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オカルト部を立ち上げた結果、押しかけ幽霊ヒロインとの同居生活が始まりました  作者: 秋川悠


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20/21

再び職員室へ

 昼休み。


 授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると同時に、教室の空気が一気に緩んだ。

 席を立つ音、購買に向かう足音、机を寄せ合う気配。いつもの昼の風景だ。


 だが、いつも通りの風景でないものもあった。そう。俺の机の隣には、すでに佐々木がスタンバイしていた。


 結論から言うと、肉じゃがはあっさり持っていかれた。


 最初は『一口だけ』と言っていたはずなのに、気づけば箸は止まらず、『インゲンも味いいね』『味噌汁持ってきてないの惜しいわ』などと感想まで述べ始める始末。


「......普通にお店出せるレベルだよね、これ」


 俺の弁当を全部持っていった佐々木はそう結論づけた。


「で? その従妹さん、いつ蓮の家を出ていくの?」


「知らん」


「怪しい」


「怪しくない」


 その後も根掘り葉掘り聞かれたが、適当にかわして話題を切り上げた。

 幸い、それ以上に踏み込んでくることはなかったが、弁当が引き金になって変な誤解を生んでいないかは不安なところではある。


 まぁ、かなえには弁当が好評だったことだけ伝えておくか。



 放課後、俺は昇降口で直哉と合流し、少し遅れて理人も合流した。

 集まった理由は、相沢先生のところに活動計画書を提出して同好会申請をするためだった。


「よし、全員集合だな!」


 やけに上機嫌な直哉の手には、例の活動計画書が握られていた。

 内容は.....まぁ、相変わらずぶっ飛んだものが書かれていたが、最低限の体裁は整っていた。


 俺たちは三人並んで職員室へ向かい、相沢先生の机の前に立った。


「先生、こんにちは~!」


「あぁ、岡崎と神谷か。って、今日は黒瀬も一緒なのか」


 相沢先生は顔を上げて一瞬だけ俺たちを見渡し、すぐに書類の山へと視線を戻した。


「例のやつ、持ってきました!」


 そういって直哉が胸を張って活動計画書を差し出す。

 相沢先生はそれを受け取ると、椅子に深く腰掛け、持っていたペンを指でくるくると回しながら紙に目を走らせた。


 別に大したことではないはずなのに、少し胃がムカムカする。


「......ふむ」


 一枚目、二枚目とページをめくる音がやけに大きく聞こえる。


「”校内外に存在する怪異現象の調査・記録”か。まぁ、表現は無難だな」


「でしょでしょ!?」


 感心した様子を見せた相沢先生に直哉が即座に食いつく。


 相沢先生は最後まで目を通すと、書類を机に置き、少しだけ考えるように顎に手を当てた。


 そして......。


「......この内容ならいいだろう」


「え?」


「同好会として認める。顧問も引き受けてやろう」


 正直、拍子抜けした。昨日までのゴタゴタが嘘みたいにあっさり通った。

 この活動計画書が相沢先生の何にハマったのか全く分からん。


「え?まじですか......?」


「だからそう言っているだろ」


 直哉の問いかけに、相沢先生は呆れたように返しながら、机の引き出しを開けて中から一本のカギを取り出した。


「これ、部室棟の空き教室の鍵だ。二階の一番奥。昨日のうちに押さえておいた」


「昨日......?」


 俺が思わず聞き返すと、相沢先生は面倒そうに視線を上げる。


「あぁ。どうせお前ら、どれだけ跳ね除けても凝りもせず職員室に来るだろ。私がこの同好会を承認するのも時間の問題だと思ってな。だから予め部室は確保しておいてやった」


 なるほど。活動計画書がどうであれ、既に同好会は出来上がってたってわけか。


 直哉が勢いよく頭を下げ、理人も軽く会釈する。

 俺もそれに倣って頭を下げた。


「期待はしていない。だが、問題を起こしたら即解散だ」


「善処します!」


 直哉のその返事がどこまで信用できるかはさておき、俺たちは鍵を受け取り、職員室を後にした。


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