「……よし。これで、物理的な修理は完了だ」


 数時間後、桐生は汗を拭いながら言った。


「お疲れ様です、キリュウ殿」


 リーネが、水を差し出した。


「ありがとうございます」


 桐生は、水を飲み干した。


 だが、作業はまだ終わっていなかった。


「物理的な修理は終わりましたが、もう一つ、大きな問題があります」


「何でしょうか」


「この装置のプログラム——『設定』を変更しなければなりません」


 桐生は、制御装置を見つめた。


「今の設定は、『千年ごとにリセット』です。これを変更しないと、大災厄は止まりません」


「設定を変更する……できるのですか」


「理論的には、可能なはずです。問題は、どうやって変更するか」


 桐生は、装置に手を当てた。


 スキルで、装置の「設定画面」を探る。


 すると——。


 視界に、文字が浮かび上がった。


 古代文字だが、なぜか理解できた。


 おそらく、転生者への「恩恵」の一部だろう。


「『世界管理システム。現在の設定:TBM(時間基準保全)。メンテナンス周期:1000年。次回メンテナンス:残り47日』」


「四十七日……」


 リーネが、息を呑んだ。


「あと一ヶ月半で、大災厄が……」


「はい。だから、設定を変更しなければならない」


 桐生は、メニューを操作した。


 様々な選択肢が、表示された。


 その中に——。


「あった。『保全方式の変更』」


 桐生は、その項目を選択した。


 新しいメニューが、表示された。


「『保全方式を選択してください。1:TBM(時間基準保全)、2:CBM(状態基準保全)』」


 桐生は、迷わず「2」を選択した。


 すると——。


「『CBM(状態基準保全)を選択しました。この方式では、システムの状態を監視し、異常が検出された場合のみメンテナンスを実行します。管理者の承認が必要です。管理者を登録してください』」


「管理者の登録……」


 桐生は、考えた。


 管理者として登録されれば、世界の「設備管理」を任されることになる。


 大きな責任だ。


 だが——。


 ここまで来て、引き返すわけにはいかない。


「俺が、管理者になる」


 桐生は、装置に手を当てた。


 すると、光が桐生を包み込んだ。


「『管理者を登録しました。セイイチ・キリュウ。役職:世界施設管理官。権限:状態監視、異常検知、メンテナンス実行』」


「世界施設管理官……」


 リーネが、呟いた。


「キリュウ殿が、世界全体の施設管理官に……」


「ただの肩書きです。やることは、今までと同じです」


 桐生は、淡々と言った。


 だが、その目には、静かな決意が宿っていた。


「異常を察知し、壊れる前に直す。それが、俺の仕事です。世界が相手でも、それは変わりません」


 システムの設定変更は、続いた。


「『CBM方式に移行するには、現在蓄積している魔素の処理が必要です。処理方法を選択してください。1:一括リセット(従来の大災厄)、2:段階的排出(時間をかけて少しずつ排出)、3:管理者による手動処理(異常箇所を個別に処理)』」


 桐生は、「3」を選択した。


「手動処理を選択します」


「『手動処理を選択しました。管理者は、世界各地の異常箇所を特定し、個別に処理してください。処理が完了すれば、大災厄は回避されます。注意:処理が不完全な場合、部分的な災害が発生する可能性があります』」


「……なるほど。要するに、世界中を巡回して、『点検』と『修繕』をしろ、ということですね」


 桐生は、苦笑した。


 やることが、バルトハイムと同じだ。


 規模が違うだけで、基本は変わらない。


「キリュウ殿、異常箇所は、どのくらいあるのですか」


「確認します」


 桐生は、システムに問いかけた。


「『現在の異常箇所:大47箇所、中132箇所、小521箇所。大は緊急処理が必要、中は早期処理が推奨、小は経過観察で可』」


「七百箇所……」


 リーネが、絶句した。


「そんな数を、どうやって処理するのですか」


「一人では無理です。仲間が必要です」


 桐生は、考えた。


「バルトハイムの技術班、メイラの清掃班、ガルドの警備班——彼らに協力を頼みます。そして、王国全土から、協力者を募ります」


「王国全土……」


「はい。これは、一つの都市だけの問題ではありません。世界全体の問題です。世界全体で、協力して対処しなければならない」


 桐生は、システムから「異常マップ」を出力した。


 それは、世界中の異常箇所を示す地図だった。


「この地図を元に、優先順位をつけて、順番に処理していきます。大の異常から着手し、次に中、最後に小。四十七日以内に、大の異常をすべて処理できれば、大災厄は回避できるはずです」


「四十七日で、四十七箇所……一日一箇所ずつ、処理しなければならない」


「はい。厳しいスケジュールですが、やるしかありません」


 桐生は、リーネの目を見た。


「リーネ様、協力をお願いできますか」


「もちろんです。王国全土に呼びかけます。世界を救うために、力を貸してほしいと」


「ありがとうございます」


 桐生は、深く頭を下げた。


「これで、大災厄を防ぐ道筋が見えました。あとは、実行あるのみです」


 だが——。


 その時、ガルドが駆け込んできた。


「キリュウ殿、大変です!」


「何があった」


「帝国軍です。神殿を包囲しています!」


 桐生とリーネは、顔を見合わせた。


 帝国軍が、ここに来ている。


 それは、つまり——。


「黒崎……」


 桐生は、呟いた。


 宿敵との、決戦が迫っていた。

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